ウィジェットやAppライブラリーでホーム画面を刷新したiOS 14と比べると、iPadOS 14のホーム画面はiPadOS 13からの変化が少なく、コンセプトを継続していることが分かる。逆に、iPadOS 14は、iPadの魅力でもあるApple Pencilや大画面に特化したアップデートがあり、iOS 14とは異なる方向に進化している。
目玉となる機能の1つが「スクリブル」。これは、手書きの文字を認識して、テキストデータに置き換えてくれる機能のことで、Apple Pencilを採用するiPadならではだ。ただし、現時点では英語と中国語にしか対応していない。筆者は英語で試してみたが、認識精度は高く、走り書きのような字でも、きちんとアルファベットや数字に置き換えられた。
スクリブルは「メモ」アプリだけでなく、Safariなどの検索ウィンドウなどでも機能する。利用する機会がどこまであるかはさておき、キーボードなしで使っているときに、URLをサッと手書きしてサイトにアクセスするといったことはできそうだ。現時点では日本語に対応していないため、利用シーンとして特に考えられそうなのが、電話番号のメモだ。
iPadOSでは、画面が消灯した状態でもApple Pencilを当てるだけでメモが起動する。iPhoneで電話しながら、相手が告げた電話番号をメモするようなときに、手元にiPadを置いておけば、すぐにメモを取ることが可能。その際に、スクリブル対応のペンを選ぶと、書いた文字がすぐにテキストデータに変換される。後からそのメモを見返したとき、文字が読みやすいのはもちろんだが、電話番号として認識されるため、直接そのメモから電話をかけることもできて便利だ。iPadに通話機能はないが、FaceTimeを使ったり、iPhone経由で電話したりすることは可能。メモをiCloudで同期して、iPhoneで直接メモから電話をかけてもいい。
iPadOS 14は、画面サイズの大きなiPadの特徴を生かし、アプリのUIも進化している。例えば、「写真」や「ファイル」「メモ」などのアプリには、新たにサイドバーが設けられている。サイドバーは常時表示させることが可能なため、フォルダを行き来しながら作業する際に便利だ。標準アプリに限定されるが、UIに一貫性があるため、操作にも慣れやすい。サイドバーが不要なときは、非表示にすることも可能だ。ベースはiOSだが、iPadOS 14では、その差が徐々に大きくなっていることもうかがえた。
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