インタビュー
» 2020年02月04日 06時00分 公開

「ものすごく売れている」 2万円台のSIMフリースマホ「TCL PLEX」日本上陸の背景を聞く (1/2)

TCLの「TCL PLEX」が、2019年末に突如日本に上陸した。取り扱っているのが、BlackBerryやPalmといったTCL製スマートフォンで実績のある代理店のFOX。ミドルレンジモデルながら、税込みで2万9800円というコストパフォーマンスの高さが話題を集めた。なぜFOXがあえてTCL PLEXをこのタイミングで導入したのか?

[石野純也,ITmedia]

 2019年8月にドイツ・ベルリンで開催されたIFAに合わせて発表された、TCLの「TCL PLEX」が、2019年末に突如日本に上陸した。取り扱っているのが、BlackBerryやPalmといったTCL製スマートフォンで実績のある代理店のFOX。ほどほどのスペックを備えたミドルレンジモデルながら、税込みで2万9800円というコストパフォーマンスの高さが話題を集めた。

TCL PLEX FOXが取り扱っているTCLブランドのスマートフォン「TCL PLEX」(Opal White)

 TCL PLEXは、これまでAlcatelやBlackBerry、Palmといった“他社ブランド”の端末を開発してきたTCLが、初めて自社ブランドを冠したスマートフォン。テレビ事業で培った映像技術を投入しながら、カメラにもこだわった1台に仕上がっている。2020年1月に開催されたCESでは、その後継機ともいえる「TCL 10」シリーズの発表も予告。5G対応モデルも含めた3機種を、2月にスペイン・バルセロナで開催されるMWCで正式発表する予定だ。

TCL CES 2020で予告された「TCL 10」シリーズ

 一方で、自社ブランドを冠してはいるものの、TCL PLEXはBlackBerryやPalmほどの個性派モデルではない。特徴的な端末に絞って販売してきたFOXが扱うには、良くも悪くも“普通”の端末といえる。では、なぜFOXがあえてTCL PLEXをこのタイミングで導入したのか。代表取締役社長の五十畑理央氏にお話を聞いた。

「TCL PLEX」は好調だが、利益はほとんどない

―― なぜ、TCL PLEXを取り扱うことになったのか、まずはその経緯から教えてください。

五十畑氏 BlackBerryが来て、Palmが来てというようにやってきましたが、その開発元がTCLでした。彼らも日本市場に本気で入っていきたいということで、検討を進めました。ただ、TCL PLEXを単体で見ると、価格優位性はありますが、そこまで(他のスマートフォンと)大きな違いはありません。スマホだけでなく、テレビやIoT機器の幅を将来まで含めて見たとき、FOXとして面白いと思ったのが取り扱ったきっかけです。

―― スマートフォンとして見ると、ベーシックな端末ではありますが、TCL PLEXについても、TCLのテレビで培った技術が応用されているのが売りになっています。こういった部分も評価されたのでしょうか。

五十畑氏 TCL PLEXにもTCLのディスプレイ技術は搭載されていますが、これからもディスプレイを強く打ち出した商品が出てきます。それは、フォルダブルも含めてです。TCLは他社への卸も含めて、ディスプレイには注力していて、明るく見せるような技術や、折り曲げる技術も持っています。フォルダブルに関しては、ヒンジの部分まで含めて特許を取得しています。(TCL PLEXは)今後につながるものですね。単にTCLのスマートフォンを取り扱ったというだけではありません。ただ、おかげさまで、TCL PLEX自体も販売は好調です。

TCL PLEX 販売は非常に好調だという

―― 数字は難しいと思いますが、どの程度の勢いなのでしょうか。

五十畑氏 想定を大きく上回る勢いで、ものすごくいいです。評判もよく、「買ってよかった」というコメントを多数いただいています。もともとブラック(Obsidian Black)に対して数を絞っていたことはありますが、実は既にホワイト(Opal White)は完売しています。

TCL PLEX PLEXのObsidian Black

―― 追加での販売はしないのでしょうか。

五十畑氏 検討中です。また、「TCL 10 Pro」をやるか、やらないかという検討をしているところです。また、夏ごろには5Gモデルを販売したい。CESで発表されていましたが、僕らも500ドル程度の価格は狙っていきたいと考えています。キャリア向けモデルも前向きに検討していきたいですね。

―― CESではコンセプトモデルとしてフォルダブルスマホも発表されていました。あちらはいかがですか。

五十畑氏 やりたいですが、いくらですかというところですね。

TCL フォルダブルスマホの日本投入も期待される。写真はCES 2020で展示していたコンセプトモデル

―― TCL PLEXが好調というのは、やはり、評価されたのはコストパフォーマンスでしょうか。

五十畑氏 でしょうね。もともと340ドルぐらいの値付けの端末でしたが、日本ではマーケティングにコストをかけてやるより、その予算を端末価格に充てた方がいいということで、この価格(2万9800円)に設定しました。中途半端にやっても、あまり響かないと思ったからです。CMなどの宣伝はできませんが、その分、値段としてダイレクトに還元できます。Alcatelではなく、TCLとしていいものが安く出たということで、使っていただける機会も増えるのではないかと思います。ただ、利益はほとんどありません。入れない方がよかったんじゃないかというぐらいですね(笑)。

TCLのテレビをキャリアに紹介することもできる

―― 北米を見ると、テレビは好調なようで、テレビは日本でも販売されています。製品が販売されているという点では、特に若い人にはAlcatelよりはなじみがあるのではないでしょうか。

五十畑氏 確かにテレビもけっこう売れていて、若い方々が買われているようです。40型ちょっとのサイズのテレビが、4万円ぐらいで買えますからね。スマホも格安なものが浸透してきていて、PCのように使いたいという理由でAndroidを選ぶ人も増えています。大きくて、画質がよく、かっこよければいいという層ですね。テレビでいうと、Androidも搭載されるようになり、5G時代にはキャリアもテレビを売る時代になると考えています。そういったところも攻めていきたいですね。

―― ちなみに、テレビに関してはTCLの日本法人があります。モバイルとは別ということなのでしょうか。

五十畑氏 大きいメーカーにありがちなことですが、縦割りでテレビの事業部とモバイルの事業部が分かれていて、日本法人にはモバイルがありませんが、テレビはやっています。FOXにはモバイル関連のラインや、モバイル関連で売っていくところをお願いしたいと言われています。やはり業界ごとに、独自のルールのようなものはありますからね。自分たちだけでやろうとすると、本当は入っていける市場に入っていけなくなってしまう恐れもあります。得意なところにお任せした方がいいという考え方です。

 ただし、テレビのような製品でも、通信キャリアに対しては、FOXからアプローチできます。家電量販店で普通にテレビを売るというようなことはありませんが、一定のライフスタイルにハマるようなものについては、割賦を導入するなどして、市場に合わせた売り方ができると考えています。

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