ASUSは5月16日(現地時間)、スペイン・バレンシアで、ZenFoneシリーズの新たなフラグシップモデル「ZenFone 6」を発表した。
ZenFone 6は、狭額縁の6.4型「All-screen NanoEdge Display」と、背面に搭載した「Flip Camera(フリップカメラ)」が特徴的なAndroidスマートフォン。フリップカメラは、セルフィーや顔認証の際にモーターで素早く立ち上がるため、本体正面にカメラはなく、正面はほぼディスプレイで占められている。最近のスマホによく見られるノッチもなく、6.4型と大画面だが持ちやすいサイズに収まっている。
ASUSは、バレンシアで行われた発表会に先立ち、4月中旬に世界各国の報道関係者を台北の本社に招き、技術者によるZenFone 6の詳細な説明会を開催した。今回は、そのときの情報を交えながらZenFone 6について紹介する。
ZenFone 6の開発にあたっては、以下の4つのポイントを重視したという。「快適な視聴体験」「バッテリーの持ち」「素早い動きと使い勝手」「写真好きのクリエイティビティを刺激するカメラ機能」の4つだ。
それらの中でも、スマホの操作の大部分が行われるのがディスプレイだ。ZenFone 6では本体サイズを維持したまま、より見やすく大きな画面にすることを目指した。オールスクリーンナノエッジディスプレイと名付けられた超狭額縁のディスプレイはノッチもパンチホールもなく、手に持つと画面だけを持っているような感覚だ。6.4型と大画面ながら、画面占有率が92%と高いため、前機種の6.2型のZenFone 5と本体サイズはほとんど変わらない。また、背面は両端がカーブしていて、持ちやすいデザインだ。
ディスプレイの輝度は屋外でもしっかり見える600nits。デジタルシネマ規格のDCI-P3に準拠し、広い色域をカバーしている。表面のガラスはコーニングのGorilla Glass 6で、傷が付きにくく落下で割れにくくなっている。
ASUSの調べでは、スマホユーザーの90%が、残り少ないバッテリー残量で焦った経験があるという。バッテリーの持ちはスマホ最大の弱点とされ、大容量化したり急速充電を可能にしたり、載せるだけの手軽なワイヤレス充電に対応させたりと各社さまざまな工夫をしている。ただし、ZenFone 6のハードウェアエンジニアリングリーダーのTom Lin氏によると、大容量と急速充電はトレードオフの関係にあるという。
そこでASUSがちょうどいいバランスだと判断したのが、Quick Charge 4.0(18W)に対応する5000mAhのバッテリーだ。これならスマホを思い切り使っても安心の容量。Lin氏は、1日使える3300mAh分のバッテリーを充電する場合、27Wで急速充電できる他社端末とZenFone 6の充電スピードはほとんど変わらないというグラフを示した。
大容量バッテリーは小容量バッテリーほど頻繁に充電しなくてもいいので、バッテリーそのものの寿命も長いとLin氏は言う。長期間使っていると、バッテリーが膨らんだり、バッテリー容量が減ってきたりするが、大容量バッテリーはその点でも優秀だと説明した。
なお、ZenFone 6がワイヤレス充電に対応しない理由として、Lin氏はワイヤレス充電によるバッテリーの温度上昇を挙げた。ワイヤレス充電によってバッテリーは高温状態が長く続き、バッテリーの膨張や容量減少の原因になるという。有線で充電するZenFone 6はバッテリーの性能が良い状態で維持されるとの判断だ。
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