インタビュー
» 2017年11月16日 06時00分 公開

MVNOに聞く:「ほぼ黒転が見えています」 トーンモバイルがMVNO事業で生き残れている理由 (4/4)

[田中聡,ITmedia]
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平均ARPUは1500円〜1700円

―― ドコモの「シンプルプラン」やauの「ピタットプラン」など、キャリアの新料金プランが好調で、MVNOへの流出が減っているとも聞きます。トーンモバイルにも影響は出ていますか?

石田氏 業界全体ではあるようですが、TONEではそれほどないですね。ただ、獲得コストは一時期に比べると少し上がってきています。

―― それはどういうイメージでしょうか。

石田氏 もともと1社しかいなかったときから、競合が増えて、知ってもらい、契約してもらうまでの時間も延びているということです。

―― 店舗とオンラインの購入比率を教えてください。

石田氏 数字は公表していませんが、店頭の方が多いです。

―― ユーザーの年齢層は?

石田氏 10代以下が一番多い、次が40代以上で、特に60代が多いです。20〜30代が少ないですね。

―― ユーザーの平均ARPUも教えてください。

石田氏 全体で1500円〜1700円です。

―― ARPUをもっと上げていこうと考えていますか。

石田氏 そこはあまりないですね。今の数字に満足しています。

―― 基本の1000円から、どんなオプションに申し込んでいる人が多いですか?

石田氏 端末の保証サービスが多いですね。090通話は2〜3割です。

―― 他社だと通話SIMが主流ですが、TONEはIP電話がベースにあるので、データSIMの方が多いということですね。

石田氏 090通話が増えてARPUが上がっても利益にはあまり貢献しないので、あまり意味がないですよね。

SIM単体での販売も検討中

―― SIM単体での販売はあまり考えていないのでしょうか。

石田氏 もともとフリービットではSIM単体から始めていました。DTIの「ServersMan SIM」ですね。SIM自体の特徴付けと、iPhoneでどう動かすか、というところもずっと研究しています。高速チケットの自動切り替えをiPhone上で実現できるかは、権限の問題があって難しいんですよね。そういったところも含めて検討しています。

―― 要望は多いんですか?

石田氏 ありますね。要望はあるんですけど、やったからといっても、知ってもらうためのコストが掛かります。あと、今は1機種でやっていますが、SIM単体を出して、たくさんの端末を検証するとなると、(コスト的に)どうか。ある程度は取れると思いますけど、今の解約率や利益率を守れるかは考えないといけません。ただ、開発は進めています。

 あとは売り方ですよね。蔦屋家電などでつるし販売することはできるでしょうけど、SIMは競争の激しい分野なので、特徴付けがない状態で入っても仕方ないかなと。

取材を終えて:20代〜40代のユーザーをどう獲得していくか

 薄利でなかなか利益を上げるのが難しいMVNO業界で、トーンモバイルが好調を維持できているのは、プランと端末を絞ることで運用やサポートのコストを抑え、サポートの効率化を徹底していることが大きい。そして、キッズとシニア向けのサービスを打ち出すことで他社と競合せず、安定してユーザーを獲得できている。ここが、サブブランドやキャリア新料金プランなどの影響を受けていない理由だといえる。

 課題は、キッズとシニアの間に位置する20代〜40代のユーザーをどう獲得していくか。速度制限なしで動画以外は無制限で使えるという仕様は、格安SIMのコアユーザーにとっても魅力的だが、TONEのスマホとセットで使うことが前提なのが足かせになっているようにも思える。SIMの単体販売も検討中だそうだが、さらにユーザー層を広げる取り組みにも期待したい。

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