なぜモノクロセンサー廃止に? NMカードの狙いは? 「HUAWEI Mate 20」シリーズの秘密を聞く(1/2 ページ)

» 2018年11月26日 10時52分 公開
[田中聡ITmedia]

 Huaweiが11月20日、中国広東省・深センの本社と松山湖オフィスに日本メディアを招待。その中で、端末ビジネスのバイスプレジデントを務めるLi Changzhu氏に、グループインタビューという形でお話をうかがった。

 インタビューの主なテーマは、最新フラグシップスマートフォン「Mate 20」シリーズ。Mate 20シリーズは「Mate 20」「Mate 20 Pro」「Mate 20 X」が10月に英ロンドンで発表され、日本での発売も期待される(ちなみにミッドレンジの「Mate 20 lite」は、ビックカメラグループ限定で11月30日に発売される)。

 Mate 20シリーズはプロセッサに最新の「Kirin 980」を採用し、AI機能を取り入れたNPU(機械学習用プロセッサ)はMate 10 Proのシングルからデュアルに進化した。Leica(ライカ)と共同開発したカメラは、広角、望遠、超広角のレンズを備える3眼で構成される。4000mAh以上の大容量バッテリーやワイヤレス充電に加え、Mate 20 Proは他のスマホをワイヤレスで給電できる「リバースチャージ」機能も備える。ディスプレイ内蔵の指紋センサーや外部メモリに新規格の「NMカード」を採用したことも注目点だ。Huaweiのスマホはどこに向かおうとしているのか。

HUAWEI Mate 20 Pro 10月にロンドンで発表された「HUAWEI Mate 20 Pro」

PシリーズとMateシリーズのすみ分けは?

 Huaweiはここ数年、春にPシリーズ、秋にMateシリーズを発表している。当初、Pシリーズは薄型でデザインを追求したモデル、Mateシリーズは大画面モデルというすみ分けがなされていたが、現在はPシリーズも大画面化を果たし、LeicaのカメラやNPU搭載のKirinプロセッサを採用するなど、両シリーズの差は見えにくくなっている。あらためて、PシリーズとMateシリーズは、どのようにすみ分けているのか。

 まずPシリーズについてLi氏は「アクティブで軽やかなイメージを持たせたい。全体の作りも薄くてファッション性があり、女性らしさも持たせたい」と、デザインに注力していることを挙げる。一方でMateシリーズは「発売当初、ビジネスパーソンに好評だった」そうだ。「ビジネスパーソンは出張に出掛けたり、仕事で使ったりすることが多いので、バッテリーの持ち時間に対する要望が大きい。そのため、Mateシリーズでは4000mAh以上のバッテリーを搭載しています」と、スタミナを重視していることを挙げる。

 Leicaと協業したカメラを搭載したのは、2016年前半に発売された「HUAWEI P9」からである通り、Pシリーズはデザインだけでなく、カメラにも注力する方向性にかじを切っている。これはMateシリーズも同様で、同年後半に発売された「HUAWEI Mate 9」からMateシリーズの上位モデルもLeicaのカメラを搭載している。

 「これまで、カメラ機能で大きくイノベーションを起こすときは、Pシリーズに搭載していましたが、今では、最新のPシリーズかMateシリーズが出る度に、どちらもカメラ機能が大きく進歩しています。カメラの演算能力やアルゴリズムの研究開発に力を入れているので、新しい技術が成熟すると、最新のPかMateシリーズに搭載してきました。絶えず進歩することで、ライバルとの距離を開けることができるからです」(Li氏)

 HuaweiはP9以降、PシリーズとMateシリーズの上位モデルには必ずLeicaと共同開発したカメラを搭載してきたが、これは「撮影の体験と文化にイノベーションを起こしたい」から。「Leicaとは撮影品質を最高にするために最も良い光学モジュールを一緒に作り、ソニーと提携することで最も良いセンサーを搭載し、最高の画質にすべくLeicaと協力してチューニングしています」(Li氏)

 ソニーとは、スマホメーカーという意味ではライバル関係にもあるが、センサーを供給してもらう上では良きビジネスパートナーでもある。「ソニーを含む、たくさんのサプライヤーと戦略的なパートナーシップを結んでおり、同じ目標をみなで共有しています。重要なのはWIN-WINの関係であること。弊社でしっかりと製品が売れたときに、パートナーに経済面でお返しをしないといけないと考えています」(Li氏)

 Huaweiスマホのカメラにはさまざまな機能を用意しているが、「うまく伝えられていないので、普段ユーザーが使っているカメラ機能は、われわれが実現している10分の1程度にとどまっていると推測している」との課題も感じている。Li氏は「これからは宣伝してしっかり伝えていきたい」と話した。

