インタビュー
» 2020年02月07日 06時00分 公開

MVNOに聞く:「MNOにできないことをやる」 成長が鈍化するMVNO市場でmineoが出した答え (1/3)

オプテージが「mineo」向けに、混雑時間帯の帯域を譲ることで特典を得られる「ゆずるね。」と、高速通信をオフにした際の通信速度が200kbpsから500kbpsに上る「パケット放題」を導入する。MVNOの成長が鈍化する中で、mineoはどう対応するのか。新サービスの生まれた背景や狙いとともに、今後の展開を聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 オプテージの運営するmineoが、3月に2つの新サービスを導入する。混雑時間帯の帯域を譲ることで特典を得られる「ゆずるね。」と、高速通信をオフにした際の通信速度が200kbpsから500kbpsに上る「パケット放題」がそれだ。両サービスは、mineoが強みとするファンコミュニティーのマイネ王や、共創アンバサダーの声を反映して生まれたもの。前者は「フリータンク」に続く譲り合いのサービス、後者はベースとなる通信の快適さや料金のお得さを向上させるサービスという位置付けだ。

 一方で、MVNO市場全体を見渡すと、成長率は鈍化傾向にある。大手キャリアの料金値下げや、サブブランドの台頭、楽天モバイルの新規参入、電気通信事業法の改正などによって、市場を取り巻く環境が大きく変化したためだ。mineoも例外ではなく、参入当初より、ユーザー数の伸びは緩やかになりつつある。3月からは、MNOが5Gの商用サービスを開始するため、競争の構図はさらに変わる可能性もある。

 mineoは、こうした変化にどう対応していくのか。新サービスの生まれた背景や狙いとともに、今後の展開を、オプテージのMVNO事業を率いるモバイル事業戦略部長の福留康和氏と、同部モバイル戦略チームのチームマネージャーの太田範氏に聞いた。

「ゆずるね。」はブランドを体現するサービス

mineo オプテージの福留康和氏

―― 最初に、新サービスの特徴を改めて教えてください。まずは「ゆずるね。」からお願いします。

福留氏 「ゆずるね。」は、ブランドを体現するための新たなサービスだと考えています。これまでも、通信容量、つまりパケットの譲り合い・助け合いということで、「フリータンク」をご提供してきました。これに対し、「ゆずるね。」は通信帯域、回線利用の譲り合い、助け合いになります。平日の正午から13時までが(譲り合いの)対象になりますが、例えば、今日のお昼は特に使わなくてもいいという場合、当日の11時半までにアプリ上で宣言していただき、実際にお昼に使用されたデータ量が一定以下の場合は、成功という形で譲った方に対して特典が付与されます。

―― 一定というのは、どの程度のデータ量なのでしょうか。

福留氏 数MBで考えていますが、少なくとも1MB以下なら確実に成功します。お客さまの使われ方にもよるので、適正な値はサービスを回しながら考えていきたいですね。

―― この部分の何MBという数値は公表されないということですか。

福留氏 今のところ、(公表は)考えていません。ただし、成功したかどうかは、その日の15時以降に公開させていただきます。宣言をした方の数にもより、後ろに倒れてしまうこともありますが、遅くとも23時まではお伝えしていきます。

mineo 平日の12〜13時に通信をしない宣言して、混雑時の帯域を譲る「ゆずるね。」

―― ボーナスは容量と夜間使い放題、あとはプレミアム帯域を使える「プレミアム1DAYパス」ですね。

福留氏 5回達成で100MB、10回達成で1カ月間夜間が使い放題になります。夜間とは、具体的に言うと23時から翌日の7時までです。その次の15回達成で200MB、20回達成でプレミアム1DAYパスを用意しています。プレミアム1DAYパスは、1日だけ専用帯域(プレミアム帯域)になり、快適にご利用いただけるサービスです。

―― 夜間使い放題は割と魅力的で、これが10回達成に割り当てられているのが意外でした。最初の2回分は容量にして、その後に夜間使い放題を付与する形になっていないのは、なぜでしょうか。

太田氏 実は中でもその議論がありました。とはいえ、データ通信を1MBに抑えるのは大変な世界です。なるべく早いタイミングに、「おっ」と思っていただけるものを用意したかった。どのぐらいの達成者が出るのかは、やってみてからですね。

福留氏 フリータンクのときもそうですが、使っていただけるかどうか、使い続けていただけるかどうかが、一番の懸念事項です。ですから、「ゆずるね。」は共創アンバサダーの方に意見をうかがいながら作った経緯があります。段階的に特典を付与してみたらどうかや、スタンプカードのような形にしたらどうかといった意見をもとに、作り上げたサービスです。もともとは100MB、200MBという順番にしていたのですが、今の順番になったのも、ご意見をうかがったからです。

mineo 「ゆずるね。」の成功回数に応じた報酬を用意

5万人の利用を見込んでいるが、効果は不確定

―― どのぐらいの方が利用すると見込んでいますか。

福留氏 少なく見積もって、5万人程度にお使いいただけるのではないでしょうか。日々、mineoアプリをお使いのお客さまや、ブランドに共感いただいているお客さま、混雑する時間帯に速度を制限する「エココース」をご利用のお客さま、そういった方には使っていただけるだろうと見ています。その中の人数を、少なく見積もると5万人ぐらいになります。

―― 117万回線の中の5万人だと、割合は少ない気がします。

福留氏 例えばフリータンクは、丸4年で39万人がお使いになりました。しかも、その中で、3.9PBのパケットが流通しています。そういったことを踏まえると、もっと使っていただけるのではないか……とも思いますが、今時点では少なく見積もってそのぐらいだと考えています。

―― 電気やガス、水道とは少々毛色は違いますが、通信もインフラの1つです。当たり前の存在なので、毎日、電気やガス、水道のことを考えている人は非常に少ないと思います。インフラという目で見ると、毎日帯域のことを考えなければいけないのは、ちょっと窮屈な気もします。

福留氏 確かにそういった面はありますが、mineoを作った当初から、譲り合いの精神は大切にしています。災害支援タンクもそうですし、フリータンクもアンバサダー制度もそうです。ブランドを体現するサービスを作りたかったというのが根底にあります。

―― 実際問題として、このサービスでどのぐらい帯域は節約されるのでしょうか。

福留氏 数値をまったく持ち合わせていない、というのが正直なところです。「ゆずるね。」の宣言をする方が増えれば増えるほど、より快適になるとしか言えません。

―― 確かに、理論上はそうなりますね。

太田氏 譲られる方が、普段どのぐらい使われているかにもよります。普段、大量に使っている方に譲っていただければ帯域はその分空きますが、もともと昼間にはあまり使っていない方が特典のために譲っても、それほど帯域は変りません。

福留氏 当然ですが、われわれはこれまで通り、利用者が増えればその分だけ帯域を増やしていきます。今回の譲られた帯域は、そのまま譲られた方々に還元される形です。

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