有機EL採用の狙いは? カメラはなぜ単眼? ソニーモバイルに聞く「Xperia XZ3」IFA 2018(1/3 ページ)

» 2018年09月10日 06時00分 公開
[山口健太ITmedia]

 ソニーモバイルコミュニケーションズがIFA 2018で発表した最新のフラグシップスマートフォンが「Xperia XZ3」だ。ディスプレイに有機ELを採用し、本体前面にも曲面デザインを取り入れたことで、これまでのXperiaとは大きく印象が変わっている。

 その一方で、前モデルの「Xperia XZ2」では本体の厚さに不満の声が挙がり、Xperia XZ3でもカメラは単眼にとどまり、Compactモデルが存在しないなど、気になる点は多い。XZ3開発の背景はどのようなものか、ソニーモバイルで商品企画を担当する矢部椋氏にIFA 2018の会場で話を聞いた。

Xperia XZ3 ソニーモバイルコミュニケーションズ 商品企画担当の矢部椋氏

XZ2の全画面デザインは好評、厚さには厳しい声

―― 前モデルのXperia XZ2からデザインが大きく変わりました。その反響は?

矢部氏 Xperiaの基本にある、ユーザーに寄り添った美しい見た目と手にフィットする形は変えていません。18:9の全画面ディスプレイは好評をいただいています。ただ、厳しい声があったのは厚みです。

―― ソニーの決算発表では、スマートフォンの販売台数が落ち込んだことが話題になりました。

矢部氏 十時(裕樹前社長)の時代から、販売台数を追うのではなくプレミアムにフォーカスするよう方針を変更しました。スマホの買い換えサイクルが長くなっており、以前は2年に1回の買い換えだったのが、いまは2年半から3年弱に伸びています。当社に限らず、市場全体が成熟しています。

―― Xperia XZ3の開発にあたって、XZ2のフィードバックを生かした部分はありますか。

Xperia XZ3 Xperia XZ3

矢部氏 XZ3が目指したのは、有機ELの採用によるシームレスな美しい見た目と映像の美しさを兼ね備えつつ、2〜3年前から買い換えていただくお客さまにAIの力で使いやすさを提供することです。XZ2では全画面を優先して厚くなったので、そのフィードバックを生かしつつ、薄型化を目指しました。

有機ELでシンメトリーな曲面デザインが実現

―― 有機ELのメリットを教えてください。

矢部氏 一般にディスプレイとして液晶と有機ELがありますが、必ずしも有機ELが優れているわけではありません。テレビのBRAVIAと同様、いい画を届ける画作りが重要です。Xperiaへの採用は数年前から候補にありましたが、2018年秋のタイミングで、当社が画作りに求めるレベル感と、有機EL技術の進化が合ったことでXZ3への採用に至りました。

―― パネルの種類やメーカーは公表していますか。

矢部氏 メーカーは公表していませんが、ガラスではなくプラスチックOLED(POLED)を採用した理由は、曲げられるからです。XZ2では背面が曲面になりましたが、前面も曲面になれば美しいシンメトリーになります。XZ3では表示領域を含めて曲げることで、非常に細い側面フレームを実現できました。そうしたデザインのモチベーションという面も大きいのです。

Xperia XZ3 本体前面も曲面になり、背面とシンメトリーに

―― 有機ELで問題になりがちな、焼き付きへの対策はありますか。

矢部氏 さまざまな対策をしています。アイコンの色味の調整や、人間が視認できないレベルでアイコンを動かしています。「Always on display」の表示も、時間とともにずれていく仕組みです。

Xperia XZ3 画面オフでも時計やステッカーを表示する「Always on display」

 BRAVIAシリーズの知見も利用しつつ、テレビとスマホは使い方が異なるため、数十時間のハイスピードカメラによる検証など、独自の工夫をしています。

―― 今後のXperiaのディスプレイは有機ELになっていくのでしょうか。

矢部氏 有機ELありきではなく、各商品がターゲットとする国や地域、ユーザーを考えながら選定していきます。

―― Xperia XZ3はXZ2の厚さが11.1mmから9.9mmに薄型化しています。

矢部氏 3つの理由があり、1つ目は有機ELによりバックライトがなくなったこと。2つ目にアルミニウムに7000番台の新素材を採用し、強度を保ったままガラスを薄くできたこと。3つ目に内部構造として、回り込むような基板レイアウトでスペースを有効活用できたことがあります。

Xperia XZ3 XZ3では回り込むような基板レイアウトを採用

 側面には細いフレーム、背面にはラウンドフォルムを採用したことで、実機を見ていただいた方からは、9.9mmという数字よりも薄く感じていただいています。

Xperia XZ3 側面フレームは非常に細い

―― 曲面デザインになったことでGalaxy Sシリーズに似ているとの声もあります。開発にあたって差別化を意識した点はありますか。

矢部氏 カメラに単眼を選んでいる理由でもありますが、ユーザーにどう使っていただけるか、実際に使用する上でどれくらい価値があるのか、といった点を重視しています。XZ2では好評だった電池持ちは、バッテリーの容量だけでなく、どう使うかという点で「スマートSTAMINA通知」や純粋な消費電力の改善もしています。

 スペックの数字が大きい方が安心いただけるのは分かっていますが、実際のユーザー体験は十分に高いものをお届けしています。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月27日 更新
  1. 3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化 (2026年04月25日)
  2. スマホの「残価設定」にメス? 総務省がルール統一を検討も、Appleは「不当な扱い」と猛反発 (2026年04月25日)
  3. 楽天モバイル、ルーター「Rakuten WiFi Pocket 5G」の販売を一時停止 理由は? (2026年04月24日)
  4. ダイソーで1100円の「USB充電器(PD20W)」は、きちんと20Wで充電できるのか? (2026年04月26日)
  5. Xiaomiの前に、中国スマホの“雄”だったMeizu、またしてもピンチ (2026年04月26日)
  6. 5万〜6万円台で買えるおすすめスマホ7選 ハイエンド級性能、防水+おサイフ対応、カメラ重視など多彩 (2026年04月27日)
  7. ダイソーの1100円「シースルーイヤフォン」に一目ぼれ “音質と個体差”に目をつむれば「あり」な選択肢 (2026年04月23日)
  8. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  9. 携帯電話のホッピング問題、「6カ月以内の継続利用を認める」方向で決着か 2026年夏に結論 (2026年04月23日)
  10. 1.72型ディスプレイ搭載スマートバンド「Xiaomi Smart Band 10」、高精度の睡眠モニタリングも可能 (2026年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年