「報酬はいらない」の声が多数 mineoが“アンバサダー制度”を始める狙いMVNOに聞く(2/4 ページ)

» 2019年03月25日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

「報酬はいらない」という声が多かった

―― 共創アンバサダーは、まだ始まっていないのですよね。

上田氏 発表会では3月下旬開始と言っていたのですが、提供する情報の精査、応募いただく側をどう設定するかの検討が長引いているので、4月下旬になる予定です。

―― マイネ王で実施している「アイデアファーム」との違いを教えてください。

上田氏 アイデアファームは、情報が非対称というか。われわれは情報を持っていますが、一部の情報を知った上で投稿いただく形なので、いいアイデアもあるけど、それはできないなというアイデアもあります。できるだけわれわれと同じ情報を知っていただいた上で、どんな新しいサービス、イベント、取り組みができるか。同じ土俵で議論したいと思って始めたのが共創アンバサダーです。どういう方に来ていただきたいか、どういう情報を出せるかのギリギリのところで時間がかかっています。

―― これまで出せなかった情報は、例えばどんなものがありますか?

上田氏 一番大きいのが、接続料が原価でどれだけの割合を示しているかです。今までどこにも出していませんでした。それを知らないとどうなるかというと、「(通信速度が)遅いなら増強したらいいじゃん」となりますけど、増強することが、事業にどれだけのインパクトを与えるかが分かるようになります。

 回線増強を2倍、3倍にすると、赤字を飛び越えて大赤字になると分かるので、それをせずに適切な速度を確保できる方法を、考えてほしいという思いもあります。

mineo 「共創アンバサダー」では、販売戦略やネットワークなどの詳細な情報を提供し、新サービス創出に役立ててもらう

―― 競合他社の方が共創アンバサダーに申し込んで、スパイ的に情報を得られる恐れもあります。これを取り締まる方法はあるのでしょうか。

上田氏 応募いただくときに、どれだけの情報を最初に出してもらうか。どこの企業に勤めているか、そういうのをもらうかどうかを、詰めているところです。(この情報をもとに、競合他社に属する人は参加できない、などのルールを作るものと思われる)

―― 報酬がないのも気になったのですが、モチベーションは維持されるのでしょうか。最初は興味本位で盛り上がっても、継続するのかが心配です。

上田氏 マイネ王の取り組みは基本的に無報酬です。そこが日本ならではというか、海外だとそうじゃないと思うのですが、日本のコミュニティーの助け合いは、報酬を払うかどうかでお客さんの振るまいが変わります。

 無報酬でやっていた状態から、報酬を出すから来てくださいという制度に変えると、今まで無報酬の人は、「報酬はいらない。もともと自分がやりたいと思ってやっていたので、やめてほしい」と思うんですね。実は報酬が必要かどうか、一部のユーザーさんに対して事前に聞いたところ、多くの方が「いらない」と答えました。自分がやりたい、助けたいと思ってやっているので、そこにお金という概念が入ると、お金を目的にやっていると捉えられるので困る――ということでした。

 最初からお金ありきでマイネ王がスタートしていたら、(報酬ありに)変わっていたかもしれません。もともとマイネ王の仕組みが互助、助け合いの精神で成り立っているので、皆さんの意見を尊重しました。

―― 共創アンバサダーでアイデアを提供する場所はどこになるのでしょうか。リアルな場なのかネットの場なのか。

上田氏 恐らく両方になると思います。普段はオンラインでクローズドなコミュニティーの場に情報が公開されて、いろいろなアイデアを出せる。でも、時と場合によっては実際に会って議論する場も必要だと思っています。そのときはメンバーを募って、このテーマについて話し合いたいというふうにします。

 今までもそれらしいことはやっていました。サポートアンバサダー制度をやる前に、こんな制度を考えているんです、という話し合いを、コアなユーザーさんに連絡を取って集まってもらってやりました。

―― 何人ぐらいコアな方がいらっしゃるんですか?

上田氏 200〜300人ぐらいいます。皆さん、いろんな得意分野があるので、テーマごとに集まっていただく人を決める形になると思います。

―― どんなサービスを期待しますか?

上田氏 回線系で良いサービスが出ないかなと。結局、速度は、回線を単に増強すればいいわけではない中で、皆が快適に使える仕組みがないか。それを考えられたらいいかなと思いました。

―― 専用帯域を用いて通信速度を上げる「プレミアムコース」は?

上田氏 まだやっています。もう少ししたら募集を掛ける予定です。

アンバサダー制度で期待する効果

―― 契約数が伸び悩んでいる中で、それを打破するためにアンバサダー制度を始めたという話ですが、外部のユーザーがこれを見てmineoに移るかというと、難しいのではと思います。既存ユーザーがmineoにとどまる要因にはなると思うので、外からユーザーを取るというよりは、解約率を下げる施策なのでしょうか。

上田氏 既存ユーザーさんに、よりmineoを続けていただくというのもあります。外からのイメージとしては、直接的に「共創アンバサダーになりたくてmineoに入る」という人はいないと思いますが、お客さんと一緒にサービスを創っている事業者であるというイメージを持ってもらえることを期待します。情報をオープンにしている事業者であり、企業としての信頼度を持っていただけたらうれしい。

―― 「紹介アンバサダー」では、データ契約は何回線でも一番下のランクになることに対して、不満の声が挙がっています。

上田氏 どんどん紹介してほしいですが、データ通信はやめやすいので……。できたらmineoをメイン回線で利用いただけるようにしたい。紹介する側もされる側も、長くつい続けてほしいので、音声の契約をいただきたいと思っています。

―― 解約率は出していますか。

上田氏 音声契約は、キャンペーンの影響を除いて1%ちょっとくらいです。キャンペーンをやると、終わったときに(解約率が)上がります。データ契約はその倍ぐらいです。

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