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» 2019年07月05日 21時00分 公開

ソフトバンクがイオン九州と商品配送の効率化に向けて協業 宅配業の抱える課題とは? (1/2)

ソフトバンクがイオン九州とタッグを組み、商品配送におけるいわゆる「ラストワンマイル」の効率化を目指す協業を開始した。現状の「宅配」にはどのような課題があるのだろうか。そして、それをどのように解決していくのだろうか。

[井上翔,ITmedia]

 ソフトバンクが、イオン九州と共同で物流効率化を目指した協業を開始。配送拠点から配送先までのいわゆる「ラストワンマイル」をICT(情報通信技術)を使って効率化することを目指すという。

イオン九州と提携 ソフトバンクがイオン九州と協業

精鋭が集まったソフトバンクの「DX本部」

今井副社長 ソフトバンクの法人事業の取り組みを説明する今井康之副社長

 今回の協業において、ソフトバンクでは「デジタルトランスフォーメーション本部(DX本部)」が重要な役割を担っている。

 DX本部は、その名の通り「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を専門的に扱う組織で、2017年に発足。当初の人員は120人で、その半数が営業部門から、3割ほどがコーポレート部門から、残りが技術部門などから集めたという。現在は170人の陣容となっている。

 この本部のミッションは「ICT技術を用いた社会課題を解決」と「新しい収益の柱の創出」。さまざまな分野の有力企業と協業し、新たなサービスを「共創」していくのだという。イオン九州は「共創」パートナーの1社ということになる。

DX本部の概要 ソフトバンクのDX本部は、営業担当者を中心に120人を“招集”してスタートした
DX本部のミッション DX本部のミッション。協力パートナーと一緒になって社会課題の解決に取り組む中で、新たな収益源を発掘する
DXに必要なスキルをたたき込む DX本部に赴任した人たちは、営業から離れてDXに必要な知識とスキルの教育を受けた

宅配の課題は「ラストワンマイル」に多い

河西氏 イオン九州との取り組みについて話すDX本部長の河西慎太郎氏

 ソフトバンクのDX本部では、450件超の新規事業のアイディアを出してきたという。

 これらのうち、35件は事業化を進める段階にあり、さらに17件は2020年度末(2021年3月末)までに収益化を予定しているとのこと。今回のイオン九州との取り組みは「17件」の1つということになる。


35件が事業化に向けたフェーズに17件が収益化に向けたフェーズに 450件超の事業化アイディアのうち、35件は事業化に向けた検討が始まっており、さらにそのうちの17件は2020年度末までの収益化を見込んでいる

 新事業のアイディアは「人口減少」にフォーカスしたものが多いそう。簡単にいえば、人手(なり手)不足で起こるさまざまな社会課題を、ICTを活用して解決していこうというアプローチのアイディアが多いということだ。

 人手不足による問題は、さまざまな産業分野で顕在化しつつある。運輸業では人手不足による問題が「乗客の多いバス路線を減便せざるを得なくなった」「宅配便の再配達で指定できる時間が削減された」といった形で表出している。

 後者の「宅配便の再配達」については、「国内でのWeb通販(Eコマース)の成長」「配送する荷物数の急増」「単身世帯や共働き世帯の増加」といった社会環境の変化が人手不足を助長している面もある。

 宅配業者によっては、配達の一部を外部の輸送業者に委託している場合がある。この場合、通常はトラック(あるいはバン)を1台単位で“貸し切る”契約となっており、荷物量がトラックの積載量を超えてしまえば「機会損失」になるし、逆にトラックの積載量より荷物が少なければ「余剰コスト」になってしまう。

 配達を受託する宅配業者は個人(自営)である事も少なくない。宅配業者からの依頼が需給状況により変動してしまうと、収益が不安定化し「死活問題」となりうる。

 簡単にまとめると、配送業の課題の多くは「ラストワンマイル」関わるものであるということ。DX本部はここにICTを活用するチャンスを見いだしたようだ。

人手不足 さまざまな産業で人手不足による問題が顕在化しつつある
Eコマースの成長取り扱い荷物の増加 Web通販の成長に伴い、宅配業者が運ぶ荷物の数も増加
世帯構成の変化高い再配達率 共働き世代の増加など、世帯構成の変化に伴い再配達率は高い水準に
荷物は増えてもドライバーはむしろ減るトラックのチャーター 荷物は増加傾向なのにドライバーは減少傾向。トラック(やバン)のチャーターも効率向上の面では課題
ソフトバンクのやろうとしていること そこでソフトバンクのDX本部ではラストワンマイルを中心に配送サービスをプラットフォーム化しようとしている
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