Huaweiシェア1位奪回の切り札、「Enjoy 90」が登場:山根康宏の海外モバイル探訪記

» 2026年05月10日 10時00分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 Huaweiのスマートフォンは、ハイエンド寄りのラインアップになっており、カメラ強化の「Pura」、最新技術搭載の「Mate」、セルフィーとファッション向けの「nova」という3つのラインがあります。

 米国政府の制裁を受けている間も、このラインアップを着々と強化し、高性能なスマートフォンを展開するメーカーとして中国国内では地盤を強固なものにしてきました。

 とはいえ、販売台数を増やすには価格を抑えたモデルも必要です。それが「Enjoy(暢享)」シリーズです。これまでもほそぼそと展開していましたが、2026年3月には、「Enjoy 90 Pro Max」「Enjoy 90 Plus」「Enjoy 90」という、上位モデルのような3製品がラインアップに加わりました。

photo Huaweiの低価格機、Enjoy 90 Plus

 製品名を見ると、「Pro Max」「Plus」「無印」と、やや整合性が取れていません。本来なら「Pro」モデルがあっての「Pro Max」が上にくるからです。実はこの3機種、Pro Maxだけはディスプレイやバッテリー性能を高めた別格の製品です。一方、Plusと無印はほぼ同じモデルです。

photo Enjoy 90 PlusはEnjoy 90と同型機

 Enjoy 90 Plusの性能は、ディスプレイが6.84型、アウトカメラは5000万画素の1つ、インカメラは800万画素、バッテリーは6620mAhで40Wの急速充電に対応します。プロセッサはHiSiliconのKirin 8000を搭載しています。

 128GBモデルが1499元(約3万5000円)です。一方のEnjoy 90は、基本スペックは同じでプロセッサのみKirin 8000Aを採用しており、価格は128GBモデルが1299元(約3万円)です。

photo Kirin 8000を搭載するEnjoy 90 Plus

 本来ならば2つのモデルは外観を変えるべきでしょうが、低価格モデルにそこまでは必要ないという判断なのかもしれません。日本人的には5000円程度の差であれば変わりがないように感じますが、中国でこのクラスの製品を求める消費者にとっては、1000円でも大きな違いになります。Huaweiとしてもあえてプロセッサの性能を落としたモデルを加えることで、製品選択肢を広げているわけです。

photo Enjoy 90 PlusとEnjoy 90の正面の違いは無し

 なお軽微な点ですが、両者は背面カメラのフラッシュ部分のデザインに差があります。スペック表にはライトの性能が書かれていないのですが、実機を見るとEnjoy 90 Plusの方がライト光量が若干高いようにも感じます。

photo シングルカメラなのでシンプルなカメラUI

 低価格なモデルでもHuawei開発のAI機能「小藝(シャオイ)」も搭載されています。これは他の中国メーカーも同様で、AI機能の搭載はいまや標準になっています。2025年から各社ともDeepSeekのLLM(R1)の統合も行っています。

photo AI機能は全てのモデルで使える

 特徴に欠けるように見えるEnjoy 90シリーズですが、ハイエンドモデル中心の展開で中国のスマートフォンシェアの上位に食い込むまで復活したHuaweiにとって、この製品がヒットすれば以前のように、シェア1位を安定して確保することが可能になります。ライバル各社にとっては、Huaweiの高性能カメラフォンや折りたたみスマートフォンよりも、このEnjoyシリーズが気になる存在なのです。

photo Huaweiシェア1位のカギを握る存在

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