KDDIが「トッピング」を売りにする月額2480円「povo」を発表――NTTドコモ、ソフトバンクのさらなる「後出しじゃんけん」はあるか石川温のスマホ業界新聞

» 2021年01月22日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 KDDIが「povo」を発表した。20GBのデータ容量で2480円。1回5分の音声通話かけ放題を外してきたのがポイントだ。若者を中心に「音声通話はほとんどしない」という人が増えており、「1回5分のかけ放題もいらない」というユーザーに支持されそうだ。あえてオプションと言わず「トッピング」という点も面白い。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年1月16日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 高橋誠社長としては、コンテンツサービスとの組み合わせで、いろんなトッピングを作れるのではないかと期待している。確かに、これまでのauプランであったパックではなく、「個別にコンテンツをお得に楽しむ」というトッピングがいくつでもでき、コンテンツプレイヤーを盛り上げる起爆剤になる可能性がある。

 KDDIがpovoを発表した翌日となる14日、NTTドコモ・井伊基之社長にグループインタビューする機会を得た。メンバーとしては、法林さん、石野さん、関口ケータイWatch編集長、田中ITmedia Mobile編集長、矢崎engadget日本版編集長、そして自分という布陣。チームプレーがうまくいき、実に盛り上がりを見せた。詳細は各媒体を参照して欲しい。

 こんなメンバーだったせいか、井伊社長もサービス精神旺盛にあれこれ語ってくれた。特にahamoに関しては「ahamoを発表した12月3日以降、流出が止まり、MNPのマイナスが10年ぶりにプラスに転じた」「eSIMに対応」「iPhoneも使える」「家族回線としてカウントする」という情報が明らかにされたのだった。

 特に12月3日の発表会時点では「ahamoを契約すると家族回線から外れるので、ほかの家族の割引額が減る」とアナウンスされており、「ahamoのデメリット」として各媒体で強調されていた。今回の方針転換により、NTTドコモが強い「家族まるごとドコモ回線」という武器を維持することになったのだ。

 井伊社長は「他社に真似されるから黙っていた」とのことで、povoが発表された翌日だったタイミングだったからこそ、明らかにされたものと思われる。

 となると、おそらく、他社も「未発表の案件」というのが残っている可能性が高い。特に国際ローミングなど、他社としてはコロナ禍で優先順位が低く、サービス開始直前に内容が発表されそうだ。

 Apple Watch対応に関しても、井伊社長は「考えてもみなかった」的な発言をしており、3月のサービス開始に向けてユーザーが気になっていることが、キャリア側でまだ準備できていないようだ。

 povoが2480円という値付けをしてきたのに対し、井伊社長に「まだ、後出しじゃんけんできますよ」と聞いてみたのだが「料金は3社で見れば、横並びになった。他社にキャッチアップされることは予想通り。今後はプロモーションや営業、使いやすさの勝負になってくるのではないか」として、対抗値下げへの明言は避けた。

 ただ、このあたりもソフトバンクが動いてくれば、NTTドコモとしても対抗せざるを得なくなってくるだろう。

 まだまだ3月のサービス開始まで日があるだけに、さらなる「後出しじゃんけん」が続きそうだ。

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