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乱立する「QRコード決済」 普及の鍵を握るものは?決済ビジネスカンファレンス2018(2/3 ページ)

» 2018年08月09日 12時30分 公開
[田中聡ITmedia]

QRコード決済は面倒? 規格統一は必要?

 一方で弱点もある。よく言われるのが、スマホを取り出してピッと簡単に支払える非接触決済に比べ、QRコード決済はアプリを起動してコードを見せる必要があるため、一手間かかること。森岡氏も「使用感はFeliCaの方がいい。店頭で後ろに人が並んでいるところで、(QRコードを出すために)アプリを起動するのはドキドキする」と話す。

 ただ、現在はQRコードでも快適に決済できる環境に変わりつつある、と森岡氏はみる。「最近のスマホは、指紋認証であっという間にロック解除できるので、レジ周りでもすぐにアプリを出せる。バーコードを採用したポイントカードアプリも増えており、レジでアプリを起動してコードを見せている人はけっこういる」と同氏。

QRコード決済 会員証(ポイントカード)アプリでバーコードを見せる機会は増えているので、これと決済を一体化すれば、QRコード決済も定着するかもしれない

 問題は、ポイントカードアプリを出しているのに、その後にクレジットカードや現金を出していること。「それ(ポイントカードと決済)を一体化すればいいのでは」と森岡氏は提案する(d払いやLINE Payなど、決済+ポイント付与を同時にできるサービスは既にある)。

 インフキュリオンの調査では、QRコード決済の利用経験がない人より、利用経験がある人の方が、ポジティブな印象を持っているという結果も出ている。逆に、経験者は未経験者よりも「レジでスマホを使うのは面倒」とは感じていないが、「QRコードを表示する、読み取ってもらうことは面倒」と感じるのは経験者の方が多い。上記で森岡氏が提案するように、ポイント付与と決済をスマホでまとめて行えることがもっと浸透すれば、QRコード決済はさらに浸透しそうだ。

QRコード決済 QR・バーコード決済の認知率は半数を超えている
QRコード決済 QRコード決済の利用経験者の方が、未経験者よりも「便利」「うれしい」といった感想を持っている
QRコード決済 一方で「面倒」という感想は、未経験者の方が多く感じている
QRコード決済 QRコード決済の利用意向は、経験者の方が圧倒的に高い

 QRコード決済の規格を統一する動きも出ているが、QRコード自体はシンプルなコードにすぎず、コード自体はどのサービスも既に同じ規格のものを使っている。畑氏は「運用面でのルールを統一していくことになる」と捉えている。

QRコード決済 経済産業省の小暮千賀明氏

 決済サービスが増えるほど、店頭のPOSにボタンがたくさんできて、ますます分かりにくい状況になる、と小暮氏は指摘する。「技術的な標準化、オペレーション的な標準化を考えている。2018年度内に何らかの方向性を示したい」と話す通り、政府としても統一化の動きを進めていく。

 キャッシュレス・ビジョンの提言を実現すべく設立された「キャッシュレス推進協議会」では、2018年度のテーマとして、QRコード決済の標準化を掲げる他、「レシートや領収書のペーパーレス化」「自動販売機のキャッシュレス化普及促進」なども挙げている。特に注目したいのが後者。他国ではクレジットカードやQRコードで決済できる自販機が普及しているため、日本でもキャッシュレス自販機が増えることに期待したい。

QRコード決済 キャッシュレス推進協議会のプロジェクト。自販機のキャッシュレス化が進むことにも期待したい
QRコード決済 QRコード決済に期待される役割

海外で成功しているQRコード決済

 海外では、どのようなQRコード決済サービスが浸透しているのか。森岡氏がまず例に挙げたのが、米国のスターバックスだ。2009年にリワードプログラム(買い物をすると集まるStarでチケットを発行し、さまざまな商品と交換できるプログラム)とバーコード決済が使えるアプリを提供したところ大ヒット。店舗決済の42%がコード決済で行われており、米国で最も成功しているモバイル決済サービスといわれている。

QRコード決済 米スターバックスのQRコード決済が大ヒット

 同じく米国のJPモルガン・チェース銀行は、「Chase Pay」というQRコード決済サービスを展開。テークアウトの事前注文や買い物時のポイント利用、アプリ内決済など、「銀行アプリの範ちゅうを超えて、日常生活に寄り添っている」(森岡氏)というのが特徴だ。VisaNetを活用した仮想決済ネットワーク「ChaseNet」を構築し、AMEXのような独自決済ブランドの確立を目指している。

QRコード決済 JPモルガン・チェース銀行の「Chase Pay」は、買い物に役立つ機能も盛り込んだ

 英国では、流通グループ傘下の銀行Tescoが「Tesco Pay+」を提供。リワード(ポイント)プログラムと連動したQRコード決済が可能で、非接触IC決済の上限を超える、250ポンド(約3万6000円)まで一度に決済ができる。

QRコード決済 非接触決済よりも決済金額が高い「Tesco Pay+」

 月間のアクティブユーザーが2000万人以上というほど浸透しているのが、米Walmartの「Walmart Pay」だ。米国の成人スマートフォンユーザーに、Apple Payよりも使われているという調査結果もある。

 来店前に設定できる買い物リストや店内ナビゲーションなど決済以外の機能を充実させた。決済関連で特徴的なのは、店員が購入商品をスキャンしている間にユーザーがアプリで決済処理ができ、決済後にはレシートがアプリに届くこと。商品の価格が競合店よりも高いと、差額をキャッシュバックする「Savings Catcher」というお得なサービスもある。

QRコード決済 成人ユーザーがApple Payよりも使っているという「Walmart Pay」

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