日本郵政、日本郵便と楽天が3月12日、資本・業務提携に合意したことを発表した。日本郵政が楽天に1499億円を出資し、株式の8.32%を保有する。
全国で展開している郵便局や物流のネットワークと、70以上のサービスと1億以上の会員を持つ楽天経済圏を組み合わせることで、オンラインとオフラインで新たな価値創造を図っていく。
具体的には、物流、モバイル、DXなどの領域で連携していく。物流では共同の物流拠点や配送システム、受取サービスを構築し、両社が持つデータを共有化する。
モバイルでは、郵便局の屋上などに、楽天モバイルで運用する基地局を500局以上設置する予定で、既に400局以上が設置済みとしている。郵便局内のイベントスペースに楽天モバイルの申し込みカウンターを設置していく。郵便局側でマーケティング活動の支援も担い、配達ネットワークを活用した広告宣伝も行う予定。
楽天モバイルは3月9日に申し込み回線数が300万を突破したが、主にオンラインでの申し込みが多かった。契約の入口となる部分で日本郵政と協力することで、より多くのユーザーに訴求していく考えだ。
DXの面では、楽天グループから日本郵政グループに対し、DXに精通する人材を派遣するとともに、楽天グループが日本郵政グループのDX推進に協力する。
さらに金融や決済のサービスでの協業、保険や物販での協業も視野に入れている。具体的な協業内容は、4月に発表する見通し。
楽天の三木谷浩史会長兼社長は、「楽天のサービスはオンラインが中心だが、リアルで圧倒的なネットワークをお持ちの日本郵便とタッグを組むことで、日本の産業界と社会にとって、歴史的な1ページになるのではと考えている。1997年の創業の精神に立ち戻り、地方経済をエンパワーメントすることを、今後も続けていきたい」と意気込みを語った。
日本郵政の増田寛也取締役兼社長は、2020年12月に楽天との物流での戦略的合意を発表した後の2021年1月に、楽天から資本提携を進めていった方がいいのではと話があったことを明かす。「その方が、提携の実が上がると思った」ことから今回の決定に至った。
「楽天はオンラインの世界でさまざまな地域貢献をしてきて、大きな社会インフラになっている。(日本郵政と)相通じるものある。企業文化は違うが、お互いが刺激となって、補う形となって、トップがハンドリングしながら今後の展開を隅々まで行き渡らせる。社会に価値のあるものが出来上がっていく」と期待を寄せた。
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