インタビュー
» 2019年06月05日 06時00分 公開

「予想を超えて売れている」 超小型スマホ「Palm Phone」投入の背景をFOXに聞く (1/2)

手のひらに収まる超小型スマートフォン「Palm Phone」が日本に上陸した。このPalm Phoneを販売するのが、BlackBerryシリーズの日本展開を手掛けているFOXだ。BlackBerryとPalm Phoneは、一見すると正反対のコンセプトに見えるが、なぜFOXはこの端末を手掛けているのか。

[石野純也,ITmedia]

 ドコモの「カードケータイ」やauの「INFOBAR xv」のように、機能をそぎ落とした携帯電話がにわかに注目を集めている。通話やSMSに特化した端末を持ち、あえてネットを遮断する“デジタルデトックス”という概念も注目を集めている。スマートフォンが普及し、大画面化が進んでいることへの反動ともいえる現象だ。このトレンドは洋の東西を問わず、海外ではHMD Globalがかつてのノキア端末を復刻させるなど、さまざまなメーカーがスマートフォンと対極の商品を作り始めるようになった。

Palm Phone 約50.6(幅)×96.6(高さ)×7.4(奥行き)mmの手のひらサイズのボディーに3.3型ディスプレイを搭載した「Palm Phone」

 超小型スマートフォンの「Palm Phone」も、そんな端末の1つだ。Palmという名称はスマートフォンの前身であるPDAとしておなじみだが、この端末は手のひらの収まるコンパクトさが特徴。海外では、まず米国のVerizonが取り扱い、徐々に販売する地域を拡大している。Verizon版は、メイン端末と同一番号で発着信が可能な「NumberShare」に対応。Apple Watchやドコモの「ワンナンバーフォン」のような、子機という位置付けだ。

 このPalm Phoneを販売するのが、BlackBerryシリーズの日本展開を手掛けているFOXだ。日本では阪急メンズ東京やオンラインストアの直営店に加え、大手家電量販店ではビックカメラも販売。さらに、ソフトバンクグループのIoT関連製品を扱うサイトである「+Style」でも購入できる。BlackBerryとPalm Phoneは、一見すると正反対のコンセプトに見えるが、なぜFOXはこの端末を手掛けているのか。同社の五十畑理央社長にお話をうかがった。

コンパニオンデバイスとして売りたかった

―― 最初に、Palm Phoneを導入するに至ったきっかけを教えてください。

五十畑氏 発表前に米国で実機を見る機会がありましたが、「これはすごい」ということで導入を決めました。リリースにも書いたように、この端末はスマートフォンの画面が大きくなっている中で、逆に小さい方向にかじを切っています。バッテリーも小さいですし、スマートフォンに依存する気持ちを切り替えることができるのが、面白いと思いました。

 同様のコンセプトのスマートウォッチもありますが、通話するときに腕を上げて話さなければならず、「ちょっと、それは……」と思いますが、これは耳に当てて電話できるのも大きいですね。ただ、アメリカではブレークしていたものの、日本市場にはずっとPalmがなく、打ち出し方を間違えると、悪いイメージがついてしまいます。そのため、企画は慎重に進めてきました。

―― 米国では、今おっしゃったように、スマートウォッチのようなサブ端末という位置付けで販売されています。

五十畑氏 もともとやりたかったのは、ワンナンバー的なサービスです。親機があった上での子機というコンパニオンデバイスとしての位置付けでやりたかったのですが、(キャリアの対応が)技術的に時間を要するということで、1世代目に関してはそのまま行くことにしました。

―― 確かに、それができたらもっと魅力的ですよね。

五十畑氏 そうなんです。ワンナンバー的なサービスと、モバイルSuica(おサイフケータイ)が欲しいというリクエストは、メーカー側にも出しています。ワンナンバーについては、次のタイミングで何とかしたいと強く思っています。コンパニオンデバイスは、新たなカテゴリーで、今後も面白くなってくるはずですからね。

Palm Phone 手のひらに収まる超小型サイズが最大の特徴だ
Palm Phone 他の現行スマートフォンと比べると、その小ささが際立つ。右は「iPhone X」

若い人は「Palm」を知らない

―― やはり、ネットをあまり使わないことを望んでいる方が多いのでしょうか。

五十畑氏 そうですね。バッテリーも800mAhなので、逆に使わない方向になります。使ってみると分かりますが、本当に使わなくなりますね。出なければいけない電話に出るといった、最低限の対応をするようになります。ただし、そこが一番かというとそうではなく、所有欲が一番だと思います。

―― なるほど。その意味では、FOXが扱っているBlackBerryとは、ある種対極の端末ですね。

五十畑氏 逆に、BlackBerryも所有欲をくすぐる端末で、Palm Phoneとは「持ちたくなるスマートフォン」という共通性があると考えています。

―― 物として魅力を第一に考えて導入している、とういことですね。

五十畑氏 まさにその通りです。

―― PDA時代からのPalmファンも買われているのでしょうか。

五十畑氏 私がまさに、Palmを使っていた世代です(笑)。「Palmがスマートフォンを出したのね」という感じで見ていまいた。ただ、若い方はPalmが何かはご存じないですね。「Palmという小さい携帯電話が発売された」と捉えられているようです。

単純な並行輸入品ではない

―― 個人的に、日本では出ないだろうなと半分諦めていたので、発売のリリースが届いたときには驚きました。反響はいかがでしたか。

五十畑氏 すごく大きかったですし、売れ行きもいいですね。メーカー側も「こんなに売れるとは」と言っているぐらいです。対応回線がソフトバンクに絞られているので、極端な話、3分の1になってしまうかと思っていのですが、予想を超えています。

Palm Phone Palm Phoneの対応バンド。プラチナバンドに対応しているのはソフトバンクのみ

―― ソフトバンク回線に対応とうたわれていますが、使おうと思えばドコモ回線でも大丈夫ですよね。

五十畑氏 使えないことはないのですが、ちょっと電波環境が悪いところだとつながらなくなる恐れがあるので、そのようにうたっています。(ドコモのSIMカードを挿して、つながらないという)クレームは特にないので、理解されているのだと思います。女性のユーザーも多いので、もう少し問い合わせがあるかと思いましたが、そうではありませんでした。設定もすごく簡単なので、電話などのためだけに使っているのではないでしょうか。

―― 仕様的には、ほぼ海外版と同じという理解でよろしいでしょうか。

五十畑氏 完全にそのまんまではありません。例えば周波数についても、調整しながら日本専用のものにしていますし、カスタマーサポートもしやすいよう、メニューやダイアログも全てこちらでフォローしています。単純な並行輸入品ではありません。

―― 技適の取得については、いかがですか。

五十畑氏 それは、先方がやっています。Palm自体は米カリフォルニアの会社ですが、製造はTCLがやっていて、そちらが担当しています。

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