決算から見えてきた分離プラン導入による「メーカー撤退危機」――NTTドコモは月々サポート廃止で900億円の収益改善:石川温のスマホ業界新聞

» 2019年05月03日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 10連休を前にして、キャリアやメーカーの決算会見が相次いだ。それらの数字を見ると、NTTドコモの分離プラン導入を契機に、スマホメーカーにとって、事業の存続が危うくなる未来が見え始めてきた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年4月27日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 NTTドコモでは2018年度の実績として、2442万9000台の総販売台数を計上。しかし、2019年度の計画では分離プラン導入の影響で2250万台となり、実に200万台近い販売台数の減になると予想している。

 もちろん、この影響はもろにスマホメーカーを直撃することになる。

 ソニーはすでに2017年度に1350万台あった販売台数が2018年度には650万台と半減。2019年度も「販売台数の大幅な減少」を予想している。

 また、京セラに関しては、engadgetの報道によれば谷本秀夫社長が「携帯電話事業を続けるか、他へ行くのかはここ2〜3年の課題。(中略)一般的な予想として、5Gが早期に普及しないのではないかという見解がある。5Gスマートフォンは高価になる傾向があるので、ゆっくりとした普及になるのではないか」と言及したという。

 5Gが急速に普及しない理由はもちろん、分離プランの導入だろう。このタイミングで端末への割引がなくなれば、当然、ハイエンドモデルの売上が鈍るわけで、5Gの普及のあしかせになるのは明らかだ。京セラはどちらかといえば、ミドルクラスのスマホに強く、分離プランはむしろ追い風になるかと思いきや、京セラであっても、事業の撤退を匂わすということは、分離プランの導入がメーカーを死に追いやる愚策であることは明らかだ。

 ただ、キャリアにとってみれば、分離プランの導入は決してマイナスではない点もある。

 NTTドコモの決算会見で、筆者が「分離プラン導入によって月々サポートが6月からなくなると思うが、その収益構造はどうなるのか」と吉澤社長に訪ねたところ、こんな回答が返ってきた。

 「2019年度のお客様還元による収支の影響は2000億円の減。ただし、これは値下げの影響が2500億円だが、月サポがなくなる分で900億円の戻りがある。これで1600億円の減になるのだが、docomo with分が400億円分あるために合計で2000億円という計算になる」とのことだった。

 つまり、総務省が推し進めた分離プランによって900億円分、キャリアにとっては収益が改善したということになる。この900億円は3キャリアでの競争に使われていたわけでもあり、ユーザーはスペックの高い端末を手軽に手に取れていたわけだ。

 確かに通信料金は値下げされたかもしれないが、多くのユーザーがスマホに慣れることで、月々のデータ使用量は増えていき、結果として支払う額も上がっていく。通信料金の値下げによる影響は限定的ですぐに収益が回復するのは間違いない。つまり、キャリアにとってみれば、分離プランの導入により、経営上、負担であった端末割引からおさらばできる絶好のチャンスだったのは明らかだ。

 分離プランの導入により「結局、最終的にはキャリアが得することになる」ということに、総務省はなぜ気が付かないのだろうか。

© DWANGO Co., Ltd.

アクセストップ10

2026年10月14日 更新
  1. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  2. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  3. 7型ディスプレイ搭載「Apple HomeView」発表 Siri AIと顔識別で家族全員に「欲しい情報」を届ける (2026年10月13日)
  4. 個人情報の流出にユーザーはどう備える? 乗っ取りやクレカ不正利用を防ぐ「3段階」の対策ガイド (2026年10月12日)
  5. Apple、「HomePod mini」に新色「ミッドナイト」追加 実はスペースグレイとの違いアリ (2024年07月16日)
  6. 楽天モバイル、KDDIローミングが大幅に縮小――ユーザーに対する説明責任はないのか (2026年10月11日)
  7. Google、画面付きトラッカー「Google Fitbit Edge」発表 日本では2万6800円で予約開始 バッテリー交換にも対応 (2026年10月13日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. ソフトバンクの「iPhone Duo」は一括42万9760円、2年23万9760円から 18 Proよりも免除額は控えめ (2026年10月13日)
  10. Apple、「HomePod mini 2」を発表 天面が光るサウンドグローや4台連携でのサラウンド機能に対応 2万4800円 (2026年10月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー