中国の大手家電メーカー・TCLが、米ラスベガスにて開催中のCES 2020にて、自らの社名をブランドとする「TCL 10」シリーズを発表した。まず、第2四半期に「TCL 10 Pro」と「TCL 10 L」の2モデルを発売し、さらに発売時期は明言しなかったが、TCL初の5G対応モデル「TCL 10 5G」を発売することも発表した。ただし、3モデルの詳細な仕様は公表されず、2月に開催されるMWC Barcelonaで明らかにすると予告した。さらに、開発中のフォルダブル端末のイメージも公開した。
TCLは、日本ではなじみが薄いが、テレビ市場では2018年の出荷台数シェアが世界第2位になるなど、成長が著しいメーカーだ。スマホでは、BlackBerryとのライセンス契約により、同ブランドの端末を展開。“フランス発” をうたうalcatel(アルカテル)ブランドのスマホも手掛け、日本でもリリースされた。2019年には、自社ブランドの「TCL PLEX」を発表し、年の瀬が迫った12月28日に日本でも発売された。
しかし、発売中のTCL PLEXは一部の国のみでの展開で、今回発表された「TCL 10」シリーズが、本格的にグローバルで展開する最初の商品となる。CESで開催されたプレスカンファレンスでは、スマホは「TCLのポートフォリオにおける新しいカテゴリー」として紹介され、北米市場だけでなく、世界でTCLブランドを構築していく上で重要なデバイスであることがアピールされた。
TCL 10シリーズは製品画像が公開されて、いずれも500ドル(約5万5000円)以下で発売することが発表された。5Gモデルを500ドルで出せる理由について、「Snapdragon 7シリーズ(700番台)を採用すること」を明かしていたが、他の2モデルに搭載されるプロセッサについての言及はなかった。しかし、3モデルの詳細な仕様は公表されず、2月に開催される「MWC Barcelona」での発表を待つ必要がある。
発表会後には、開発中のモデルを撮影することができた。ただし、実際に手に取って使用感を試せるハンズオンではなく、原則として説明員が手にしている状態での撮影だった。
3モデルともほぼ同じサイズ感で、TCL 10 LとTCL 10 5Gは基本的なデザインも共通している。背面に4眼カメラと指紋センサーを搭載し、正面にはディスプレイの左上にピンホール型のインカメラを搭載している。背面パネルの加工は2モデルぞれぞれで異なり、5Gモデルの方が光沢が強く、高級感が感じられた。説明員によると、TCL 10 Lの「L」はLiteの意。3モデルの中では、TCL 10 Lが最下位モデルで、TCL 10 5GはTCL 10 Lをベースにした5Gモデルと推測される。
もう1台のTCL 10 Proが、ハードウェアのスペックでは最上位モデルとなるはずだ。他の2モデルに比べると、ディスプレイのベゼルが細く、エッジ部は曲面になっている。また、画面中央上にノッチがあり、そこにインカメラを搭載している。背面には指紋センサーは見当たらないが、インディスプレイの指紋認証やインカメラでの顔認証など、何かしらの生体認証は備えているはずだ。
筆者は、開発中のモデルを近くで見て、短い時間ではあるが手に持つこともできた。恐らく6.5型前後の大画面を搭載していると思うが、縦長ボディーのため、持ちやすく、最近のAndroidスマホのトレンドを踏襲しているように思えた。TCL PLEXが発売されたこともあり、TCL 10シリーズが日本で発売される可能性も高いだろう。
折り曲げられる有機ELディスプレイを搭載するスマホは、現在開発中とのことで、コンセプトモデルの画像が公開された。また、110型スクリーンを視聴している体験が得られるという、ウェアラブルディスプレイが開発中であることも発表された。
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