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» 2020年08月14日 10時00分 公開

石川温のスマホ業界新聞:NTTドコモは4Gネットワークの5G転用に慎重な構え――ソフトバンクとKDDIのDSSにどう立ち向かうのか

総務省の方針もあり、各キャリアが5Gエリアの整備計画を前倒す動きを見せている。ただし、その“中身”をよく見ると、あくまでも5G用に割り当てられた周波数帯で加速しようとするNTTドコモと、LTEで使われている周波数帯の転用を視野に入れているauとソフトバンクに二分される。

[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 3月末より開始した5Gサービスは8月1日現在で 24万契約になるという。吉澤和弘社長は「24万という数字は計画を上回っている。現在の5Gスマホは10万円前後で、5Gのユーザー層は非常に興味のある方だと思う。エントリーモデルをできるだけ早くに投入することで3Gや4Gユーザーにアピールしたい」と語った。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年8月8日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 一方、気になるのがエリア展開だ。

 現在、92都市でサービスを提供しているが、2020年度中には全政令指定都市を含む500都市でのサービス展開を計画する。

 一方、ソフトバンクにおいては2021年3月末までに1万局、2022年3月末までに5万局を整備する計画だ。5Gの人口カバー率においては90%を目指すとした。

 ソフトバンクとKDDIは、5Gの地方展開においては共同で基地局を運営するとしているし、DSS(※)によって既存の4Gネットワークにおいて、5Gの電波を混ぜることで一気にエリアを広げようとしている。

(※)編集部注:「Dynamic Spectrum Sharing」の略で、LTEと5G NR(5Gの通信規格)で同じ周波数帯を共有して通信する仕組み。日本では対応するための法令整備が進められている

 一方、4Gネットワークの5G転用に対して、距離を置くのがNTTドコモだ。

 吉澤和弘社長は「4Gのユーザーが少なくなれば(周波数の転用を)考えていくが、現在は4Gユーザーがたくさんいる。エリアや通信速度に影響が出てくる可能性があり、ユーザー保護の観点に立った考え方が大事だ。また、4Gの周波数を5Gに転用したところで通信速度は4Gと変わらない。有利誤認を招かないように適切な周知を実施していく必要がある。とはいえ、転用を否定しているわけではない。4Gユーザーが少なくなってからは検討していくが、まずはSub-6、ミリ波を活用したい」とした。

 例年9月に発売していたiPhoneは、今年は5G対応になるものの10月に延期されることが濃厚となっている。ソフトバンクの宮内謙社長は「晩秋から来年にかけて5G祭りが始まる」と明言しており、キャリアとしてはiPhoneを皮切りに一気に5Gの展開を加速させていくのだろう。

 本命はiPhone 5Gだろうし、Pixel 4a 5Gといった廉価版の5Gスマホのラインナップが出揃ってくる。

 これまで鳴りを潜めていたKDDIとソフトバンクは10月以降、一気に「5Gが使えるエリア」のアピールをしてくる可能性もある。

 一方で、Sub-6とミリ波を中心に展開するとしているNTTドコモとしては、かなり劣勢に見えてしまうかもしれない。

 仮に5Gにつながったとしても速度測定アプリで1Gbpsを超えることは稀であり、「高速大容量」を実感することは少ない。

 それよりも、スマホのアンテナピクトが5Gと表示され、「ここでも使えるのか」というアピールをした方が、結果としてユーザーの満足度に繋がることも予想される。

 10月以降、5Gスマホを買ったユーザーは「速度はそこそこだけどいろんなところでつながっているように見えるKDDIとソフトバンク」を評価するのか、それとも「エリアは超狭いけど、つながれば結構速いNTTドコモ」を支持するのか。どちらが選ばれるのか注目と言えそうだ。

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