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» 2018年11月16日 00時00分 公開

増え続ける“片手ポケット族”のために 「AQUOS R2 compact」開発背景 (1/2)

シャープが11月15日に5.2型のコンパクトスマホ「AQUOS R2 compact」を発表。他メーカーでは6型前後のスマートフォンが増えている中で、なぜシャープは小型モデルに注力し続けるのか。理由はシンプルで、片手でスマホを使う人が増えているからだ。

[田中聡,ITmedia]

 シャープが11月15日に「AQUOS R2 compact」を発表。シャープはこれまで、“小型”を特徴に打ち出したコンパクトなスマートフォンを25機種投入してきており、直近では2017年12月に「AQUOS R compact」を発売した(ソフトバンクとKDDIが販売)。他メーカーでは6型前後のスマートフォンが増えている中で、なぜシャープは小型モデルに注力し続けるのか。15日の発表会で、シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏が開発背景を語った。

AQUOS R2 compact
AQUOS R2 compact 「AQUOS R2 compact」のディープホワイト
AQUOS R2 compact シャープの小林繁氏

 シャープが2018年に行った調査によると、スマホを片手で使用する人は64%、服のポケットから取り出す人が49%いることが分かった。特に片手で使う人は、2013年の32%から大きく増加している。一方、スマホの平均幅は2013年の66mmから2018年は72mmにまで広がっており、片手で使いにくくなりつつある。

AQUOS R2 compact 片手で使う人や、ポケットからスマホを取り出す人は多い
AQUOS R2 compact 一方でスマホの幅は年々、広くなっている

 シャープは片手でポケットからスマホを取り出して使う人を「片手ポケット族」と呼んでおり、こうしたユーザーが増えながらも多くのスマホが巨大化していることから、小型モデルを継続して開発している。

 なぜ片手でスマホを使う人が増えているのか? その理由について小林氏は「スマホがインフラ化し、社会基盤の一部になりつつあるから」と話す。「フリマでタイミングを逃さず買いたい、コンビニやタクシーですぐにスマホからお金を支払いたい、個人間送金をしたいなど、スマホは単なるエンタメツールではなく、社会生活をする上で重要な存在になっている」と同氏。いつでも、どこでも、思い立ったときに素早く使えるよう、スマホは「俊敏性、機動性が必要な商品」だと小林氏は言う。

AQUOS R2 compact スマホがインフラ化したことで、いつでもすぐに取り出せることが求められる
AQUOS R2 compact

 片手でスマホを使う場合、ポケットから取り出し、親指で操作する。そこで、「ポケットに入るコンパクトさと軽さ」「すぐに取り出せる俊敏性」「親指の自由度を追求したサイズ」を重視した。

 1つ目のコンパクトさと軽さは数字の通り。背面の素材をポリカーボネートと「アクリル樹脂」の組み合わせにすることも軽さに貢献している。AQUOS R compactの背面はポリカーボネートと「ガラス」の組み合わせだったこともあり、重さはR compactの約140gから約135gへと軽くなった。2つ目の俊敏性については、手にフィットして取り出しやすくなるよう、側面が山なりになるよう削っている。

 3つ目の親指の自由度を追求したサイズは、本体サイズと画面サイズの2つに分けて考えた。まず本体サイズ。しっかりと握り込められるよう、本体幅は65mm以下となる64mmに抑えた。日本人の中指の長さは平均すると約80mmなので、第1関節を曲げると64〜65mmがベストのサイズになると判断した。画面サイズは、親指が端まで届くよう60mm以下になるようにした。これは、日本人の親指の長さが平均57〜58mmほどであることから決めた。

AQUOS R2 compact あくまで筆者の手ではあるが、AQUOS R2 compactは親指が画面の端までしっかり届く

 本体幅65mm以下なら片手で握ってもスマホが落ちにくく、画面幅が60mm以下なら親指を伸ばして画面の端まで指が届きやすくなる。もちろん手のひらや指のサイズは個人差があるが、平均値から最適な幅を割り出しているので、多くのユーザーが片手で快適に扱えるということになる。こうした考え基づき、AQUOS R2 compactでは「本体とディスプレイをフルリニューアルした」と小林氏。

