ソフトバンクが、イオン九州と共同で物流効率化を目指した協業を開始。配送拠点から配送先までのいわゆる「ラストワンマイル」をICT(情報通信技術)を使って効率化することを目指すという。
今回の協業において、ソフトバンクでは「デジタルトランスフォーメーション本部(DX本部)」が重要な役割を担っている。
DX本部は、その名の通り「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を専門的に扱う組織で、2017年に発足。当初の人員は120人で、その半数が営業部門から、3割ほどがコーポレート部門から、残りが技術部門などから集めたという。現在は170人の陣容となっている。
この本部のミッションは「ICT技術を用いた社会課題を解決」と「新しい収益の柱の創出」。さまざまな分野の有力企業と協業し、新たなサービスを「共創」していくのだという。イオン九州は「共創」パートナーの1社ということになる。
ソフトバンクのDX本部では、450件超の新規事業のアイディアを出してきたという。
これらのうち、35件は事業化を進める段階にあり、さらに17件は2020年度末(2021年3月末)までに収益化を予定しているとのこと。今回のイオン九州との取り組みは「17件」の1つということになる。
新事業のアイディアは「人口減少」にフォーカスしたものが多いそう。簡単にいえば、人手(なり手)不足で起こるさまざまな社会課題を、ICTを活用して解決していこうというアプローチのアイディアが多いということだ。
人手不足による問題は、さまざまな産業分野で顕在化しつつある。運輸業では人手不足による問題が「乗客の多いバス路線を減便せざるを得なくなった」「宅配便の再配達で指定できる時間が削減された」といった形で表出している。
後者の「宅配便の再配達」については、「国内でのWeb通販(Eコマース)の成長」「配送する荷物数の急増」「単身世帯や共働き世帯の増加」といった社会環境の変化が人手不足を助長している面もある。
宅配業者によっては、配達の一部を外部の輸送業者に委託している場合がある。この場合、通常はトラック(あるいはバン)を1台単位で“貸し切る”契約となっており、荷物量がトラックの積載量を超えてしまえば「機会損失」になるし、逆にトラックの積載量より荷物が少なければ「余剰コスト」になってしまう。
配達を受託する宅配業者は個人(自営)である事も少なくない。宅配業者からの依頼が需給状況により変動してしまうと、収益が不安定化し「死活問題」となりうる。
簡単にまとめると、配送業の課題の多くは「ラストワンマイル」関わるものであるということ。DX本部はここにICTを活用するチャンスを見いだしたようだ。
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