IIJ(インターネットイニシアティブ)が11月8日、2019年度第2四半期の決算説明会を開催。2019年度上期と第2四半期いずれも、前年同期比で増収増益を記録した。
好調の要因について勝栄二郎社長は「日本の企業はネットワークシステムの活用をいっそう進めており、効率化、高度化を図ろうとしている。そういう法人企業のニーズに技術部門が応えられるような、新しいサービスを提供できている」と話す。渡井昭久CFOは「フルMVNOサービスの売り上げがコンスタントに上がっていることでコストを吸収した」ことも、増益に貢献したと評価する。
IIJmio(個人)、IIJモバイル(法人)、MVNEを合わせたモバイル回線数は、2019年9月末時点で282.1万で前年比11.4%増。IIJmioの回線数は第1四半期の107.4万から107.6万への微増にとどまった。「数年前に比べて個人向けは鈍化しているが、継続的に伸びている状況にはある。法人向けモバイルの伸びは引き続き顕著に出てきている」と渡井氏はみる。
上半期におけるモバイルサービスの総売り上げは228.4億円。そのうちフルMVNOが7.3億円で、2019年度の目標17億円に向かって堅調に進んでいるようだ。
電気通信事業法が10月1日から改正されたことに伴い、規制対象となるIIJは、IIJmioにて音声SIMの解約金を最大1万2000円から1000円に下げ、音声SIMと端末をセットにした「コミコミセット」を終了した。勝氏によると、9月末までに実施していたキャンペーン(「夏トク!キャンペーン」)の影響で、9月はモバイルの売り上げが増加したという。解約金値下げの影響で、10月に解約が少し増えたそうだが、「キャンペーンの反動かどうかは分からない」とした。
コミコミセットを除けば、IIJmioの販売手法や料金プランは「改正法の趣旨に沿っている」(勝氏)ため、10月以降、料金プランは変更していない。ただし夏トク!キャンペーンで2万円を超える値引きをしていたケースがあったため、その点は見直したそうだ。
競合の大手MVNOである楽天モバイルが、10月からMNOサービスを開始する予定だったが、試験サービスの「無料サポータープログラム」の提供にとどまり、商用サービスは実質的に延期となった。ただIIJmioへの影響については「分からない」と勝氏。「基地局の配置等は苦労されていると思うが、本格的なプランは示されていないので、影響は見えない」と述べるにとどめた。
7月から提供しているeSIMサービスについては、「キャリア+IIJmioという使い方できる」ことを特徴に打ち出していく考えを示した。
5Gについて勝氏は、キャリアのネットワークを使わず、限られた場所で自営のネットワークを構築する「ローカル5G」事業に参入する意向を示した。「ローカル5Gは、いろいろなやり方がありうる。フルMVNOの経験を活用できると考えている。そういうプレゼンテーションも総務省に行っており、ローカル5Gにも対応したい」(勝氏)
一方で鈴木幸一会長は「(5Gは)投資へのインセンティブが働きにくいだろう」と冷静にみる。「従来なかったようなニーズはあるが、(ビジネスが)すごくよく見えているのはゲームぐらいでは? キャリアも5年後のビジネス化を見据えている。5Gはモバイルから来ているのが従来の通信と違うところ。どういう使い方ができるのかを含めて慎重に、遅れないようやっていきたい」
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