2019年は「iPhone 11」を主役に据えたApple 低価格路線でテコ入れ、コンテンツも強化石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2019年09月14日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

戦略的に価格を引き下げ、iPhone 11の拡大を狙う

 単に命名規則を改めただけでなく、価格でもiPhone 11を中心に据えていく姿勢を打ち出した。iPhone 11は、iPhone XRと比べ、50ドル安い699ドルで発売される。円高が進行しているため、日本では対iPhone XR(発売時)で64GB版が1万円、それ以外が1万1000円安くなり、お得さがさらに際立つ形になった。

 Appleによると、「より多くのユーザーに手に取ってもらうため」の価格設定だといい、意図的に値段を引き下げたことがうかがえる。iPhone X導入以降、高級路線を明確にしたAppleだが、販売台数にはその反動も出ている。シェアが低くなれば、最終的にはアプリやサービスのエコシステムとってもマイナスになる。販売のテコ入れをしたいという思惑もあったはずだ。

Apple 699ドルと発表されたときには、驚きの声があがった。日本では円高効果もあり、iPhone 11はXRより1万円安くなっているため、そのインパクトはさらに大きくなった

 iPhone 11(64GB)の7万4800円(税別、以下同)という価格が高いか、安いかは人それぞれ感じ方が違うかもしれないが、iPhone 11のチップセットは最新の「A13 Bionic」で上位モデルと同じ。カメラも2倍の望遠がないだけで、35mm判換算で26mmの広角カメラと、13mmの超広角カメラは3モデルに共通した要素。センサーサイズやレンズの明るさなどの差もない。

Apple
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Apple 広角カメラ、超広角カメラやチップセットなど、iPhone 11は、上位モデルとの共通点も多い

 フレームに光沢の美しいステンレススチールを採用していたり、金属のように見えるすりガラスのような背面が美しかったりと、iPhone 11 Pro、Pro Maxにも上位モデルなりの豪華さはあるが、それがスマートフォンの本質であるかというと、必ずしもそうではない。ディスプレイや有機ELのモデルと比べたときにベゼルが目立つ点は賛否が分かれるかもしれないが、無駄をそぎ落とし、よりカジュアルに、最新のiPhoneを使いたいユーザーにとって、iPhone 11の価格は魅力的といえる。

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Apple 背面の仕上げやトリプルカメラなどが、Proならではの魅力といえる

 下取りプログラムも強化された。スペシャルイベントでは、iPhone 8の下取りで、iPhone 11が399ドル、もしくは月額17ドルになるトレードインプログラムが紹介された。iPhone Xの下取りを組み合わせると、iPhone 11 Proは599ドル、月25ドル、iPhone 11 Pro Maxは699ドル、月29ドルになるという。日本でもこの取り組みは実施されるが、Appleがいかに端末価格をリーズナブルに見せることに腐心しているかが分かる。

Apple トレードインで、より安価にiPhone 11がより安価になることが紹介された。このプログラムは日本でも導入され、購入時に目安の価格を調べることができる

 日本では10月1日に改正・電気通信事業法が施行され、通信契約にひも付いた端末への割引が厳しく禁止される。ユーザーが端末価格に対し、よりシビアな目で見るようになることが予想されるだけに、iPhone 11で低価格路線を打ち出せたのは、Appleにとってプラスになりそうだ。

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