エリクソンが世界的障害を起こし、ソフトバンク網がダウン――5G、IoT時代に向けて、一抹の不安石川温のスマホ業界新聞

» 2018年12月14日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 ソフトバンクが12月6日、通信障害を起こした。しかも、日本だけでなく11カ国でも同時発生していたとは驚きだ。影響の割には、その原因が証明書の有効期間切れというのは、何んともお粗末ではないか。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年12月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 個人的には、アメリカ・ハワイ州マウイ島に滞在しており、アメリカ放題を使っていたが、データ通信も音声通話も快適に使え、全く通信障害の影響を受けなかった。

 ただし、我が子が通う保育園が提供する、子供の様子をレポートしてくれるアプリが、ソフトバンク回線を使ったiPhoneを使っていたようで、「アプリの機能が中断しています。通常のサービスが提供できません。午睡チェック(うつぶせ寝)のレポートは紙面運用に切り替え、連絡帳についても記録を残しています」というお知らせがやってきた。

 新聞報道では電子チケットやモバイルSuicaが使えなくなった、配達員の端末が使えず再配達に対応できないといったトラブルが報告されていた。いまやスマホは個人の連絡手段だけでなく、こうした社会インフラを担う道具となっているだけに、数時間の通信障害であっても、深刻な影響を及ぼすのだろう。

 今回の騒動を振り返ると、この先がちょっと不安になってくる。

 ソフトバンクのみならず、他のキャリアも「IoT」に向けて積極的だ。

 人が持つスマホだけでなく、あらゆるものに通信が載り、便利になる一方、ひとたび、通信が止まってしまえば、制御は不能になる。輻輳となれば、さらに事態を悪化させることもあるだろう。ネットワークを復旧させる際も慎重にやらないと、爆発的なトラフィックを産み、再びネットワークに負荷がかかる恐れもある。

 ソフトバンクはトヨタと組んでMaaSの世界を提供しようとしている。クルマに通信機能が載り、遠隔で制御する世界が当たり前になれば、やはりここでも通信障害が起きれば大惨事になりかねない。

 今回のようにソフトバンクではなく、エリクソンのポカとなると、日本のみならず世界同時多発的に障害が起きることになる。5G時代になり、よりグローバルで共通した設備を導入するようになると、こうした大規模トラブルはさらに拡大することになるだろう。

 「ひとつのネットワークが落ちた時にどう振る舞うようにするか」

  IoTや5G時代に突入する前に、改めてネットワークの冗長性についても慎重な準備が必要だろう。

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