世界を変える5G

世界で「5G」が花開く2019年 その動向を簡単にチェックCES 2019(1/2 ページ)

» 2019年01月11日 14時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 2018年10月、米国の大手キャリア「Verizon Wireless」が世界で初めて5G(第5世代移動体通信システム)の要素技術を取り入れた商用通信サービスを開始した(参考記事)。2019年には、日本を含む複数の国で、トライアル(試験提供)を含む5Gの商用通信サービスが始まる予定となっている。

 米国太平洋時間の1月8日から11日まで米国・ラスベガスで開催されている「CES 2019」では、これから5Gが“やってくる”ことを感じさせる展示がいくつか見られた。この記事では、米Qualcomm(クアルコム)と米Intel(インテル)の展示を簡単に紹介する。

Qualcomm:5Gスマホ・ルーターの実機を展示

 自社の「Snapdraon 855」プロセッサと、組み合わせて使う5Gモデム「Snapdragon X50」を組み合わせた5Gモバイルデバイスが30超登場することを発表したQualcommのブースにある5Gコーナーのテーマは「THE REAL 5G(ホンモノの5G)」がテーマ。5Gが実用フェーズに入ったことを意識した展示が複数見られた。

THE REAL 5G

 Verizon Wirelessの5G NR(5G New Radio:5Gの商用通信規格)ネットワークを使った動画のストリーミング再生デモでは、Snapdraon X50とミリ波(mmWave:30GHz超の電波)に対応するアンテナ「QTM052」を搭載した5Gスマートフォンのプロトタイプが用いられた。

5Gスマホ 5Gスマホのプロトタイプ。Verizonの5Gネットワークで通信している
Snapdragon X50とQTM052 Snapdragon X50とQTM052の実物も展示

 ブースではSnapdragon X50を搭載する5Gスマホや5Gモバイルルーターも展示された。

 スマホはOPPOの「Find X」、vivoの「NEX」、Xiaomiの「Mi Mix 3」の5G版(NEXのみプロトタイプ)が展示された。いずれも、2018年12月に中国の大手キャリア「China Mobile(中国移動通信)」が行った5Gサービスに関する説明会で披露されたものだという。

 5GモバイルルーターはChina Mobile、米Netgear(米AT&Tを通して販売)、米Inseego(Verizonを通して販売)の各1機種が展示された。中でもNetgearの「Nighthawk(ナイトホーク)」は米国の一部地域で提供を開始しているものだ。

5Gスマホ 2018年12月のChina Mobileのイベントでも披露された中国メーカーの5Gスマホ3機種(うち1機種はプロトタイプ)。いずれもSnapdragon X50を搭載している
ルーター 米国キャリア向けの5Gモバイルルーター。NetgearのNighthawkはすでに米国の一部地域で提供を開始している。ちなみに、米国ではキャリアを通した端末販売の方が主流だ(日本と同様)

 さらに、このブースでは米AT&Tの5G NR回線を使ったxR(VR【仮想現実】やAR【拡張現実】)のデモも行った。ITmedia PC USERの記事「なぜ5Gのデモは『VR・ARが人気』なのか」にもある通り、5Gの実力を一番“分かりやすく”示せるからだと思われる。

数字 LTEとミリ波を使った5Gの通信速度比較。ミリ波5Gは圧倒的に高速かつ低遅延だが、数字だけでは違いが分かりづらいという側面もある
xRデモ Qualcommブースの5Gを使ったxR体験のデモ。高速・低遅延を分かりやすく示すには一番であることは間違いない

 QualcommブースにはVerizon MobileとAT&Tの5G基地局用のアンテナが臨時設置された。前者は28GHz帯、後者は39GHz帯と、両者ともにミリ波(付近)の帯域で通信を行った。

アンテナ(その1)アンテナ(その2) Qualcommブースに設置された基地局用5Gアンテナ
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