―― 約1年前のインタビューの際に、(モバイル通信機能を備えた)LTEモデルを用意する予定があるという話をされたかと思います。この件について音沙汰がないのですが、どうなっているのでしょうか。
万COO MateBookのLTEモデルについては、社内で(投入に向けた)分析で行っている所です。製品化すること自体は計画として持っていることに変わりはありません。
ユーザーと対話を重ねる中で、製品としていかにうまくバランスを取るかという観点で2つの課題が見えてきました。
1つは「利用シーン」です。ノートPCは屋外よりも室内での利用が主です。もう1つは「価格」です。LTEモジュールを内蔵することは、かなりのコスト増につながります。
―― ここ1〜2年でスマホのコモディティ化が進みました。スペックは向上するものの、ユーザーとして新鮮味を感じられなくなってきたと思います。
そんな中でもHuaweiは独自のアプローチで存在感を増して、商品力を高めてきたように感じます。マーケティングに独特の要素があるのか、それとも商品企画の面で他社との違いがあるのか、教えてほしい。
万COO 弊社はこれまで、マーケティングを強みにしてきたことはありません。「テクノロジーとイノベーションにおいて優れたい」と考えてやってきました。
そういうこともあり、新製品を発表する際は全世界で“唯一無二”な(技術的な)ウリを盛り込んできました。ここ3年ほどは「カメラ」「通信」「バッテリー持ち」の3点に重点を置いて開発を進めています。
2017年は、研究開発(R&D)に総額で104億ユーロの投資を行いました。ヨーロッパ委員会が作成したR&D投資ランキングでは、Appleを抜いて6位となりました。2017年にヨーロッパで2398件の特許を出願しましたが、これも全企業の中で一番多い件数です。
R&Dに対する投資は、今後も緩めることなく続けていきたいと考えています。
一方で、他のメーカーと比べるとマーケティングに対する投資は少ないです。サッカーの「ワールドカップ」も含め、「なんで(スポーツに対する)スポンサーシップ契約を結ばないの?」と聞かれることが多いのですが、弊社としては製品そのものの競争力こそが重要だと考えているので、マーケティングよりもイノベーションにお金を使いたいのです。
―― HiSiliconのプロセッサ(Kirinシリーズ)がHuaweiのPC製品に入る可能性はありますか。
万COO 可能性は否定しませんが、近い所では計画はありません。
まず、(Kirinが採用している)Armアーキテクチャにおけるアプリケーションの互換性問題を解決しないといけません。そして、処理能力面でも解決すべき課題もあります。
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