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なぜユニクロが自ら決済サービスを提供するのか? 「UNIQLO Pay」の狙いモバイル決済の裏側を聞く(1/2 ページ)

» 2021年03月10日 06時00分 公開
[小山安博ITmedia]

 ユニクロが1月19日に「UNIQLO Pay」の提供を開始した。ユニクロアプリに追加される形で提供され、ユニクロ店頭や直営サイトでバーコードをかざすことで決済できる。ユニクロでは既に非接触決済からコード決済まで、幅広いキャッシュレス決済サービスを採用しているが、なぜ自ら決済サービスを提供するのか。同社広報に聞いた。

UNIQLO Pay 「ユニクロ」アプリの会員証QRコードを読み取ることで決済ができる「UNIQLO Pay」

社内でもひそかに進められたプロジェクト

 ユニクロアプリは、ユニクロオンラインでの買い物や店頭でのデジタル会員証の提示などの機能を備えており、商品のクーポン発行機能なども備えている。これまでユニクロ店頭では、現金以外にもクレジットカード、電子マネー、コード決済といった多彩な決済手段に対応してきた。そうした状況下でユニクロ自身がUNIQLO Payを提供することに対して、同社広報は「スムーズな会計のため」と話す。

 「UNIQLO Pay」が商標出願されたのは2019年7月のこと。インターネット上でも当時は話題になったが、広報も最近まで把握していなかったということで、社内でもひそかに進められたプロジェクトのようだ。実際の動きが見えてきたのは2020年秋ごろからだったという。そうして登場したUNIQLO Payは「ユニクロの店舗でしか使えず、ポイント還元もない」という仕様で、広報自身も「本当に使われるのか」という懸念があったという。

【訂正:2021年3月10日10時10分 初出時に「『UNIQLO Pay』が商標登録されたのは2019年7月のこと」としていましたが、「商標登録」ではなく「商標出願」でした。おわびして訂正致します。】

会計待ちの列を少しでも解消できるように

 ユニクロ店舗の会計では、有人レジとセルフレジともに、アプリ会員であればユニクロアプリを起動して会員証を提示するが、その後、改めていずれかの決済手段を使って支払いをする。UNIQLO Payの設計だと、会員証を提示してコードを読み込めば、そのまま決済も完了するというのが特徴で、会員証と決済が一体化しているため、最も素早い決済ができる。このスムーズさがUNIQLO Payの目的だ。

 これによって「店内が混んでいる時間帯、休日、セール時には会計待ちの列ができてしまうので、少しでも解消できる決済方法」(広報)を目指した。ユニクロではRFIDを使って商品をセルフレジに置くとすぐに合計金額が表示される仕組みになっており、ユニクロアプリで会員証を提示すれば、クーポン適用からUNIQLO Payによる支払いまで無人かつスピーディーに会計が終わる。

 RFIDタグによって、会計のために商品タグのバーコードを読み込む手間もないユニクロの場合、セルフレジの会計処理も速い。慣れていない人でもすぐに合計金額が計算されるし、クーポンを使いたい場合は、そこでユニクロアプリの会員証を読み込ませればいい。他の決済サービスだと、さらにアプリを起動して決済をするが、UNIQLO Payなら会員証を読み込ませた時点で決済が完了するので、トータルの会計時間がさらに短くなる。

ポイント還元施策は予定していない

 チャージ方式ではないため、残高不足で会計時にまごつくこともない。「お客さまが少しでも便利になることが目標」(同)という同社の取り組みが、このRFID、セルフレジ、そして今回のUNIQLO Payというわけだ。

 そのため、他の決済手段、特に他のコード決済のようにポイント還元を重視しておらず、ユーザーの利便性向上に主眼が置かれている。「実際に使ってもらえるか分からないが、簡単に会計ができるので、それが分かったユーザーなら今後も使ってもらえるのでは」というのが同社の考え。

 ただ、それだとユニクロによく来る人しか使わないことになるので、「いろいろと施策は考えていきたい」と同社。ただし、ポイント還元のような施策は「今のところ予定はない」(同)という。

UNIQLO Pay UNIQLO Payを利用するには支払い方法を登録するだけでよく、チャージをする必要はない
UNIQLO Pay ユニクロ自らはポイント還元施策は行っていないが、他の決済サービスと連動したキャンペーンは積極的に進めている。写真はd払いで3月1日から31日まで実施している20%還元キャンペーン

ユニクロ以外での利用は考えていない

 UNIQLO Payは、あくまで会計のスムーズさを求めたもので、例えば決済データからマーケティングや商品開発に生かす、といった点は、もともと会員証から得られていたため、現時点で考えられていないようだ。実際、会員証のデータ、ECサイトでの購入履歴、カスタマーセンターへ寄せられる声といった情報から、既におすすめ商品の提案や、各年代に人気の色などといった商品開発へのフィードバックは行われている。

 本来、決済サービスによる購買データの蓄積が期待できるのは、UNIQLO Payがユニクロ以外で使えるようになったときだが、他社への展開を同社は否定する。「ユニクロ以外の(他社での)利用は考えていない。GUなどのグループブランドでは、もしかしたら使えるようになるかもしれない」(同)という。

 それとは別に、今まで会計時に会員証を提示するのが面倒で使わなかった人が、UNIQLO Payで支払いまで一本化できることで会員証を提示する回数が増える、という期待はあるようだ。

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