「ZenFone 6」発表、フリップカメラ搭載でノッチなし その中身を徹底解説する(2/3 ページ)

» 2019年05月17日 03時30分 公開
[房野麻子,ITmedia]

フリップカメラを実現させた高度な技術力

 ZenFone 6で、全画面ディスプレイとともに非常に印象的なのが、背面のフリップカメラだ。風景などは一般のスマホ同様に撮影するが、セルフィーを撮る際にカメラ切り替えボタンをタップすると、フリップが素早く立ち上がり、2つのレンズが正面を向く。セルフィーも高画質なカメラで撮れるのが魅力だ。顔認証も同様にこのフリップカメラで行われ、認証が済むと速やかにたたまれる。

 フリップはごく小さなモーターで動いているが、非常に素早く滑らかな動きだ。ハードウェアエンジニアリングリーダーのTom Lin氏は、この動きを「セクシー」と表現していたが、何度も動かしてみたくなる面白いギミックであることは間違いない。

ZenFone 6 フリップカメラは好みの角度で使える

 このフリップカメラには、技術的にさまざまな工夫が盛り込まれているが、特にキーとなるパーツが4つあるという。それは「カスタマイズされたステッピングモーター」「ギアボックス(歯車装置)」「モジュール内の部品の配置方法」「液体金属」の4つだ。

 ZenFone 6のフリップカメラは非常に滑らかに動き、フリップを好みの場所で止めてフリーアングル撮影ができることも特徴だ。この動きを実現するために、エンジニアはモーターに多くの労力をかけたという。一般的なモーターだとステップ角度は18度だが、ZenFone 6のステッピングモーターは2度のマイクロステップ駆動で、スムーズな動きを実現している。

ZenFone 6 ZenFone 6のフリップカメラのステッピングモーターは2度のステップ角度で、滑らかに動く

 ZenFone 6のギアボックスは、他社のポップアップカメラと比較すると、カメラモジュールが重く、動かすためにより多くの力が必要となる。そのため、ギアボックス自体を再設計し、1:120の減速比を実現。これはモーターの回転が非常に速いことを意味する。

ZenFone 6 ポップアップカメラと比較して、モーターの減速比が2倍になった

 さらに、フリップカメラにはカメラセンサーの他に、重力センサーやジャイロセンサー、多くのケーブルなどが入っている。これらを小さなケース内に詰め込んだことを、ハードウェアエンジニアリングリーダーのTom Lin氏「誇りに思う」と胸を張っていた。

ZenFone 6 フリップカメラ内には各種センサーや多くのケーブルなどが詰め込まれている

 フリップカメラは大きく動くので耐久性も重要だ。そこで本体の素材には、金属よりも軽くしなやかで、樹脂よりも強い液体金属(アモルファス)を選択した。アモルファスは原子の並びがバラバラで、何かにぶつかったりしてストレスがかかった際も原子の動く隙間があるため壊れにくいという性質がある。

 もちろん耐久試験も行っていて5万回の使用にも耐えるという。また、フリップカメラが開いているときに端末が落下しても壊れないように、重力センサーが落下を検知して、素早くフリップが閉じるようになっている。

ZenFone 6 1mから落下した場合は、フリップカメラは壊れない安全な角度になり、1.25mから落下した場合はフリップが完全に閉じる

 100以上のさまざまなユースケースを想定し、フリップカメラが適切に動作するようにもしている、例えばバッグの中にある場合や電話をしている場合、近接センサーや照度センサーによってバッグ内や通話状態にあることを認識し、フリップカメラは動かない。また、机の上に置かれていることをジャイロセンサーによって認識し、ビデオ通話がかかってきても、端末を手に取らないとフリップカメラは起動しないという。

 なお、このフリップカメラを囲むようにプリント基板(PCB)が配置されているが、狭いスペースを有効活用するために、2つ同じ形のPCBを重ねて配置するという工夫も行っている。

ZenFone 6 2枚の同じ形状のプリント基板を重ねて配置している
ZenFone 6 2枚のプリント基板を紹介するハードウェアエンジニアリングリーダーのTom Lin氏

フリップカメラでパノラマ撮影が楽しい

 メインカメラにはソニーの積層型CMOSイメージセンサー「IMX586」を採用。4800万画素と非常に高画素で、隣接4画素が同色のカラーフィルターであるQuad Bayer配列を採用しており、夜間など低照度時には画素サイズ1.6μm相当(1200万画素)に感度を高め、低ノイズで明るい写真が撮れる。日中の明るい屋外では4800万画素の高解像度で撮影でき、デジタルズームでもきれいな写真が得られる。

 セカンドカメラは1300万画素で125度の視野を持つ超広角カメラで、大きな建物や室内を撮るのに便利だ。ファインダー上のアイコンをタップして切り替えて撮影する。

ZenFone 6
ZenFone 6 ZenFone 6のカメラスペック

 位相差オートフォーカスの他、レーザーフォーカスも搭載し、クリアでシャープな写真が撮れる。複数枚の写真を撮って合成し、白飛びや黒つぶれのない写真が撮れるHDR+や、夜間でも美しく撮れる「Super Night Mode」も利用できる。

 フリップカメラでは、一般のスマホカメラではできないユニークな撮影もできる。フリップは好みの位置で止められるので、フリーアングルで撮影できる。説明会では、小さな子どもなどを普段とは違った視点で撮影できると紹介された。

ZenFone 6 ファインダーのカメラ切り替えボタンをタップすると、フリップカメラが立ち上がる
ZenFone 6 フリップカメラの背面
ZenFone 6 カメラのファインダー。下部の山のアイコンをタップして、標準と超広角レンズを切り替える
ZenFone 6 ファインダーの下部にあるスライドバーを長押しして、フリップカメラの角度を調整できる

 オートパノラマ撮影も面白い。シャッターボタンをタップするとフリップカメラが自動で動いてパノラマ撮影を行う。自分が動かなくていいので、これまでのパノラマ撮影よりブレのない写真が撮れ、最後にカメラレンズが正面を向くので、自分も写真に写る。パーティなどで、ひと味違った180度写真、グループセルフィーが撮れるだろう。

 通常のセルフィーも超広角カメラを使えば大人数でも楽に撮れる。さらに、動画撮影時に被写体をタップして選択すると、フリップカメラが動きながら被写体にフォオーカスを合わせる「モーショントラッキングモード」も利用できる。説明会で試用した端末は開発中のものだったので、撮った写真を含め画像を取り出すことはできなかったが、撮影自体は楽しめるものだった。

ZenFone 6 スマホを水平に持ち、ファインダーを見ながらフリップカメラの角度を調整してフリーアングル撮影ができる
ZenFone 6 パノラマ撮影ではフリップが動く
ZenFone 6 身体を動かして撮るパノラマより簡単にきれいに撮れる。自分が映り込むのが面白い
ZenFone 6 縦方向のパノラマ撮影

 一方、机の上に置いているとフリップカメラは起動しないので、顔認証で画面ロック解除ができない。指紋センサーは背面にあるので、このときばかりは少し面倒だと感じた。

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