―― まさに、端末の名前そのものの市場をついたということですね。というか、なぜ、こんな直球ストレートな名前にしたのでしょうか。
曲氏 そのままですね(笑)。これだけニッチなので、そこにはこだわってニッチという言葉を使いました。日本人が呼びやすい名前でもあります。Sには、「Small」や「Simple」といった意味を込めています。
―― ニッチといいながらも、2色のカラーバリエーションはあります。
曲氏 どこまで受け入れられるか確信がなかったので、むしろ2色に絞りました。黒と白は受け入られやすい色ですし、デザインをしていたとき、まずはシンプルなものというコンセプトがあったので、そのシンプルさを強調する色を採用しています。
―― 絞ったということは、逆にレッドなどをクラウドファンディングにかけてみてもいいかもしれません。
曲氏 それも、やってみたいですね(笑)。
―― 販売してみて、実際、どのような層に売れているのでしょうか。
曲氏 30代、40代で、男性が多いと思います。この層は、昔フィーチャーフォンを使っていた人たちです。逆に今の20代は、学生時代からスマホだったので、こういうケータイはいらないのではないでしょうか。
今の時代は、流行しているものだけでなく、自分でやりたいものを開発していくことも重要です。今後も、昔を懐かしめるものはやっていきたいですね。待っているユーザーは、必ず付いてきてくれると信じています。
ODMのレファレンスモデルをカスタマイズすれば、簡単にスマホを発売できるようになり、SIMロックフリースマートフォンの売り場も拡大した。こうした状況が、スマートフォンの開発、販売に参入するメーカーを後押ししており、実際、日本で販売される端末のバリエーションは一気に広がった。一方で、そのほとんどがスマートフォンで、テンキーを備えたケータイは珍しい。
そんなニッチといえる市場にあえて取り組んだ背景には、曲氏のフィーチャーフォンに対する愛着があった。クラウドファンディングで成功を収めたのは、氏の思いに共感する人が多かったからかもしれない。フューチャーモデルは、今後、よりとがった次世代機を開発する予定もあるという。詳細はまだ明らかになっていないが、今後の展開にも注目したい。
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