ただ、先述の基盤展開率はあくまでもメッシュベース。10km四方内に1局でも対応局があれば「カバーしている」と見なされてしまう。
5Gは現状、LTE(4G)よりも高めの周波数帯で展開されるため、電波の届く範囲が狭め。特に、ミリ波(30GHz超の電波帯域)に近い28GHz帯ではかなり“ピンポイント”なエリア展開を強いられる。そうなると、基地局の設置数も重要な要素となる。
各キャリアが提出した、2024年度末における基地局数計画は以下の通り。
3.7GHz帯及び4.5GHz帯の第1〜第4帯域は、全キャリアに1つずつ割り当てられた。設置計画数ではKDDIがダントツで多く、新規参入の楽天モバイルが次点となっている。
先述の通りKDDIは比較的メッシュが広範。そのメッシュの中でも多くの場所で5Gサービスを使えるようにしようと考えていると思われる。
一方、ドコモもメッシュは広範だが、設置計画上の総数はKDDIの半分にも満たない。ただし、屋内基地局は一番設置計画数が多い。屋内でのカバレージを優先しているものと思われる。
楽天モバイルは全キャリアの中でメッシュのカバー率が一番低いにもかかわらず、ドコモやソフトバンクよりも基地局の計画総数が多い。先述の高度特定基地局の配置と相まって、その大半は三大都市圏に配置されるものと思われる。ある意味で、かつての「イー・モバイル」をほうふつとさせる展開となりそうだ。
第5帯域は楽天モバイルを除く3キャリアが利用を申請。計画基地局数が一番多かったKDDIが獲得した。
KDDIはこの帯域を第1帯域と重ねて用いることで高トラフィックエリアでの収容数増加に活用するものと思われる。
第6帯域はドコモとKDDIの一騎打ち。結果、計画基地局数が一番多かったドコモが獲得した。
ドコモはこの帯域を第2帯域と重ねて用いることで高トラフィックエリアでの収容数増加に活用するものと思われる。
28GHz帯は各帯域ともに幅を400MHz確保されている。そのため、各キャリアともにより高速度かつ収容度を高めるべきエリアでピンポイントに使われるものと思われる。
楽天モバイルでは、この帯域の屋外基地局と高度特定基地局の設置計画数が一致している。そのため、高度特定基地局はもれなく28GHz帯での通信に対応すると思われる(あくまでも臆測)。
KDDIの場合、屋内など(屋外でない場所)に設置する計画基地局数が全ての希望帯域で一致する。そう単純ではないかもしれないが、屋内エリアでは全帯域対応の基地局が設置される可能性がある。
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