3月に、同じスティーブ・ジョブズ・シアターで発表された新サービスのうち2つも、新しいiPhoneの発売を追う形でスタートする。「Apple TV+」と「Apple Arcade」がそれだ。おさらいしておくと、Apple TV+は、Apple TVアプリ上で視聴できる、Apple独自のプログラムのことを指す。Apple TV自体はAmazon Prime VideoやHuluなど、複数のサービスが提供する番組を横断的に扱うアプリだが、その上に、コンテンツの1つとしてApple TV+が存在する。
Apple TV+は、Apple自身が制作費を投じて番組作りに関与しているのが最大の特徴。コメディー、ドラマ、子供向け番組など、幅広いプログラムが用意される。クック氏によると、「トレイラーは既に1億回プレビューされた」と、前評判も上々なようだ。スペシャルイベントでは、人類全体の目が見えなくなった世界でのストーリーだという、ドラマの「SEE」も発表された。
Apple TV+が映像のサブスクリプションサービスなのに対し、Apple Arcadeはゲームのサブスクリプションサービスだ。ゲーム自体はApp Storeでも配信されているが、Apple ArcadeではAppleとデベロッパーがより緊密に連携し、独占配信となるゲームが制作される。スペシャルイベントの会場では、コナミやカプコンといった、おなじみのゲームメーカーの担当者も登壇。iPhoneの発売日前日である、9月19日にサービスが開始されることも明かされた。
サービス事業を新たな柱として成長させているAppleだが、Apple TV+やApple Arcadeは、低価格を打ち出し、拡大路線を取った。Apple TV+、Apple Arcadeは、ともに米国では4ドル99セント。どちらのサービスも日本で展開されることが決まったが、価格は600円に設定された。
番組の数がまったく違ううえに実際の作品を見ていないため、一概には言えないが、Apple TV+は競合他社に比べ、割安な料金を打ち出しせたように見える。Apple Arcadeもタイトル次第ではあるが、気軽に試せそうな価格だ。しかもApple TV+は、家族で視聴でき、iPhone、iPad、iPod touchといったApple製品を購入すると、1年間無料になることも明かされた。
サービス開始当初は番組数が見劣りしてしまうため、大盤振る舞いをした可能性もあるが、逆に、コンテンツに魅力があればiPhoneなどの製品を差別化する武器にもなる。この好循環を生み出せるかは、コンテンツの質がカギを握る。映像やゲームなどのコンテンツは、特に地域性も強いだけに、ローカライズも必要になる。こうした取り組みをしていけるかも、今後の行方を左右しそうだ。
(取材協力:アップルジャパン)
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