世界を変える5G

LTEは2022年がピーク 5GはLTEより勢いよく普及――エリクソン「モビリティレポート」から

» 2019年07月26日 15時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 スウェーデンの通信機器メーカー「Ericsson(エリクソン)」がこのほど、2019年6月版の「Mobility Report(モビリティレポート)」を公開。2024年の終わりまでに5G(第5世代移動体通信システム)の契約者数が全世界で19億件、全モバイル通信のトラフィックに占めるシェアが35%に達するとの見通しを示した。

 これに合わせて、同社の日本法人であるエリクソン・ジャパンが同レポートの説明会を開催。藤岡政宣CTOがその内容を解説した。この記事では、5G携帯電話(スマートフォン)やモバイル通信の契約者数の予測に関する部分を抜粋してお伝えする。

Webサイト Ericsson Mobility Report June 2019のWebサイト。レポートの全文はこのサイトからPDF形式でダウンロードできるが、英語版のみとなる
藤岡政宣CTO 国内メディアにレポートについて説明する、エリクソン・ジャパンの藤岡政宣CTO

LTEのピークは2022年 W-CDMAは意外と減らない?

 モバイル通信の加入者(契約者)数の推移を通信方式(規格)別に見た場合、EricssonではLTE(LTE-Advancedを含む)のシェア上のピークは2022年に訪れ(53億契約)、その後5Gの普及に従って少しずつシェアを減らすものの、5年後の2024年段階ではトップを保つと予測している。

 LTE以前の旧世代に目を向けると、日本や韓国以外で使われているGSM(2G)の契約者数は引き続き減少を続け、2024年段階では5億契約を下回るとの見立てとなっている。国や地域によってはGSMの停波を行うキャリアも出てきているが、ゼロ(完全廃止)とは行かないようだ。

 3G(第3世代移動体通信システム)規格の1つである「W-CDMA」については、意外と減少幅が少なく、2024年段階でも“第3の規格”として残りそうである。

加入予測 2019年6月版における通信方式別の加入者数予測。LTEがメインであり続けるものの5Gが急速に普及、W-CDMAは案外多めに残るという見立てとなっている

5G回線数は「上方修正」 LTEよりも急速普及を見込む

 5Gについては、2024年までに全モバイル契約の約22%、約19億契約まで普及すると見ているという。前回(2018年11月)のレポート(PDF形式)では「全モバイル契約の17%、約15億契約まで普及」との予測だったので、わずか7カ月で「上方修正」されたことになる。これは全世界的に5G通信サービスの普及を早める動きが見られることを反映した結果のようだ。

2018年11月予測 2018年11月版における予測。先ほどの2019年6月版と比較すると、5Gの普及予測が控え目となっている

 LTE(4G)と5Gの普及速度については、Ericssonは5GはLTEより勢いよく普及すると見ている。ただし、契約の大半はスマートフォンになるとの見立てで、5Gの特徴のうち「超低遅延」「超多接続」を生かせるIoT(モノのインターネット)分野での普及は2020年代後半になるとしている。

 ただし、この予測はあくまで世界全体での状況を示したもの。IDC Japanは日本での5G普及はLTEよりも緩やかになるとの予測を立てている。

増減図 スマホ(音声端末)の世代別増減図。5G対応スマホは2024年までに約18億契約との予測を立てている
普及速度 LTE(4G)と5Gの規格確定年から6年間の普及速度推移。5Gは予測値ではあるが、LTEよりも急速に契約数を伸ばすと見ているようだ

5G普及は北米先行

 Ericssonは、全世界で2024年にはモバイル契約の約22%が5G契約になると予測するが、その“濃淡”を見ると地域差がハッキリと見受けられる。

 5Gが一番急速に普及すると見られるのが米国を含む北米地域で、全契約の63%が5Gになるとの見立てだ。次点は、日本や韓国、中国などを含む北東アジア地域。全契約の47%が5Gになると予測されている。西ヨーロッパも比較的普及率が高くなりそうだ。一方、中東・アフリカやインド、中南米などではそれほど5G普及が進まないと見られている。

 5Gシェアが高い地域は、経済的に発達している地域でもある。端的にいえば5G用のインフラを構築する余力があるキャリアが多く、ユーザーも5G端末を買う経済力を備えている。その中でも特に北米地域のシェアが高まる理由としては、5Gの特徴である「超高速・大容量」を生かせるコンテンツが充実していることもあるという。

 一方、5Gシェアが低い地域は、経済的に発展が進んでいない地域でもある。その中でも少し特殊な傾向を示しているのがインド。2018年時点ではGSMのシェアが半分近くを占めているが、2024年段階では82%がLTEで、W-CDMAは0%、つまり無くなるとの見立てとなっている。これはインド市場において固定ブロードバンド回線が普及していないこと、キャリア間競争が非常に熾烈(しれつ)で廉価なLTE通信サービスの普及が進んだことなどが影響しているようだ。

世界別シェア 地域別に見た世代別シェアの予想。地域によって差が大きいことが分かる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月28日 更新
  1. 「楽天モバイルWiFiスポット」を試してみた 屋内通信の不満解消へ期待も「接続性」に課題 (2026年07月26日)
  2. 夏の暑さ対策グッズでよく見掛ける「ペルチェ素子」ってなんだ? 賢く使うための注意点も (2026年07月27日)
  3. 折りたたみスマホ「OPPO Find N6」を3カ月使って実感した“真価” 仕事とプライベートで大活躍 (2026年07月26日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  6. 気温35度以上のハンディファンは「逆効果」 猛暑を安全に乗り切る使い方と2026年おすすめ5選 (2026年07月27日)
  7. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  8. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  9. 【3COINS】100段階で風量調整、透明デザインの「大風量ペルチェ付きハンディファン」 3300円 (2026年07月27日)
  10. UQ mobileとY!mobileの「セット割なし」新割引を比較 ahamo、LINEMO、楽天モバイルよりもお得? (2026年07月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー