既報の通り、総務省の電波監理審議会は4月10日、同省から諮問を受けた「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画の認定」について、原案を適当とする答申を行った。これを受け、同省は同日中に申請者に認定証(免許)を交付した。
周波数帯(帯域)の割り当てを受けた各キャリアは、どのように5G(第5世代移動通信システム)の通信サービスを展開していくのだろうか。
免許の交付を受け、各キャリアは全国に5G用基地局を設置できるようになった。総務省に提出された計画書によると、各キャリアは以下の時期に5Gの商用サービスを開始する予定を立てている。
多少の時期の前後はあるが、2020年前半までには各キャリアの5G商用通信サービスが始まることになる。
それに先立ち、NTTドコモでは9月から11月にかけて日本各地で開催される「Rugby World Cup 2019」の会場でのプレサービスを予定している(参考記事)。またKDDIは「2019年9月」(広報部)にトライアルサービス、ソフトバンクも「2019年夏以降」(広報室)にプレサービスを提供する予定となっている。
暑さが和らぎ始めた頃には5Gを間近で体験できる機会が増え、寒さが和らぐ頃合いにはさらに身近になるだろう。
今回の免許交付では、認定者に以下の条件が課されている。
この2点は計画提出段階における「絶対審査」の基準(最低要件)となっているので、各キャリアともに計画上はクリアしている。ただ、その詳細を見ると、キャリアによって目指す方向性に差が見られる。
2024年度末までに各キャリアが計画している全国の5G基盤展開率は以下の通り。
少なくとも今回の割り当てにおいては、ドコモとKDDIは広範囲のエリア化を想定する一方で、ソフトバンクと楽天モバイルはエリアを広げることにそれほど積極的ではないと思われる。
5G基地局を束ねる機能を備えた「高度特定基地局」に視点を向けると、違う光景が見えてくる。2024年度末までに各キャリアが計画している高度特定基地局の全国展開数は以下の通り(かっこ内は関東総合通信局管内の展開数)。
総務省では高度特定基地局を「1メッシュに1つ」設置することを想定しており、ドコモ、KDDIとソフトバンクはそれに準拠した(メッシュ数と高度特定基地局数が一致する)計画を提出している。
一方で、楽天モバイルはメッシュ数の約3.2倍の高度特定基地局を設置する計画を立てている。しかも、その過半数を関東に設置し、東海・近畿でも他キャリアの倍以上の数を設置するようだ。ただ、地域別基盤展開率を見ると関東が58.4%、東海が57.1%、近畿が58.4%と他キャリアよりも低めの計画となっている。
楽天モバイルは東京23区、大阪市、名古屋市を中心とするいわゆる「三大都市圏」に“全振り”をした5Gサービスを展開しようとしていると思われる。
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