フリーテルが復活し、今後はeSIMスマホで勝負をかける――ド派手な会見から一転。質素なレンタル会議室から再出発石川温のスマホ業界新聞

» 2018年02月16日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 2月9日、新生フリーテルが新製品発表会を行った。

 かつてのフリーテルは芸能人を大量に投入するなど派手な記者会見を何度も行っていたが、今回は雑居ビルのレンタル会議室で実にひっそりとしたものであった。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年2月10日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 新しい経営体制は、eSIM海外Wi-Fiルーターを取り扱うMAYA SYSTEMが行い、今後、フリーテルブランドでスマートフォンの設計、製造、販売事業を行っていく。

 体制が代わったことで、これまでのフリーテルがいかに不安定な経営であったかが、浮き彫りになってきた。

 今回の新製品である「REI 2 Dual」は、かつてのフリーテル自身が企画、設計を行ったものという。もともとフリーテルには、中国にフリーテルグローバルというスマートフォンを設計する部隊があり、そこと日本のオフィスとの共同設計になるという。

 これまでフリーテルは「Made by JAPAN」を語っていたが、実際は、中国のODMが用意したものに対して、フリーテルが多少の指示を行って製品化していた。つまり、もともとは中国の製品に、色づけしただけに過ぎない。今回の新製品は、イチからフリーテルが企画したというのが大きな違いらしい。

 また、代表取締役の吉田利一氏によれば「これまでは、製品によってODMがバラバラであり、故障率もそれぞれ大きな違いがあった」という。世間的には「日本品質」を語っていたが、実際の製品はかなりの故障率だったようだ。

 そうした故障率に悩んでいたこともあり、REI 2 Dualに関しては、企画から日本側で行うことで、品質を上げようとしていたのかもしれない。

 REI 2 Dualは、実際に触ってみると、結構、良くできた製品だ。本来、2017年中の発売を目指していたようで、その通りに発売されていたら、かなり売れて、フリーテルの評判も上がったかもしれない。

 いまでは、デュアルカメラは当たり前の存在であり、ファーウェイ「nova lite 2」などはデュアルカメラでありながら、2万円台とかなり安い。

 ここ最近のファーウェイを見ていると、スペックの割には安価な値付けを実現しており、他の格安スマホメーカーにとって脅威となっている。

 新生フリーテルでは、eSIMを搭載したスマートフォンを計画しているようだが、むしろその手のスマートフォンはOppoなどが強かったりする。

 フリーテルブランドはとりあえず生き残った。経営的にはCMをやらず、ショップ網を広げないなどの堅実路線を行く。しかし、eSIMスマホで差別化を図ると言っても、中国勢との戦いは厳しいことには変わりなさそうだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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