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» 2019年05月11日 06時00分 公開

石野純也のMobile Eye:分離プランでキャリアの戦略はどう変わる? ドコモとソフトバンクの決算で見えたもの (1/3)

NTTドコモとソフトバンク、それぞれの通期決算が発表された。業績はどちらも好調で、売上高、営業利益とも前年度と比べて増収増益を記録した。ドコモは6月1日に導入する新料金プランで、最大4000億円の減収が見込む。反転に向けては、非通信領域を強化していく構えだが、これはソフトバンクも同様だ。

[石野純也,ITmedia]

 NTTドコモとソフトバンク、それぞれの通期決算が発表された。KDDIは決算発表を5月15日に予定しており、3社の業績が出そろう予定だ。2社の業績はどちらも好調で、売上高、営業利益とも前年度と比べて増収増益を記録した。一方で、ドコモは6月1日に導入する新料金プランで、最大4000億円の減収が見込む。反転に向けては、非通信領域を強化していく構えだ。

 対するソフトバンクも、通信事業単体で見ると、成長曲線は緩やかになりつつあり、配車サービスの「DiDi」や、決済サービスの「PayPay」、シェアオフィスの「WeWork」といった新規事業に注力する。さらに、2020年度は兄弟会社だったヤフーを傘下に収め、売上高や営業利益の規模を拡大する。ここでは、2社の決算から見えてきたモバイル市場の今を読み解いていきたい。

通信収入が順調に拡大したドコモ、2020年度以降は新料金の影響も

 ドコモの2018年度決算は、売上高が4兆8408億円、営業利益が1兆136億円で増収増益。内訳を見ると、通信事業と非通信事業のスマートライフ領域で、ともに成長していることが分かる。ただし、スマートライフ領域は、売上高が前期比で11億円減少。これは、らでぃっしゅぼーやを売却し、連結から外れた影響が出ているという。

ドコモ 増収増益に終わったドコモの2018年度決算
ドコモ セグメント別に見ると、スマートライフ領域で減収になっているが、これはらでぃっしゅぼーやを売却した影響になる

 通信事業と非通信事業の両輪が伸びている格好だが、本業ともいえる前者の通信事業については、モバイルの減収をドコモ光で補った格好になる。ARPU(加入者1人あたりからの平均収入)を見ると、モバイルAPRUは5240円で、2017年度第4四半期から20円低下している一方で、ドコモ光のARPUは510円と過去最高になった。加入者数が576万と順調に増えているのが、その要因だ。

ドコモ モバイルのARPUはやや低下。ユーザー還元が効いてきたためだ

 モバイルからの通信料収入が減少したのは、「お客さま還元を拡大したため」(吉澤和弘社長)。2018年度は、第1四半期にベーシックパックやベーシックシェアパックを導入している他、第3四半期にもFOMAからの契約変更やMNPでの新規契約に適用される「ウェルカムスマホ割」を実施しており、こうした割引がAPRUを引き下げる結果になった。

ドコモ 矢継ぎ早に打ち出したユーザー還元策が徐々に効き始めているという
ドコモ 決算説明会に登壇したドコモの吉澤社長

 対するスマートライフ領域は、らでぃっしゅぼーや売却の影響はあったものの、営業利益は業績予想の1400億円を73億円上回るなど、順調に規模を拡大している。吉澤氏によると、中でも割合が大きいのはケータイ補償サービスなどの「あんしん系」で、この割合が45%に上る。dカードゴールドの契約数やd払いが伸びたことで、金融・決済事業の割合も伸び、全体の20%を占めるようになった。金融・決済での取扱高は3兆9100億円に拡大したという。

ドコモ スマートライフ領域は、営業利益が順調に拡大
ドコモ 金融・決済系の伸びが高く、取扱高は4兆円に迫る

 増収増益だったドコモだが、2019年度は「減収減益を見込む」(吉澤氏)という。新料金プランを導入するためだ。ユーザーへの還元額は4000億円規模と発表されていたが、2019年度については、「2000億円規模のお客さま還元を実施する」といい、その影響は半分程度にとどまる。こうした数値を織り込んで発表された2019年度の業績予想は、売上高が4兆5800億円、営業利益が8300億円で減収減益になる見通しだ。

ドコモ 新料金プランの導入で、2019年度は、2000億円規模をユーザーに還元する
ドコモ 2019年度の見通し。減収減益の予定だ

 契約している料金プランによって2〜4割の値下げになる新料金プランだが、月々サポートが終了していないユーザーがすぐに変更する可能性は低いため、まずは2000億円の減収になる。これは、月々サポートがなくなる分を含んだもの。吉澤氏によると、「値下げの影響で2500億円減収になるが、月々サポートの戻りが900億円ある」という。両者を差し引きすると1600億円だが、残りの400億円はdocomo withの影響だ。

 ドコモは、この減収分をスマートライフ領域で補っていく方針。新料金プランを導入した際に、業績を反転させる年は2023年度と語っていたが、「もっと早く、早期にそこまで戻したい」(同)という。吉澤氏は「2019年度を底に、2020年度で上げ、2023年度をできるだけ前倒ししていきたい」と語っている。

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