Lightning廃止の布石? iPhone 12で「MagSafe」を試して感じた可能性(2/3 ページ)

» 2020年11月04日 08時00分 公開
[石井徹ITmedia]

Qiデバイスでの位置合わせは難しく、実質iPhone専用

 AppleはMagSafe充電システムについて、「Qi充電器との互換性を維持している」とうたっている。ただ、その意味するところは「iPhone 12シリーズでQi充電器が使える」ということであって、「MagSafeがQi充電器の代替として実用性を備えている」というわけではない。

 実際にQi対応のAndroidスマートフォンをいくつか載せてみたが、位置合わせが難しく、コイルのある位置から少しでもズレると充電されない。また、MagSafe機構がないため当然と言えば当然だが、スマホの重量で少しずつ位置がずれていき、充電できない状態となってしまう。これはQi充電に対応する旧型のiPhoneでも同様だ。

MagSafe MagSafe充電器はQi互換のため、第2世代iPhone SEも充電可能
MagSafe AndroidスマートフォンでもQi対応であれば使える。Galaxy Z Flipの場合、充電コイルへの位置合わせが厳しく、実用的ではないという印象を受けた

 さらに、充電できたとしてもQiデバイスへの給電能力は“急速充電”とはほど遠い。旧型iPhoneへの給電能力は最大7.5Wとうたわれているが、実際には5W程度にとどまるようだ。筆者はバッテリーを使い切ったAndroidスマートフォンへの給電を試みたが、1%まで給電することができず、起動するには至らなかった。

 Qi規格の場合、充電できる範囲はコイルの位置から4分の1インチ(6.35mm)までのズレが許容され、コイルを複数配置して充電できる範囲を広めることもできる。

 Appleのアプローチでは反対に、スマホの側をコイルの位置にシビアに合わせることで、充電効率を高めているということだろう。そのため、Apple製のMagSafe充電器はQi規格準拠のスマホでは使いづらい代物となっている。

MagSafeの充電器を使用、ケースを装着しながら充電、とウォレットを装着しているところ

磁気×ワイヤレスならではの難しさ

 磁気とワイヤレス充電という組み合わせについては、使い方によっては安全への不安も残る。一般に販売される電気製品には多くの安全機構が備えられているが、使う際の注意点は確認しておくべきだろう。

 AppleはMagSafe充電器に関するサポート文書「MagSafe 充電器をiPhone 12モデルで使う方法」の中で、充電時の注意点を紹介している。把握しておくべきは、注意書きとして言及されている「例えば、クレジットカードを挟んだ状態で給電すると、磁気コードやICチップが破損する恐れがある」ことだ。

 MagSafeの磁気の影響について、一般的な用途では問題ないとするApple幹部の証言もある。クレジットカードなどを近くに置く程度では差し支えないとみていいだろうが、クレジットカードを挟んだまま充電することは避けよう。

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