どのモデルも、ハイエンドと同様に複数のカメラを搭載している。ただ、価格もあってか、標準カメラ以外の画質はあまり期待できない。比較する場合は、標準カメラの画質や画作り、機能を重点的に見ることをおすすめする。なお、夜景モードは3機種とも対応している。
Xperia 10 IIは標準カメラが約1200万画素、広角が約800万画素、望遠が約800万画素、インカメラが約800万画素だ。独立した夜景撮影モード「ナイトモード」も用意されている。
実際の撮影画質はソニーモバイルらしく、シーン認識はあるがあまり発色や露出に手を入れない素直な画作りだ。今どきのSNS映えを狙う絵作りのカメラと比べると、淡泊に見えるかもしれない。広角は解像感が低いものの明るく雰囲気をとらえた写真を撮れる。一方、望遠は解像感が低くて暗く、シーンによっては標準カメラの写真をトリミングした方がいいかもしれない。夜景の描写は3機種の中では甘い印象だ。
Galaxy A41は標準カメラが約4800万画素、広角が約800万画素、背景ボケなどに使う測距用カメラが約500万画素だ。インカメラは3機種の中でも高画素でセンサーサイズの大きい約2500万画素のものを搭載する。
撮影はGalaxyのハイエンドモデルに近い絵作りのシーン認識を利用でき、フルオートでSNS映えする明るめの露出と鮮やかな発色の写真を撮りやすい。料理写真はオートでも良好だが、別途フードモードも用意されている。細かく見ると広角は解像感が低く、標準カメラも細部では偽色も見える。だが、全体としてみれば見栄えのいい写真を撮れるカメラだ。夜景もミドルクラスとしては納得できる品質だ。
LG style3は標準カメラが約4820万画素、広角が約500万画素、インカメラが約810万画素だ。写真撮影モードは標準とAIカメラの2種類を搭載する。ただ、AIカメラを使うにはカメラを起動するごとに撮影モードの切り替え操作が必要だ。AIカメラは便利なだけに、標準モードとして起動する設定が欲しかった。
作例はAIカメラで撮影した。標準カメラの解像感は3機種で一番良好な印象だ。AIカメラならSNS映えするよう発色などをある程度演出してくれる。ただ、露出はあまり変わらないので、露出が暗い場合はタップでマニュアル操作した方がいい。夜景のナイトビュー撮影では、ミドルクラスとしてはかなり見栄えのする写真を撮れた。
今回の3機種を見てきたが、いずれも売れ筋モデルの流れの中で、三者三様のとがった特徴を持っている。全機能で90点以上を期待されるハイエンドモデルにはない、ミドルモデルならではの特色だ。購入する際はどの機能を重要視するかを決めて選ぶとよいだろう。
スマホにある程度詳しい人やゲーム好きなら、処理性能とカメラ画質ともにハイレベルでコストパフォーマンスの高いLG style3が魅力的だ。4万円前後かそれ以下だとライバルはほぼいない。キャリア向けでの直接的なライバルは「iPhone SE(第2世代)」やミドルクラス5Gスマホなど、5万円あたりからになるからだ。
ただ、ミドルクラスは高性能以外の要素を求めている人も多い。スマホに詳しくはないが、以前のXperiaシリーズと似た操作性を求めている人にとってはXperia 10 IIはベストな製品だ。また、SNS映えするカメラ画質を重要視するならGalaxy A41が魅力的。ハイエンドのGalaxyの魅力や機能をミドルクラスにうまく落とし込んでいる。
ミドルクラスは「これを買えば全て満足」という製品は少ない。購入目的をしっかり決めて、ベストな製品を選ぶようにしよう。
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