インタビュー
» 2019年03月01日 15時51分 公開

MWC19 Barcelona:楽天のネットワークは「携帯業界のアポロ計画」 三木谷社長らが語る (2/3)

[房野麻子,ITmedia]

本当の5Gはスタンドアロン

 三木谷氏に続き、楽天モバイルネットワークの山田善久氏と、同社CTOのタレック・アミン氏も報道関係者からの質疑に対応した。一問一答は以下の通り。

楽天 楽天モバイルネットワークの山田氏
楽天 CTOのタレック・アミン氏

―― 5Gを展開する際には、NSA(Non-StandAlone、4Gとの連携を行う仕様)は飛ばして、SA(StandAlone、制御部分も含めて全て5Gの規格に基づいた仕様)から入るという理解でいいのか。

アミン氏 本当の5GはSAだと考えている。5Gのパフォーマンスや能力はSAがマストです。ネットワークスライシングの技術、超低遅延を実現するためにもSAが必要です。

山田氏 基本はSA。一瞬、NSAを通ることがあるかもしれませんが、ソフトウェアアップデートでSAにできます。ほぼSAで行く。端末側の問題もあるので、それを考えながらですけど、SAに行こうと思えば、極めて簡単に行けます。

―― クラウドサーバの構成について、全部自社で持つのか。それともエッジは自社でやるがクラウド側は他のサーバ事業者にホストするのか。

山田氏 基本的にサーバは全部自社で保有する形です。基地局は基本的にはC-RAN構成ですので、基地局側にそんなにサーバはありませんが。通信事業者としてセキュリティ、安全性、安定性は極めて重要になるので、全部自社で保有し、自社で運用していきます。

楽天 サーバは汎用(はんよう)品を採用する

―― 基地局は現在、いくつくらいまで設置できたのか。基地局の設置場所は現時点でどのくらい確保しているのか。

山田氏 先ほど三木谷も申し上げたが、いきなり工事ができるわけではなく、いろんなステップがあります。最終的に東名阪で6月末をめどに、10月のローンチ時にある基地局を6月末くらいまでに用意するということで進めています。

―― 6月末にはどのくらいの数になるのか。

山田氏 細かい数字を出していませんが、カバレッジ、キャパシティーを確保するのに十分な数です。具体的な数については、今のところは公表していませんが、総務省に出している数字があるので、それはやっていきます。

楽天 ブース内に展示していた基地局
楽天 アンテナと基地局装置がケーブルで接続することなく一体化され、シンプルな構成となり、設置面積も小さく済むのが特徴

地下でもつながるようにする

―― 5Gの開設計画の認定申請を総務省に提出したと思うが、5Gの設備投資額はどのくらいか。

山田氏 5Gについては、先日申請書を出しました。設備投資の金額は、これも時期が来たらちゃんと公表します。ただ、基地局の展開やコア部分は5Gを前提に組んでいるので、他社さんに比べると相当少ない金額になるということだけ言わせていただきます。イメージとしては何分の1という感じ。金額はまた改めて公表します。

―― 地下鉄や地下街などもサービスイン時に対応しているのか。

山田氏 他社もそうですが、JMCIA(移動通信基盤整備協会)という団体があり、地下鉄や地下街はスペースが限られているので、今までは3社、これからは4社、共同で基地局を設置していきます。われわれもJMCIAに入れていただきまして、そこを通じて地下鉄などについてはつながるようになります。

ミリ波は都市部で有効活用できる

―― ブースに28GHz帯の基地局を展示しているが、この周波数帯を取得したいという意志があるのか。取得できた場合、低い周波数と電波特性が違うが、どのようなサービスを想定しているのか。

楽天 楽天が独自設計した28GHz帯のスモールセル用基地局
楽天 Qualcommのチップを採用する

アミン氏 28GHz帯の使い方は、Sub-6GHz帯の周波数とのコンビネーションだと思っています。ミリ波は都市部においては非常に有効に使用できると思っています。帯域幅が400MHz幅もあるので、ギガビットクラスのデータレートをサポートできます。ミリ波とSub-6GHz帯でカバレッジをお互いに補完しながら使うようなイメージです。われわれの基地局は、ミリ波とSub-6GHz帯を組み合わせることを考えています。

 都市部において、ミリ波は反射波などもあって、非常に有効に使えることが知られています。今回のMWCでも、ミリ波をサポートするたくさんのデバイスが展示されていますが、われわれは28GHz帯の基地局を密に打っていくことで、使用できるエリアを広げたい。もちろんミリ波だけではエリアが足りないので、先ほど申し上げた通りコンビネーションの使用を考えています。

山田氏 Qualcommさんとかなり密接にやっています。28GHz帯の電波特性もいろんなシミュレーション計画を見せてもらって、どうやって組み合わせていくかを綿密に考えています。

―― Qualcommのチップを使って、自前でスモールセルの基地局を作り展示しているが、自前で作るメリットは何か。将来的に、通信機器の設備を専用ベンダーではなくて自前でそろえていく可能性はあるのか。また、そういった通信基地局を外販することも視野に入れているのか。

アミン氏 われわれ自身で5Gの基地局を設計した理由は、5Gを低価格で提供したいためです。現段階ではまだ5Gは価格が高い。われわれとしては、高い基地局を買うか、もしくは自分たちで設計して作っていくか。Qualcommさんとパートナーを組み、Qualcommさんのチップセットを使うことで、非常に低価格の基地局を提供できたので、それは大きなメリットです。先ほど三木谷が申し上げた通り、それによって5Gの投資を低く抑えることができます。

 2つ目の質問について、われわれがフォーカスしているのは当然日本なので、そちらをメインに考えています。ただ今回、ミリ波の基地局を展示している理由は、ソフトとハードの分離をしたわれわれのアプローチを、エコシステムとして広げていきたいという思いがあるからです。将来的には。他のオペレーターさんといろんな話を進めていきながら、ソフトとハードを分離するアプローチをエコシステムとして広げていきたいという思いはあります。

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