“iPhone商戦期”に攻めるmineo ソフトバンク回線を提供する狙いは?

» 2018年07月24日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 ケイ・オプティコムが、MVNOサービス「mineo」で、9月4日からソフトバンク回線を使ったサービスを提供する。これmineoは、au、ドコモ、ソフトバンクの3キャリアの回線を利用できる“トリプルキャリア”対応となる。なお、3キャリアの回線を使うMVNOサービスは、他に「QTmobile」があるが、キャリアと直接接続しているMVNOサービスの中では、mineoが初だという。

mineo ソフトバンク回線もそろえ、トリプルキャリアとなったmineo

 mineoは現在、106万回線まで契約数を伸ばし、MVNOの市場シェアも2017年度末時点で9.2%まで伸ばしている(MM総研調べ)。ケイ・オプティコムの荒木誠社長は、2020年度までに200万回線達成を新たな目標に掲げる。

mineo mineoの契約数は現在、106万にまで伸びた
mineo 新たに「200万回線達成」を目標に掲げる

 mineoでソフトバンク回線を始めるのは、これまで取れていなかったソフトバンク端末の利用者を獲得するという狙いは当然あるが、その際に「SIMロック解除の壁」から解放する必要があると考える。ケイ・オプティコムの調査によると、SIMロックについて聞いたことがある、知っているという人は約7割いたが、約5割の人がSIMロック解除を面倒だと思うという結果が出たという。

mineo SIMロック解除を面倒と感じる人が半数いる

 ソフトバンク端末のユーザーが、mineoのauやドコモのプランを使うには、SIMロックを解除する必要があるが、ソフトバンク回線のSIMなら、ソフトバンクのiPhone 5以降と2017年8月以降発売のAndroid端末なら、SIMロックを解除せずに使える。ケイ・オプティコムは同社のソフトバンクユーザー向け調査から、現ソフトバンクユーザーの78%が、SIMロックを解除せずにmineoのソフトバンクプランを使えると試算している。

mineo 機種や発売時期に制限はあるが、ソフトバンク端末の多くがSIMロックを解除できる

 ケイ・オプティコムは、ドコモユーザーのうちドコモ回線の9.1%がMVNOを選択しているという同社の調べに基づき、3978万のソフトバンクユーザーのうち約360万がMVNOを選択すると想定しており、それなりの市場規模があるとみている。

mineo ソフトバンク回線は約360万の市場規模があるとみる
mineo ケイ・オプティコムの荒木誠社長

 MVNOがキャリアに支払う接続料は、かねてソフトバンクは高いといわれていたが、これが下がってきたことも追い風になった。一方で荒木氏は、「MVNOの障壁を取り除き、家族全員でパケットをシェアするなどして、mineoを使ってもらう世界にしたい」と話す。例えば家族で異なるキャリアを使っているが、mineoなら端末そのままで切り替えられて、パケットシェアやパケットギフトで毎月データ通信を無駄なく使える。余ったソフトバンクのiPhoneを子ども用に使わせたい、といったシーンでもmineoのソフトバンクプランは使える。

 ソフトバンクプランの月額料金はauプランとドコモプランと比べてやや高いが、「3社それぞれに接続の形態やサービスの作り込みがある。ソフトバンクはSIMの種類が多いので、そのあたりの固定費、バックヤードのコスト、運営費を判断した」(荒木氏)とのこと。

 2018年4月から実施している、通信が著しく混雑する際にデータの圧縮やパケット再送を抑制するといった「通信の最適化」は、ソフトバンクプランでも実施する。最適化は当初の案内通り、2018年9月末に解除できるようになる予定。

 100万回線を突破した現在も、黒字化には至っていないという。「店舗の運営費や販促費をどの程度かけていくかにもよる。何回線で何年に黒字という目標は設定していないが、まずは200万に向けて選んでいただく」と荒木氏。ファンサイト「マイネ王」を起点に、ファンとともにサービスを作り上げていくという姿勢は変えず、こうした付加価値は今後も伸ばしていきたいとしている。

 今回、特に気合が入っているのが大盤振る舞いのキャンペーンだ。ソフトバンク回線で音声通話SIMの500MBプランを選ぶと、6カ月間にわたって月額0円で運用できる。申込期間が2018年9月4日〜11月6日ということで、次期iPhoneが発売されるであろうタイミングにぶつけてきた。2年前の2016年にソフトバンクのiPhone 7や7 Plusを割賦で購入した人の支払いが終わるタイミングでもあり、こうしたユーザーを取ろうという狙いも見える。この期間にどれだけのユーザーを獲得し、キャンペーンの割引が終わっても解約されないよう満足度を高められるかが、当面の鍵を握っているといえる。

mineo 3キャリアとも月額333円(税別、以下同)〜、ソフトバンクプランは月額0円〜のキャンペーンを実施する
mineo

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