今回はGoogleの最新モデルでフラグシップの「Pixel 9 Pro XL」を取り上げる。今回、フラグシップは「Pixel 9 Pro」との2本立てとなったが、カメラ性能は全く同じ。使ってみたのは、大きいXLの方だ。
カメラ部が妙に出っ張って見えるのは、デザインが変わったせい。ここ数年はカメラを目立たせる方向にしたのか、他社のハイエンドスマートフォンとカメラユニットを競うとどうしても大きくなって目立つのか――理由は分からないが、かつてのPixelシリーズが持っていた「すっきりした感じ」がなくなったのはちょっと残念である。ただし、専用ケースに入れて使うと、出っ張りは目立たなくなる。
さて、今回のPixel 9 Proシリーズのカメラの特徴は「目にしたままのシーンを撮影できるカメラ」vs「写真に魔法をかけよう」である(どっちもWebサイトにそう書いてある)。
一見すると矛盾しているような、矛盾せず成り立っているような、「見たままをきちんと撮れるカメラ vs 見たままを撮った写真をAIで魔法をかけて違うものにしちゃえ」という対決、的なとってもイマドキなアレである。時代を象徴して面白そうだ。
Pixelで撮れる写真が安定した高画質なのは分かっているので、それは後回しにする。何はともあれ、発表されてから試したかった「一緒に写る」から使ってみよう。
一緒に写るは、みんなで記念写真みたいなのを撮るとき、最初に撮影した人を後から撮って合成して、全員一度に撮ったように見せる技だ。
そういう機能を「ポートレート」の隣というなかなかの“一等地”に割り当ててきたってのも面白い。
今回は自撮りじゃなくて、ふたりが並んで全身が写るような写真を撮りたい。そんなテイで「一緒に写る」を試してみた。
最初に具体的なガイドをしてくれる。
まず、構図を考えて1人めを撮影する。続いて、撮影者1から撮影者2に入れ替わり、同じ立ち位置からカメラを向けると、構図内に1人めの写真が透けてオーバーレイされるので、それを見ながらいい位置にくるよう調整してから撮る。
ちなみに、位置がずれているとしっかりと怒られる。ぴったり合ったら、撮影可能だ。
ちょっと重なっちゃったけど、なんとか撮れた。拡大してガン見しちゃうとディテールに不自然なところはあるけど、そういう所の改善は将来の課題だ。
なお、この一緒に写るで撮ると、合成した写真に加えて元の写真×2(撮影者1が撮った写真+撮影者2が撮った写真)もちゃんと記録される。
そこはさすがGoogle、安心である。
いろいろと試してみたけど、現状、他の人と重ならないようにして撮った方が良さそう。
前後関係をうまく処理してくれるようになるともっと面白くなりそう。
セルフタイマー使わなくても三脚がなくてもスマホを立てかける場所がなくても突然シャッターを押してくださいとお願いされる通りすがりの人がいなくても大丈夫だ、な機能である。
2度撮るとか位置合わせをするっていう手間は必要なので日常的に使うかといわれると微妙だけれども、AIを使って写真を合成する機能のアイデアとしては面白い。
Pixelシリーズのカメラの面白さは、単に「AI」を使うぞ、っていうだけじゃなくて、それを使ってこんな機能を実現してみました、というアイデアにあるのだと思う。
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