「+メッセージ」はLINEユーザーにどこまで響くのか

» 2018年04月11日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアが、5月9日からSMSの機能を拡張したメッセージサービス「+メッセージ」を提供する。

 LINEやキャリアメールがある中で、なぜ、あえて新たなメッセージサービスを提供するのか。3キャリアが異例ともいえる合同会見を4月10日に開催し、+メッセージの狙いを説明した。

+メッセージ チャット形式で利用できる「+メッセージ」
+メッセージ NTTドコモの藤間良樹氏

 NTTドコモ スマートライフビジネス本部 スマートライフ推進部 コミュニケーションサービス担当部長の藤間良樹氏は「これまではSMSや絵文字を(各キャリア)個別に提供してきたが、お客さまからは『他社にメッセージを送れない』『この絵文字が送れない』という不満が挙がっていた。こういった過去の経験を踏まえて、+メッセージでは、キャリア間で(リッチな)メッセージを送受信できるよう統一した」と話す。

 特徴の1つは、SMSと同じく電話番号だけで送受信できること。キャリアの調査によると、SMSを電話番号だけで送れることに対して、87%が満足しているという。一方、同じ調査では送受信可能な文字数を増やしてほしい、写真やファイルを共有したい、既読の確認がしたい、グループチャットがしたいという要望も多く挙がったそうだ。

+メッセージ SMSユーザーへのアンケート結果

 「SMSの良さを継承し、さらに便利で使いやすいサービスを提供する」(藤間氏)べく、国際標準規格の「RCS(Rich Communication Services)」に準拠したサービスに拡張した。RCS自体は数年前から存在する規格で、現在39カ国、50キャリアで提供されている。こうした「グローバルで普及する可能性を勘案してRCSを採用した」(同氏)

+メッセージ +メッセージには、SMSの後継としてRCSを採用している

 +メッセージの特徴として、3社は電話番号だけで送れる「簡単・安心」、写真や動画、地図をなどを送れる「便利さ」、スタンプで気持ちを伝えられる「楽しさ」の3点を挙げる。

+メッセージ +メッセージの特徴

 +メッセージを始めるのにIDやパスワードの登録は不要で、アプリを最初に利用する際、電話番号で認証をするだけでよい。しかし、電話番号で誰とでもやりとりできるということは、知らない人からのメッセージも届いてしまう(ちなみにLINEは友だち以外からのメッセージを受信拒否できる)。そこで、+メッセージでは、アドレス帳に登録していない人からメッセージが届いた場合、それが分かるよう「未登録」と表示するようにした。

+メッセージ 電話番号の認証のみで利用開始できる
+メッセージ 不明な差出人からのメールが分かる

 他に、+メッセージを利用できるユーザーには、連絡先一覧でアイコンを表示させる機能や、既読か未読かを分かる機能も用意した。スタンプも500点を無料で提供し、今後も順次追加していく。

+メッセージ 連絡先一覧から、誰が+メッセージを使えるかが分かる
+メッセージ 写真や動画も送れて、既読マークも付く

 今後は、企業がユーザーにアプローチをする手段として+メッセージを使えるよう拡張していく予定。例えば、カスタマーサポートとやりとりをする、予約の確認をする、各種サービスの申し込み手続きをする、リマインドを通知する、といった使い方を想定している。LINEでいう「LINE@」の取り組みに近いといえる。

+メッセージ 企業がユーザーとコミュニケーションを取る手段としても+メッセージを活用していく

 SMSから大きく進化した+メッセージだが、最大のライバルは「LINE」という見方もある。会見で「LINE対抗なのか」という質問に対し、藤間氏は「対抗というよりは、携帯電話のメッセージングサービスの正常進化。今まで使っていたメッセージサービスをより便利に使ってもらうのが狙い」と話したが、チャット形式の表示、スタンプや既読機能など、LINEを意識したと思われる仕様も多い。

 とはいえ、既にLINEを使っている人に、+メッセージへすぐに乗り換えてもらうのは厳しそう。+メッセージはアプリさえインストールすれば簡単に使用開始できるが、LINEも一度友だちとしてつながればメッセージのやりとりは容易だ。

 1台の端末でしか使えないのは2サービスとも同じだが、LINEはスマホ上でバックアップを取るだけで、新しい端末で過去のメッセージを含むデータが復元する。一方、+メッセージは機種変更時は手動でデータを保存して、microSD経由などで新しい端末に移さないといけない。また、LINEにはIP電話機能もあるが、+メッセージにはない。スタンプの数も当然LINEの方が多い。QRコードや「ふるふる」で簡単につながれるのも、LINEならではだ。

 さらに、サービス開始当初は、MVNOのSIMカードでは+メッセージは使えない。今後、MVNOに解放することも検討しているとのことだが、この点もLINEと比べると見劣りする。

 日本のスマートフォンで最も多い「iPhone」ユーザーに動いてもらえるかも課題だ。iPhone同士なら、+メッセージと同様に画像や動画、(種類はLINEほどではないが)スタンプ、音声、現在地情報をやりとりできる「iMessage」がある。iMessageのユーザーが、わざわざ+メッセージアプリをダウンロードしてまで使うかというと、ちょっと疑問が残る。

 +メッセージを本気で普及させるなら、MVNOへの解放は必須だろうし、+メッセージでやりとりしたデータ通信料は無料にする「カウントフリー」を導入するなど、他のメッセージサービスにはないメリットがもう少し欲しいとも感じた。

 一方、無料で使えるスタンプが多いのは大きな魅力だし、電話番号だけで送れる手軽さはSMSから変わらない。LINEは使っておらず、「キャリアメールが主な連絡手段」という人は、移行してもらうには十分かもしれない。ライバルが強力なだけに、一気に広まることはないだろうが、徐々に機能を拡張しながら広まっていくことに期待したい。

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