米商務省は5月15日(米国東部時間、以下同)、中国Huawei(華為技術、ファーウェイ)とその関連企業への商品の輸出に関する「一時的一般許可証(TGL)」の有効期限を8月13日まで延長した。同省ではこの延長を「Expected Final 90-Day Extension(恐らく最後の90日間の延長)」としており、この期日以降に新たな条件のTGLの発効、あるいはTGL自体の廃止が行われる可能性がある。
また、同省産業安全保障局(BIS)は同日、中国Huaweiとその関連企業に対する半導体輸出規制を強化。「米国産の半導体製造装置を使って作られた米国外産の半導体」の取引についても、BISによる承認が必要になる。
米商務省産業安全局(BIS)は、米国外への製品やサービスの輸出に関して、何らかの懸念がある個人や団体・企業を4つの「懸念先リスト」にまとめている。
Huaweiとその関連企業は2019年5月15日、懸念先リストの1つである「エンティティリスト(Entity List)」に登録され、米国企業との新規取引が事実上不可能となった。このリストには、Huaweiの日本法人であるファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)も記載されている。
一方、同省は同年5月20日、エンティティリストに記載されたHuaweiと関連企業に対し、同年5月16日までに有効になった契約について一時的一般許可を発布し、ソフトウェア更新やネットワークの保守・運用に必要な一部の商取引に許可を与えた。この許可は、同年8月19日と11月18日に各90日間、2020年2月13日に45日間(※)延長されている。
(※)2月18日付で5月15日(今回の延長措置発表日)まで延長するように修正された
なおこのTGLについて、同省は3月10日から25日まで(後に期限を4月22日に延長)、パブリックコメント(意見公募)の手続きを行っていた。8月13日までに発表されるであろう「新たなTGL」あるいは「TGLの廃止」は、パブリックコメントで寄せられた意見を反映したものになると思われる。
BISによると、Huaweiは「米国の輸出規制をくぐり抜ける取り組み(努力)」をしてきたという。具体的には、米国由来のソフトウェアや技術を使って半導体を設計し、海外(米国外)にある米国産の設備を用いるファウンドリ(受託製造者)にその製造を依頼していると指摘している。
米商務省のウィルバー・ロス長官は、このことについて「これは国際的な企業市民のふるまいではない、私たちはHuaweiやHiSilicon(Huaweiの半導体子会社)が悪用しているルールを修正し、米国の技術が国家安全保障および外交政策の利益に反する悪質な活動に使われることを防ぐ必要がある」と語り、米国産の半導体製造装置を使って作られた米国外産の半導体の輸出規制を行うことを正当化した。
この措置は、米国外のファウンドリに対して一方的に不利なものでもある。そのため、BISは「5月15日時点で製造を開始している、Huaweiの設計仕様に基づく半導体」について、規制の適用日から120日間は(再)輸出や米国内での移転が認められる。
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