AQUOS R2 compact 日本人の平均的な手の寸法から、本体は65mm以下、画面サイズは60mm以下がよいと判断

 前モデルのAQUOS R compactでは、ディスプレイの上部にインカメラ用のノッチを設けていたが、ディスプレイの下部は、比較的額縁が広かった。しかしAQUOS R2 compactではディスプレイの下部にもノッチを設け、指紋センサーが画面に割り込む形で配置することで、本体を小さくしながら画面サイズの大型化に成功。アスペクト比は昨今のスマホでトレンドの縦長である「19:9」になった。

AQUOS R2 compact ダブルノッチを採用したことで、AQUOS R compactより幅を狭くしながら、画面サイズは大きくなった
AQUOS R2 compact 左がAQUOS R compact、右がAQUOS R2 compact

 また、R compactではディスプレイのガラスをカットしてインカメラを装備していたが、R2 compactではガラスはカットせずにインカメラ用のスペースを空けることで、インカメラ用のノッチが26%小さくなった。

AQUOS R2 compact インカメラのノッチも小さくなった
AQUOS R2 compact 左がAQUOS R compact、右がAQUOS R2 compactのディスプレイパネル。ガラスを切っていないR2 compactの方がノッチは小さい

 この“ダブルノッチ”はスマートフォンAQUOSでは初めて搭載するが、国内外の他のスマホを見ても、採用例はほとんど聞かない。ただ、Android 9 PieではダブルノッチのUI(ユーザーインタフェース)を標準でサポートしているため、アプリは問題なく使えるそうだ。AQUOSのホーム画面や一部のプリインアプリは、下部のノッチまで表示領域が広がっているが、その他のアプリは、下部のノッチには黒帯が入る。

AQUOS R2 compact プリインのアルバムアプリからは、写真を全画面で表示できる
AQUOS R2 compact 下部のノッチに対応していないと、下部は黒帯になる

 シャープ独自の顔認証機能も採用。Android標準の顔認証は、写真でも認証できてしまうなどセキュリティ面が甘いが、AQUOS R2 compactの顔認証はソフトウェアに改良を加え、セキュリティと精度を高めているという。シャープ担当者によると、R2 compactの顔認証は、写真では認証できないとのこと。なお、顔認証には一部メーカーでおなじみの3Dカメラを採用しているわけでない。画面オフの状態から指紋認証で瞬時にロックを解除できる他、本体を持ち上げて自動で画面が点灯したタイミングで顔認証もできる。あえて顔認証に手を加えたのは、シャープが小型モデルに求める俊敏性を満たすためだ。

 AQUOS R2譲りのスペックも健在で、フルHD+の解像度に、高画質エンジン「リッチカラーテクノロジーモバイル」を採用。表示内容を1秒間に120回更新をすることで残像を抑える120Hz駆動表示、画角が22mmと広角で光学式手ブレ補正にも対応した2260万画素カメラ、Snapdragon 845のプロセッサなど、ハイエンド機と呼ぶにふさわしい。シャープならではの放熱設計も継承しており、本体内部の温度が上昇しても、AQUOS R compact比で約7倍長くパフォーマンスが持続するという。

AQUOS R2 compact 放熱設計も最適化しており、温度が上がってもパフォーマンスが落ちにくくなる

 一方で、AQUOS R2で採用した、動画専用のカメラは見送られた。この理由について、商品企画を担当した中野伶香氏は「コンパクトモデルということで、サイズの中にどれだけ詰め込めるかを考えた。本当に必要なものに絞って、R2と同等のカメラを搭載した」と説明する。

AQUOS R2 compact 主なスペック

 販路は、大手キャリアではソフトバンクが取り扱うが、ドコモとKDDIが扱う予定はないとのこと。SIMロックフリーモデルとして販売することも検討しており、MVNOとは交渉中とのことだが、現時点でどこが取り扱うかは決まっていない。

 狭額縁化をさらに進めながら、持ちやすさ、片手での操作性を追求し、スペックも妥協せず――シャープの小型スマホは、新たにステージに進んだといえる。

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