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環境さえ整えば「決済」も変わる――JapanTaxiが目指すタクシーの未来(後編)(2/4 ページ)

» 2018年10月31日 18時00分 公開
[井上翔ITmedia]

国内向けコード決済も拡充へ 決済方法は「できるだけ多く」

―― 御社のソリューションでは、コード決済を含めていろいろな支払い方法に対応しています。その過程で課題として浮かび上がったことはありますか。

金氏 コード決済という観点では、日本国内向けサービスへの対応を進めることが課題です。

 中国では弊社のタブレット端末も対応しているAliPayとWeChat Payでシェアを二分しているような状況ですが、日本では「LINE Pay」「メルペイ」「PayPay」……と、いろいろな企業からさまざまなコード決済サービスが出てきています。今年(2018年)は、ある意味で「ペイメント戦争」みたいな様相です。

 弊社としては、いかにお客さまが利用する(コード決済)サービスに対応し、対応サービスを増やしていくかという点が課題となります。特に東京のお客さまは、ITリテラシーの高い人が多く、「どんな(決済)サービスに対応しているか」ということを気にされること人も多いですから、できるだけ多くのコード決済サービスに対応していきたいと思っています。

―― コード決済への対応を強化する、ということでしょうか。

金氏 コード決済を含めて、さまざまなお客さまに対応できるように、多様な決済方法を利用できるようにしたいと考えています。

―― 先ほど、御社のJapanTaxi Walletは乗車中に決済を済ませてしまいたい人に使われている、という話がありました。

 Origami Payを含めて、他のコード決済では降車前決済を実現できないのでしょうか。

金氏 現状ではJapanTaxi Walletのみ対応していますが、コード決済事業者から要望があれば弊社としても対応していきます。ただ、降車前決済に対応する場合、決済事業者側でもシステムの改修など対応が必要になるので、最終的には決済事業者さんの経営戦略次第ということになります。

 既に(JapanTaxi Walletを)提供している弊社としては、降車前決済対応は(利用促進を図る上で)大事な要素だと考えているので、対応サービスを増やしていきたいです。

日本交通の対応決済手段 日本交通のタクシーの対応決済方法。コード決済を含め、対応決済方法は追加していく方針だ

日本の課題「現金主義」は楽観視

―― 紙幣の偽造が困難だったりATM(現金自動預払機)の台数が多かったりすることも手伝って、日本は「現金主義」とも言われています。御社のJapanTaxi Walletも含めて、コード決済機能は普及するのでしょうか。

金氏 これから変わっていくと思っています。

 日本が現金主義となった理由の1つとして、現金しか使えない場所が多いという面があります。今でも「タクシーでは現金しか使えない」と思っているお客さまは意外と多いです。タクシーでのカード決済は、東京ならほぼできるようになりましたが、地方ではまだ使えない地域も少なくありません。

 環境さえ整えば、人は変わっていくと思います。それを体感できたのが弊社のタブレット端末を使ったコード決済機能です。JapanTaxi WalletやOrigami Payなど、対応しているコード決済機能を使われるお客さまは、当初の想定の数倍いたのです。

 先ほどのタブレット端末側における操作フロー変更の話ともつながりますが、ユーザーは(決済サービスが)使えるようになったら想像以上に速いスピードで使うようになります。環境整備が重要なのです。

 お客さまの中には「(カードで)払えなかったら恥ずかしい、迷惑をかける」という理由で確実に払える現金で支払うという人もいるのですが、コンビニエンスストアではそういったためらいなくSuicaを含む電子マネーを使う人が多いですよね。「確実に支払える手段である」ということになれば、コード決済などに切り替える(使い始める)人が一気に増えると思います。

 日本において、何かが劇的に変わる時は、意外とハードウェア頼みな面(決済端末や決済用カードの普及に依存する面)もあるかもしれません。

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