「6000億円、少ない帯域幅でも十分に戦える」 楽天、携帯キャリア事業の勝算は?

» 2018年05月10日 21時49分 公開
[田中聡ITmedia]

 楽天が5月10日、2018年度第1四半期決算を発表。その中で、2018年4月に参入が決定した携帯電話事業の計画や狙いを、副社長執行役員 通信&メディアカンパニー プレジデントの山田善久氏が説明した。

楽天 楽天の山田善久氏

 楽天には1.7GHz帯(20MHz幅×2)が割り当てられ、4月9日に総務省から特定基地局開設計画の認定が行われた。同社は子会社の楽天モバイルネットワークを通じて、携帯キャリア事業に参入。2019年10月のサービス開始に向けて準備を進めている。

楽天

 楽天は2025年までに6000億円を調達し、2018年から2028年までの10年間で5263億円を設備投資に充ててインフラを構築する計画。2025年度までに人口カバー率96%、2028年度末までに契約数1000万人を目指す。また東京電力グループ、中部電力、関西電力、九州電力が保有する鉄塔設備を活用し、コストを削減しながら効率よく基地局を配備していく。山田氏によると、他の地域の電力会社とも話を進めているという。

楽天
楽天

 一方、約6000億円はNTTドコモの1年間の設備投資額にすぎず、「十分な投資額なのか」と疑問視する声も挙がっている。この点について山田氏は「設備投資額は複数の(基地局)ベンダーからの見積もりをもとに出しており、都市部の基地局はより精緻に配置していく。他社は過去から3Gを含めて相当いろいろな設備投資をやってきている。(楽天が)新しい技術を使って投資をすれば、6000億でも十分まかなえると確信している」との見解を示した。

 「1500〜2000億円ぐらいを楽天から新会社(楽天モバイルネットワーク)に注入して、残り4000億ぐらいをリースし、携帯事業の売り上げを証券化する。こういったことをすれば、きちんとまかなえるし、財務的に体力はある。そこも含めて総務省に評価いただいたのではないか」(山田氏)

 楽天はMVNOとして「楽天モバイル」を展開しているが、そもそもキャリア事業に参入する狙いはどこにあるのだろうか。山田氏は「高い利益を上げられること」と「楽天のエコシステム拡大」の2点を挙げる。

 キャリアとして自社でネットワークを持った方が、MVNOよりも利益を上げられるというのが楽天の考えだ。「MVNOは薄利というか、ドコモさんから(帯域を)仕入れて再販している。自社ネットワークではないので、利益率がそれほど高くなく、思い切ったマーケティング施策や料金プランを提供するのに制約がある。自社でネットワークを持ち、新しい技術を使ってネットワークコストを下げることで、今までと違ったプランを作れる」と山田氏はメリットを話す。

 楽天はEC、電子マネー、クレジットカード、銀行、デジタルコンテンツなどさまざまなサービスを入り口としてユーザー獲得を狙う「楽天エコシステム」を展開している。このエコシステムを拡大する上で、キャリア事業を展開することは意義があるという。「ネットワークを押さえることで、楽天のメンバーとの結び付きを強める。楽天のエコシステムの中のピースが大きくなる」と山田氏は話す。一例だが、携帯キャリアになれば、キャリアメールを提供できる。このキャリアメールを起点にしてユーザー接点を拡大するというメリットも考えられる。

 楽天が保有する周波数帯は合計40MHz幅と少なく、高い通信品質を確保できるかも懸念されるが、山田氏は「新しい技術によって、1000万〜1500万という(契約数の)数字は40MHzでも十分に対応できる。これが制約になるとは思っていない」と自信を見せる。「2019年10月時点でいきなりはないが、何年かかけて2万7000の基地局を打つ※。途中の段階では、他社のネットワークをお借りすることを含めて考えていく」とした。

※総務省が公開している「第4世代 移動通信システムの 普及ため移動通信システムの 普及ため移動通信システムの審査結果(※PDF)」によると、楽天は2025年までに2万7397の基地局を運用し、これによって人口カバー率96%を実現する計画だ


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月27日 更新
  1. 3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化 (2026年04月25日)
  2. スマホの「残価設定」にメス? 総務省がルール統一を検討も、Appleは「不当な扱い」と猛反発 (2026年04月25日)
  3. 楽天モバイル、ルーター「Rakuten WiFi Pocket 5G」の販売を一時停止 理由は? (2026年04月24日)
  4. ダイソーで1100円の「USB充電器(PD20W)」は、きちんと20Wで充電できるのか? (2026年04月26日)
  5. Xiaomiの前に、中国スマホの“雄”だったMeizu、またしてもピンチ (2026年04月26日)
  6. ダイソーの1100円「シースルーイヤフォン」に一目ぼれ “音質と個体差”に目をつむれば「あり」な選択肢 (2026年04月23日)
  7. 1.72型ディスプレイ搭載スマートバンド「Xiaomi Smart Band 10」、高精度の睡眠モニタリングも可能 (2026年04月25日)
  8. 携帯電話のホッピング問題、「6カ月以内の継続利用を認める」方向で決着か 2026年夏に結論 (2026年04月23日)
  9. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  10. 「Pixel 10a」と「Pixel 10」どちらを選ぶ? 実機比較で分かった「約5万円差の価値」と「明確な違い」 (2026年04月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年