Li Changzhu 端末ビジネスのバイスプレジデントを務めるLi Changzhu氏

Mate 20でモノクロセンサーを廃止した理由

 Mate 20シリーズのカメラで新たに追加したのが、超広角レンズだ。これを採用した理由についてLi氏は「実際にユーザーがスマートフォンのカメラを使う過程で、広角写真を撮るニーズがあると認識していたからです。広角レンズで撮った方がより多くの情報量を収めれます」と話す。

HUAWEI Mate 20 Pro HUAWEI Mate 20 Proのアウトカメラの構成。「4000万画素・F1.8・27mm」の広角、「2000万画素・F2.2・16mm」の超広角と「800万画素・F2.4・80mm」の3倍望遠の3眼だ

 一方、初めてLeicaのカメラを搭載したP9から一貫して採用してきたモノクロセンサーは、Mate 20シリーズでは廃止した。モノクロセンサーはカラーフィルターがない分、たくさんの光を取り込め、暗い場所でも明るく記録できるというメリットをもたらす。Mate 20シリーズではなぜ、モノクロセンサーがなくなったのか。Li氏は以下のように話す。

 「モノクロレンズとカラーレンズという構成では、たくさんの光を取り込め、暗所撮影では良い評価が得られました。一方、弊社が開発した新しいISPの処理能力が向上しました。Kirin 980という新しいチップセットもそれに貢献しています。モノクロレンズはなくしましたが、モノクロの効果がこれまでよりも上がるパフォーマンスを実現したのです」

 これまでもHuaweiのスマホはLeica風味のモノクロ撮影をできることも特徴としていたが、それはどうなるのか。Mate 20シリーズではモノクロ撮影モードは継承しているので、今まで通りのモノクロ撮影は可能だ。Mate 20シリーズで撮ったモノクロ写真の効果は、「Leicaの開発チームとチューニングしているので、Leica風のモノクロ写真を撮れます」(Li氏)ということなので安心したい。

 Mate 20シリーズではなくなったモノクロセンサーだが、「今後もモノクロレンズも使わないとはいえない」とLi氏。「今回の組み合わせは、あくまでユーザーメリットを最大化させるために採用しました。モノクロレンズの研究もこれで終了したわけではありません。センサーも進化しているので、(今後の機種では)モノクロレンズを採用し、カメラのパフォーマンスがさらに飛躍するかもしれません」(同氏)

 Leicaのカメラレンズといえば、P10シリーズではインカメラもLeicaと共同開発したものを採用していたが、P20シリーズやMate 20シリーズのインカメラからはLeicaの冠は外されてしまった。これはなぜか。Li氏は「P20からはライカの冠は外れたが、(Leicaの)品質や基準が変わったわけではない」と話す。

 「Leicaとの業務提携には、2つのポイントがあります。1つが光学レンズの設計、もう1つが画像のクオリティー、つまりLeica風味の写真が撮れることです。セルフィーで撮る写真は異なる風味が(ユーザーから)求められるので、Leicaの方向性とは一致しないということで外しました」(同氏)

あくまで複眼カメラにこだわり

 Huaweiのスマートフォンは、最近はミッドレンジモデルでも2つ以上のカメラを搭載することが標準になっている。一方、最近は「iPhone XR」や「Pixel 3」「Pixel 3 XL」のように、単眼カメラでもAIを活用することで被写体を認識して、背景をぼかせるスマホも目立つ。カメラレンズの数は、今後どうなっていくのか。

 Li氏は複数のカメラを搭載する狙いについて「カメラ使用時の問題を解決し、撮影体験を向上させること」を主眼に置きつつも、スマホのデザインも考えていると話す。例えば10個以上のカメラを搭載したスマホはデザイン性があまりよくないと同氏は考える。スマホは毎日手にする道具であるだけにデザイン性にも配慮し、「MateシリーズもPシリーズも、曲面を持たせるなど、筐体に対しても工夫しています」と同氏。

 シングルレンズでデュアルカメラと同じような性能を実現しているPixel 3やiPhone XRについてLi氏は「それぞれ違うやり方やアルゴリズムが使われていますが、効果が違います。特に人物の背景をぼかすポートレートモードは非常に大きな差が出るので、ぜひ比較してください。1つは人の髪の毛。もう1つは手を腰に当てるポーズで写真を撮ったときです。(複眼カメラなら)深度と奥行きが分かるので、腕と腰の間がきれいに切れます」と、複眼カメラの利点をアピールした。

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