武田総務大臣、解約金なしプランも「まやかし」「国民を欺いている」と一蹴

» 2020年12月01日 12時41分 公開
[田中聡ITmedia]

 武田総務大臣が、12月1日の記者会見で携帯料金の値下げや、それに伴うMVNOへの影響について言及した。

武田総務大臣 質問に答える武田総務大臣

 NTTドコモがサブブランドの導入を検討しているとの報道については「個別のコメントは差し控えたい」としつつ、「コロナ禍で家計に重くのしかかっている通信料について、何とか皆さん(通信事業者)に理解を求め、国民の負担を軽減するために努力いただきたい。国民が、軽減されたと実感を味わっていただけるような環境を作っていただきたい」と話した。

 11月27日の記者会見では、KDDIとソフトバンクがサブブランドで安価な料金プランを発表したとはいえ、メインブランドからサブブランドへの乗り換えハードルが高いことを問題視。メインブランドでの値下げを求める姿勢を強調した。ただし2019年の電気通信事業法の改正により、各キャリアは解約金がかからない、あるいは従来の9500円(税別)よりは安い1000円の解約金で済むプランを提供している。

 この点を問われた武田氏は、「それ自体がある意味まやかし」と一蹴。改正法に適応させたものより前のプランを契約している人は、解約金が軽減されていないことから、「そんなのってあり得ますか? 表のきれい事ばかりで国民を欺いている」と語気を強める。「そこをきちっとやって、初めて制度改革に踏み切れるといえる。ほとんどの方が恩恵にあずかれない制度は、まったく改革になっていない」と続けた。

武田総務大臣 11月27日の会見では、メインブランドからサブブランドへ乗り替える際のハードルが高いことを強調していた

 確かに、旧プランの契約者が更新月以外に解約をすると、9500円の解約金が発生するが、auやソフトバンクは現行プランに変更すれば、解約金は軽減あるいは撤廃される。現行プランに変更するだけなら解約金や手数料は発生しないので、少なくとも解約金のハードルは軽減、解消できる。この点を理解した上での発言だったのかは疑問が残る。またMNP手数料は原則として無料化する方向で総務省が議論を進めており、金銭面での乗り換えハードルは軽減されつつある。

 大手キャリアの値下げにより、MVNOや楽天モバイルはますます苦しい戦いを強いられ、3キャリアの寡占を後押しすることが懸念される。この点については「とんでもない。全ての移行ハードルを取っ払うように努力しているから、一番の恩恵を受けるのはMVNOの皆さん」と反論した。

 武田氏は「政治や行政の力で値段を上げ下げするのは適切ではない」と前置きしつ、「われわれは、当たり前の競争原理が働く市場をいかに作るかを訴え続けてきた。そのためには、目に見えない障害を取っ払う。これが一番近道だと判断している」と話した。

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