世界を変える5G

202X年のインターネット生活をデータから予想する特集・ビジネスを変える5G(2/2 ページ)

» 2019年02月03日 17時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
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家の回線も5Gに?

 日本での5Gはこれから始まっていく段階だが、すでに米国ではベライゾンが一部でサービスを開始している。

 それは「5G Home」という(その名の通り)5G対応のホームルーターで、自宅の固定回線を置き換えようというものだ。

米ベライゾンの「5G Home」

 このサービスはなかなかに魅力的だ。3日で10GBなどの制限も受けない文字通りの「データ無制限」で、既存のベライゾンユーザーであれば月額50ドル、新規であれば月額70ドルで利用できる。始まったばかりの5Gを利用するためサービス提供エリアには制限があるものの、理論値としては300Mbps〜1Gbpsでサービス提供できるという。

 理論値的には固定の光回線を上回るわけではないが、それに近い速度を5Gホームルーターで実現できるメリットは大きい。

 固定回線では場合によっては有料で配線工事が必要な他、集合住宅タイプなどでは各部屋へ分配するのがボトルネックとなり、ベストエフォートであることを鑑みても思ったような速度が出ないということも発生する。

 他方、5Gホームルーターであれば当然工事は必要なく、契約してデバイスを宅内に置くだけだ。サービス提供エリア内であれば戸建ても集合住宅も関係なくなる(設置場所によっては電波が減衰することも考えられるが)。

 ただ問題は、ベライゾンのように「データ無制限」の5Gホームルーターを日本のキャリアが出せるかどうかだ。

 日本ではKDDIやUQが宅内向けの固定回線を代替するホームルーターを発売しているが、いずれも3日で10GBの制限を設けている。インターネットの利用時間が長いヘビーユーザーはもちろん、家族それぞれが自宅でスマートフォン・PC・ストリーミングデバイスから動画を利用するような家庭などでは、こうした制限があると利用しづらい。

 国内のキャリアはこれまで固定回線とモバイル回線のセット割など、モバイル回線とともに固定回線を売り出す戦略を続けていることから、全面的に5Gホームルーターを売っていこうという方針転換は難しいかもしれない。

 しかし、ベライゾンと同じような5Gホームルーターが出てくれば、ユーザーにとって魅力的な選択肢になることは間違いない。

未来のインターネット生活と主体性

 ここまでを振り返ると、202X年の私達のインターネット生活は以下のようになっている、かもしれない。

  • 自宅回線は5Gホームルーターで、集合住宅でも快適な通信速度に。引っ越し時にもルーターを設置するだけで移行完了
  • 家ではルーターに接続。外ではスマホの5G通信で宅内と変わらない快適なモバイル通信
  • 今より多くの人々がスマホから天気、ニュースなど時事情報をチェックし、SNSやチャットアプリなどでコミュニケーションするように
  • 「折り曲げスマホ」でディスプレイが大画面化。高品質なストリーミング動画や新しい動画形式が配信されるように。5Gが動画利用をけん引

 ……というようになっていくだろうという話を、執筆前に編集部で話していたところ、ある編集者がこんな感想を漏らした。

 「ニュースみたいな新しい情報のチェックと、SNSとかコミュニケーション、動画鑑賞を全部やろうと思うと時間がなくなるんですよね」

 今でもSNSに入り浸ってつい時間を浪費してしまいがちな筆者には、耳に痛い言葉だった。

 技術は確かに新しいサービスを提供し、新しい生活を提案してくれる。しかしそれをどう活用するかは、あくまで自分自身である。主体性を失わずに、新しい技術、サービスと向き合っていくことがこれまで以上に重要になっていくのかもしれない。

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