日本全国の「人の動き」をリアルタイムに確認 ドコモが「モバイル空間統計 人口マップ」を提供

» 2020年05月27日 15時25分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモが5月27日、日本全国の人口分布を把握できる「モバイル空間統計 人口マップ」の提供を開始した。

 ユーザーはブラウザのマップ上で、日本の500mメッシュごとにどれだけのユーザーが滞在しているかを、1時間ごとに確認できる。人口分布のデータは、当日だけでなく、前年同月の24時間以内の時間帯で確認できる。つまり前年同月からどれだけ人口の数が変わったのかを把握できる。マップはGoogle マップを利用しており、PCやスマートフォンから閲覧できる。地図の拡大や縮小も可能だ。

モバイル空間統計 人口マップ 2020年5月27日13時ごろのマップ。現在地や施設名などから調べられる
モバイル空間統計 人口マップ こちらは1年前の、2019年6月平日のマップ。明らかに、こちらの方が人が密集していることが分かる

 滞在人数はヒートマップで表示され、100人〜、200人〜、400人〜、800人〜、1600人〜、3200人〜、6400人〜、1万2800人〜、2万5600人〜、5万1200人〜の10段階で確認できる。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、三密を避ける、人との距離を確保するといった行動が推奨されており、外出先がどれだけ混雑しているかを把握したいというニーズが高まっている。そこでドコモは、これまで法人向けにしか提供していなかったモバイル空間統計のデータを個人向けにも開放する。

 個人なら出社や旅行をする際の判断材料として、飲食店や観光業に携わる企業は前年との比較材料として活用できる。

 6月上旬には、全国1200箇所で、滞在している人の性別、年代、居住地の情報を公開する。1200箇所は必ずしも人口の多い場所とは限らず、全国の1800自治体の中から、駅などの公共性の高い場所を抽出するという。居住地については、「市・区内」「県内」「県外」の3パターンを、おおよその円グラフで確認できる。例えば東京都世田谷区のエリアでは「世田谷区民」「世田谷以外の東京都民」「東京都以外の人」の比率が分かる。

 人口マップは2021年3月まで無償で公開するが、4月以降の料金については、情勢を見ながら検討するとのこと。

新型コロナでニーズが増した「モバイル空間統計」

 モバイル空間統計は、ドコモの携帯電話ユーザーの位置情報ベースに作成した、日本全国の人口統計データ。観光地や商圏の分析、都市計画、災害対策などでの活用を想定しており、2013年10月から提供している。

 2020年1月にリアルタイムのデータ提供を始め、「人の動き」も把握できるようになった。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、政府からの要請で、人口がどのように変化したかを分析してデータを提供した。緊急事態宣言が発令されてからは、人口の減少率などを調べたい自治体からのニーズも増しているという。

 携帯電話のGPSではなく、基地局の位置情報を利用しているため、スマートフォン、フィーチャーフォン、モバイルWi-Fiルーターなど端末の種類を問わず、端末の電源が入っていれば収集可能。法人名義のデータは除外し、ドコモの全契約数である約8000万のデータをベースに、ドコモ以外のユーザーも加味した全人口を推計している。そのため「広範なエリアをカバーできること」と「統計精度が高い」(同社)ことを特徴としている。

 ドコモの契約情報から性別、年代、居住地のデータを収集しているが、電話番号など個人を特定できる情報は収集しておらず、生年月日は年代に変更している。また少人数エリアの数字は含まないよう秘匿処理を行っている。匿名化されたデータの収集に関しては、ユーザーの同意は不要と個人情報保護法で定められているため、モバイル空間統計でもユーザーからの同意は取っていない。

モバイル空間統計 人口マップ モバイル空間統計の作成手順

ドコモ地図ナビの「混雑度マップ」との違いは?

 ドコモが5月11日から期間限定で無償提供している「ドコモ地図ナビ」アプリの「混雑度マップ」でも、地図上で混雑状況を把握できるが、こちらはユーザーが許諾した上でGPSを利用してデータを収集している。

 混雑度マップは250mメッシュと狭い範囲で調べられるので、より細かなエリアを確認するのに向いている。ただしGPSの情報がベースになるため、モバイル空間統計と比較するとサンプル数が少なく、データの精度はモバイル空間の方が優れているといえる。また、前年同月のデータを調べられるのはモバイル空間統計のみ。

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