NTTドコモとZTEが共同開発した2画面ディスプレイのAndroidスマートフォン「M Z-01K」の予約受付が1月12日に始まった(発売は2月下旬の予定)。このモデルは、米国では「ZTE Axon M」として2017年11月から販売されており、1月9日〜12日に米ラスベガスで開催されたCES 2018のZTEブースでも来場者の注目を集めていた。
CES 2018の期間中に開催されたZTEの端末事業部上級副社長の張樹民氏へのグループインタビューにおいて、Axon Mの開発秘話や2018年の戦略について聞いた。
―― 2画面スマホ「M Z-01K」が開発された経緯は?
張氏 Androidスマホがほとんど同じ形状で、同じような機能を持つ状況で、ユーザーニーズに応じて差別化をしなければならないと考えていました。同じような考えを持つドコモさんから「新しい物を作りたい」と声をかけていただいたのが、そもそものきっかけです。そのときは、まだ形状は決めておらず、一緒に議論していく中で、ディスプレイを2枚使って、折りたたみできる形に決まりました。UI(ユーザーインタフェース)をどうするか? どういうモードで2画面を使えるようにするか? といったことも、ドコモと一緒に考えました。
―― 海外では、どのように展開する計画ですか?
張氏 米国ではAT&Tが取り扱い、既に約1000店舗で展開し、さらに販売促進を強化していく計画です。欧州ではVodafoneでの取り扱いが決まっている他、TIM(イタリアの通信事業者)での採用も決まり、さらに他のキャリアにも提案しています。中国では、近いうちにJD.com(ECサイト)での販売が始まり、中国電信(中国の通信事業者)での取り扱いも決まっています。
―― ドコモと共同開発することは、ZTEにどのようなメリットがあるのでしょうか?
張氏 Axon Mの開発を通して学べたことは、大きく3つあります。1つは、キャリアと組んで新しい端末を作ることで、製品クオリティーやバッテリーのことなど、物作りに関して多くのことを学べました。次に、日本だけでなく、グローバルで展開することも決まっていたので、どちらでも受け入れられる品質のバランスについても研究できました。もう1つは、ドコモと一緒にグローバルのマーケット開拓ができたことです。AT&Tや欧州のキャリアにも一緒に行きましたし、Googleにも一緒に行きました。
Axon Mは、日本で生まれてグローバルに展開する製品ですが、逆にグローバル製品を日本に導入したともいえます。なぜなら、開発の途中でAT&Tの採用が決まったので、AT&Tからもソフトウェアに関する意見をいただき、それを取り入れることもできました。ですので、ドコモとZTEとAT&Tの3社で作ったグローバルモデルを日本市場に導入したともいえるでしょう。
―― ドコモは2013年に「MEDIAS W」という2画面スマホを発売しています。そのMEDIAS Wを参考にした部分はありますか?
張氏 Axon Mは、形としてはMEDIAS Wに似ていると思いますが、実際には全く別物です。端末名である「M」の由来は「Multi(マルチ)」なのですが、マルチタスクが使いやすく、マルチディスプレイにも対応。さらに、2人で同時に使えるマルチユーザーシーンも実現しています。マルチという意味で、5年前のMEDIAS Wより、もっと豊かなユーザー体験ができるようになっています。
―― ZTEとドコモは「MONO」も共同開発していますが、キャリアとのビジネスに注力する理由は?
張氏 ドコモとのコラボレートは2年以上前から行っていますが、製品作りの考えが一致しているからこそ実現できました。弊社は、世界の主要な市場ではキャリアビジネスを最重要視しています。こうしたコラボモデルは、ユーザーのニーズを熟知しているトップキャリアとやらないと意味がないと思っています。日本は、クオリティー面でのユーザーの要求が世界一高い国ですし、日本のような国で大手キャリアと一緒に新しい端末を開発できることは、弊社にとっても得られることは多いです。これからも、日本発でグローバルに展開する端末を手掛けていきたいです。
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