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完全子会社化で変わる前提 ドコモが“大容量プランの値下げ”に踏み切ると考える理由石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2020年10月10日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 それは青天のへきれきだった。9月29日に、NTTはNTTドコモの完全子会社化を発表。一般株主などが持つ3割強の株式を、TOB(株式公開買い付け)で取得することになった。3月31日時点で、NTTはドコモの株式の64.1%を保有している親会社にあたるが、その比率を100%に近づけ、経営の一体化を進めていく方針。緊急開催された記者会見では、NTT傘下のNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアもドコモにぶら下げる形にして、連携を強化する構想が披露された。

ドコモ 9月29日に、ドコモの完全子会社化が発表された(写真提供:NTTドコモ)

 完全子会社化の効果がすぐ出るわけではないが、長期的に見ると、コンシューマーに強いドコモと、法人に強いNTTコミュニケーションズが一体的に動くことで、経営体制が強化されるメリットが大きい。NTTの澤田純社長が挙げていた通り、ドコモの意思決定を迅速化できるのも、完全子会社化の目的の1つだ。

ドコモ ドコモの競争力強化が、完全子会社の主な目的だという

 一方で、ユーザーから短期的に期待されているのは、ドコモの料金値下げとみていいだろう。新たにドコモの社長に就任する井伊基之氏も、「あらゆる年代のお客さまから支持される価格やサービス」の実現を目標に挙げた。NTTの澤田氏も、完全子会社化によって「ドコモは強くなり、財務基盤が整えば値下げの余力が出てくる」と前向きな姿勢を示した。では、ドコモは本当に料金値下げができるのか。その方法論とともに、料金改定の可能性を探った。

ドコモ NTTの澤田氏は、値下げについても前向きな姿勢を示した(写真提供:NTTドコモ)

ドコモ単体での料金値下げは、なぜ難しかったのか

 そもそも、一律の値下げはなぜ難しいのか。ドコモは約8000万のユーザーを抱えるキャリアなだけに、単純な値下げは経営へのインパクトが大きすぎる。8000万回線にはMVNOや通信モジュールも含まれているが、spモード契約者数とiモード契約者数を合算しただけで、ユーザー数は約5000万に上る。わずか100円値下げしただけで月50億円、年間で600億円の減収になる。1000円だと、その影響は10倍にも膨れ上がる。

ドコモ 最大手のキャリアなだけに、わずか100円の値下げでも収益に与える影響は大きくなる

 一律で値下げされればユーザーにはうれしいが、企業にとっては自殺行為。上場企業である以上、株主がそれを許容するとも考えづらい。もっとも、料金が高止まりしたまま値下げをしないと競争上の優位性が保てない。そのため、より安価な料金プランを作り、一定の条件をつけて徐々にユーザーを移行させていくのが定石になっている。

 例えば、上記の計算は全ユーザーを“一律で”値下げした場合で、例えばライトユーザーだけやヘビーユーザーだけというように、一部のユーザーに対象を絞れば、影響をある程度限定できる。「ギガホ」や「ギガライト」が導入されたときがまさにそれで、最大の値下げ幅である4割安になるのは、月のデータ使用量が1GB以下のライトユーザーにとどまっていた。

ドコモ ギガホ、ギガライトもあくまで“最大”で4割の値下げだった。一部のユーザーにとっては2割程度にとどまっていた

 また、ギガホやギガライトは月々サポートがつかない完全分離プランのため、料金そのものは安くなる一方で、端末の実質価格は上がっていた。月々サポートとの相殺で、減収の影響を軽くすることができる。裏を返せば、ユーザーが値下げをすぐに実感しづらい構造があるといえそうだ。こうして緩やかに値下げをしていけば、他の事業の成長や、コストの削減で減収分を補うことができる。これは、ドコモだけでなく、他のキャリアも同じだ。

ドコモ 月々サポートがつかなくなるため、端末まで含めた実際の値下げ幅は、2割にも満たない
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