AQUOS史上最強のプレミアムコンパクトに進化した――。シャープ IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部長の小林繁氏は、10月13日の発表会で「AQUOS R compact」についてこうアピールした。AQUOS R compactは何が新しいのだろうか?
AQUOS R compactは、「AQUOS R」と同等のデザインや機能を、コンパクトなボディーに搭載したモデル。特に大きなトピックは、シャープが2013〜2015年に展開していた「EDGEST」デザインを復活させたこと。EDGESTの狭額縁を継承しつつ、本体をラウンド形状にし、インカメラを画面上部に配置した。いわば従来のEDGESTをAQUOS Rのデザインに融合させたもので、シャープはこれを「EDGEST fit」デザインと呼んでいる。
従来のEDGESTも多くの支持を集めたが、小林氏によると、本体がスクエアな形状なので「角張って持ちにくい」という声や、インカメラがディスプレイの下にあるので「セルフィーをするときに鼻の穴が写ってしまう、下ぶくれになってしまう」というネガティブな意見が挙がったという。そこで「いったんEDGESTデザインを凍結」(小林氏)して、2016年以降のスマートフォンAQUOSは、狭額縁ではない、丸みを帯びたボディーに変更した。
それでもEDGESTを両立できないか模索したところ、円形など自由な形状のディスプレイ開発が可能になる「フリーフォームディスプレイ」が最適と判断。ディスプレイの角を削って丸くして、形状に合わせてぴったりと埋め込ませることで、ラウンド形状と狭額縁を両立させた。
画面が大きくなりながら、本体をさらに小型化できるのも、フリーフォームディスプレイのメリットだ。AQUOS R compactは4.9型ディスプレイを搭載しながら、4.7型液晶を搭載した従来のコンパクトモデル(AQUOS Xx3 miniやAQUOS SERIE mini SHV38)よりも高さは3mm、幅は1mm小さくなった。
さらに、フリーフォームディスプレイはデザインの革新にもつながると小林氏は話す。
「従来は四角い画面の周囲をデザインしていたが、フリーフォームディスプレイでは、あるべきスマートフォンのデザインの中に適切なディスプレイを配置するので、(従来のディスプレイありきではなく)デザインありきでディスプレイを開発できる。これはディスプレイメーカーならではの強みだ」(小林氏)
このAQUOS R compactを皮切りに、さまざまなカタチのEDGESTデザインが誕生するかもしれない。
ディスプレイの画質はHDRに対応しないことを除けばAQUOS Rと同等で、120Hz駆動による滑らかな表示とタッチパネル操作もAQUOS Rから継承している。
一方、ディスプレイの下部はホームボタンを設置する関係でベゼルを広く取っており、4辺全てが狭額縁にはなっていない。小林氏によると、これは指紋センサーはディスプレイ下にある方が使いやすいと判断したためだという。最近流行になりつつある、より縦長の「18:9」の画面比率にしなかったのは、片手での使いやすさを考えたためとのこと(AQUOS R compactの比率は17:9)。
画面下にはナビゲーションキーを表示させて、ホーム、戻る、タスク(履歴)の操作ができるが、これをオフにして、ホームボタンを右へなぞると戻る、左へなぞるとタスクの操作ができる設定が追加された。これも片手操作を重視したためだという。
インカメラをディスプレイ上部に配置したことで、より自然にセルフィー(自分撮り)ができるようになる。またAQUOS R compactでは“画面の中”にカメラがあるため、視線ズレを防ぎやすくなる。小林氏は「見ているのは画面だけど、カメラは画面の外にあるという視線ズレが究極の課題だった。見ている場所とカメラの場所が違うので、やや下を向いた写真になる。カメラが画面に近いほど視線が合いやすい」(小林氏)。さらに、セルフタイマーでは、視線をインカメラに誘導するよう工夫した。
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