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乱立する「QRコード決済」 普及の鍵を握るものは?:決済ビジネスカンファレンス2018(1/3 ページ)

» 2018年08月09日 12時30分 公開
[田中聡,ITmedia]

 日本でのキャッシュレス決済比率が約20%とどまる中、経済産業省が掲げた「キャッシュレス・ビジョン」では、2025年の大阪・関西万博までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げ、将来的には世界最高水準である80%に達成することを目標に掲げている。

QRコード決済 日本は世界各国に比べてキャッシュレス化が遅れている
QRコード決済 「キャッシュレス・ビジョン」で掲げられたメッセージ。これを実現するための方策を考える「キャッシュレス推進協議会」が2018年7月に設立された

 その予兆なのか、ここ最近、キャッシュレス決済、特にQRコードを使用した決済サービスの動きが活発だ。LINE PayとPayPay(ソフトバンクとヤフーの合弁会社)が、決済手数料0円とする施策を打ち出し、ベンチャー企業からも多彩なサービスが生まれている。現在は各プレーヤーが個別にコード決済サービスを提供している状況だが、コード決済の規格を統一する動きも出ている。

 QRコード決済が、日本のキャッシュレス決済にどんな影響を及ぼすのか? カード・ウェーブが主催した「決済ビジネスカンファレンス2018」で語られた。

QRコード決済のメリット

QRコード決済 インフキュリオンの森岡剛氏

 日本のキャッシュレス決済ではクレジットカードが最も使われているが、「クレジットカード頼みでは限界がある」と、コンサルティングやリサーチなどの事業を手掛けるインフキュリオンのシンクタンク事業部 マネージャーの森岡剛氏は言う。同社が2015年から2018年にかけて実施した調査によると、クレジットカードと電子マネーの利用率は高いが、伸びは鈍化している。一方、利用率は低いものの、ブランドデビットは2.9倍、ブランドプリペイドは2.8倍の伸びを見せている。

 森岡氏は「QRコード決済も“対クレジットカード”ではなく、クレジットカードと連携することで、さらなるキャッシュレス化が期待できる」と話す。

QRコード決済 ブランドデビットとブランドプリペイドは利用比率が伸びている
QRコード決済 TISの畑秀行氏

 決済インフラを手掛けるTISのサービス事業統括本部 ペイメントサービス事業部 ペイメントサービス企画部 フェローの畑秀行氏は、「QRコード決済は1つのツールにすぎない」と冷静に見る。「QRかNFC(非接触)かは分からないが、日本、韓国、台湾では両方がシェアするような形で推進されると思う。QR(コード決済)だけに限定された世界観が一気に出来上がることは考えにくい」と話す。

QRコード決済 カードからモバイルの決済が増えつつある。QRと非接触(日本だとおサイフケータイ、Apple Pay、Google Payなど)のどちらが主流になるかはまだ見えていない

 そんなQRコード決済の成功事例として有名なのが、中国で提供されている「Alipay」と「WeChatPay」だ。

 Alipayは決済手数料が1%未満と低く、「手数料だけでもうけることは考えていない」と、経済産業省 商務情報政策局の小暮千賀明氏は言う。Alipay自体がポータルアプリとなり、決済を起点に旅行や保険のサービスを勧めるなど、他の領域で収益を上げられるビジネスモデルを作ったことが大きい。決済+αを提供できるかも重要になってくるわけだ。

QRコード決済 中国では「Alipay」や「WeChat Pay」を筆頭にキャッシュレス化が進んでいる
QRコード決済 Alipayは手数料が低く、ポータルアプリで決済以外のサービスも提供しているのが特徴だ

 決済手数料はサービスによって異なるが、LINE PayやPayPayのように0%としているところはまれだ。それでも、専用端末を必要とせずスマホやタブレットがあれば決済できるので、初期費用が掛からないというメリットはある。

 畑氏は手数料について「QRだから何%でしょ、という話をよく聞くが、そんなことはない」と話す。銀行口座やクレジットカードなど、何とひも付けるかによっても手数料は変わってくるが、「格段に安くなることは考えにくい」とみる。

 端末に依存しないのもQRコード決済のメリットだ。日本で非接触決済をするには、端末がFeliCaに対応している必要があるが、QRコードなら基本的にどの機種でも使える。“おサイフケータイ”は、日本で販売されているスマートフォン(携帯電話)でしか使えないが、QRコード決済なら訪日外国人でも使えるので、インバウンド需要にも対応しやすい。

 畑氏は「磁気カードだと磁気不良があったり、カードを無くしたりするリスクがある。紙印刷で対応できるのもQRコードならでは」と話す。

 QRコード決済はアプリを利用するので、店舗側に履歴(データ)が残り、そこから企業や店舗がユーザーにアプローチするという新たなビジネスモデルが生まれやすい。これも大きなメリットだ。

QRコード決済 決済にアプリを使うことで、ユーザーにコミュニケーションを取りやすくなる
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