インタビュー
» 2017年11月16日 06時00分 公開

MVNOに聞く:「ほぼ黒転が見えています」 トーンモバイルがMVNO事業で生き残れている理由 (2/4)

[田中聡,ITmedia]

継続課金の値下げは恐怖でしかない

―― 今後の格安SIM(MVNO)市場がどうなっていくと予測していますか。

石田氏 価格で差別化できない今の状態では、エッジの効いたサービスを提供するのが大きなポイントだと思います。なぜMVNOがエッジの効いたサービスを作れるかというと、ベースのユーザーが少ないから。

 継続課金の値下げは恐怖でしかありません。ARPUを100円下げてユーザーが1000万人いると、とんでもない金額になります。キャリアさんも安くしたりはしていますけど、継続課金を下げるのは実質的に難しいと思います。

 サブブランドもiPhoneを取り扱っていますが、端末はアップルストアで買う方が安い。そこに「何とか割」が入って見えなくなっていますけど。見せ方の違いが大きいと思います。

―― トーンモバイルが力を入れている「キッズ」と「シニア」は、エッジを効かせる1つの要素になっています。

石田氏 一番激しいところで血みどろの戦いはできますけど、子どもとシニアで(シェアを)取って、次にiPhoneの2台目を取るという戦略は着々と進んでいます。その中で見えてきたのは、スマホのサービスとして作るのではなくて、社会問題をスマホで解決できるかに、開発の起点が変わってきています。

―― 10月に開始した、詐欺電話を防ぐ「あんしん電話」の反響はいかがですか?

石田氏 大きかったですね。実際に何件ブロックしたかが分かるのですが、本当に詐欺電話って掛かってくるんだなと思いました。件数はまだ1桁ぐらいですが。あとは月額1000円の中で標準サービス化したことも大きかったですね。

トーンモバイル 危険な番号から掛かってくると警告を表示して、詐欺電話への応答を防ぐ「あんしん電話」

―― TONEのユーザー全員が自動で使えるのでしょうか。

石田氏 ソフトが自動でインストールされる際に、規約に同意してもらう必要はあります。今は全体の3割ぐらいがオンにしていますが、標準で100%にしたいですね。

―― TONE以外のユーザーもこのサービスを使いたいという人はいると思いますが、あんしん電話を外部に開放するのは難しいのでしょうか。

石田氏 090も050もコントールできるよう、電話アプリもネットワークも作り込んでいますし、050の場合は、弊社の交換機と連携させる必要もあります。通信事業者として約款内でやっていますが、アプリの規約だけで全コールが取得されるのは、ちょっと気持ち悪いんじゃないかなと。

―― AIで詐欺電話を判定しているとのことですが、この仕組みについて教えてください。

石田氏 教師データとしてデーターベースが外部から提供されています。そのうちのいくつかのパターンでは、ある番号から連続してかかってくる電話を学習して、詐欺電話かもしれないと判定します。それからデーターベースに登録されるまでに最長で24時間かかるので、そのタイムラグを無くすために発信傾向から分析をしています。会話の内容は見ていません。

―― 発信傾向とは具体的に何を見ているのでしょうか。

石田氏 使われている番号かどうかを見るために、詐欺電話って、ワン切りしてから掛けるそうです。そういったノウハウを組み合わせています。

―― 他にもシニア向けのサービスを検討しているのでしょうか。

石田氏 11月に発表すると思いますけど、第2弾も用意しています。

―― キッズ向けの施策は、だいたいやりたいことはできた感じでしょうか。

石田氏 いや、まだまだです。

―― 登山に例えると、今は何合目でしょうか。

石田氏 年齢によりますね。TONEのキッズは10歳〜中学生が対象ですが、これを広げていくのか、もっと下にしていくのかでニーズが変わります。そこは(協業している女性誌の)「VERY」さんと検討しながらですね。そういう意味では、まだ5合目に行っていないぐらい。10歳〜中学生向けの施策は、6割以上到達している気はしますね。

―― シニア向けはいかがですか。

石田氏 シニア向けは2つニーズがあって、1つはスマホ自体を持ちたいというもの。もう1つが、そもそもスマホを欲しいかどうか分からない層で、社会問題の解決からアプローチをしていきます。シニアを伸ばせるかは、われわれのビジネスの重要なポイントになっています。

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