インタビュー
» 2021年02月03日 06時00分 公開

楽天モバイルの新料金プランは「1GBまで0円」で成り立つのか? 楽天の河野CMOに聞く(1/2 ページ)

ワンプランを維持しつつ、段階制を導入することで、低容量や中容量のユーザーに対する値下げに踏み切った楽天モバイル。同社の「UN-LIMIT VI」は、月額2980円でデータ容量が使い放題になる特徴はそのままに、一定容量以下の場合、自動的に料金が安くなる。1GB以下なら0円で済む。なぜ楽天モバイルは、このような新料金プランを導入したのか。

[石野純也,ITmedia]

 ワンプランを維持しつつ、段階制を導入することで、低容量や中容量のユーザーに対する値下げに踏み切った楽天モバイル。同社の「UN-LIMIT VI」は、月額2980円(税別、以下同)でデータ容量が使い放題になる特徴はそのままに、20GB以下は1980円、3GB以下は980円と、一定容量以下の場合、自動的に料金が安くなる仕組みだ。

 さらに、1GB以下の場合は料金は0円になる。MVNOでは、0円でデータ通信できるSIMカードはあったが、自社で回線設備を持つMNOとしては異例。楽天で買い物や旅行の予約などをしているユーザーが、SPUでポイント獲得率を上げるために契約しても、料金はかからない。

 一方で、多くのユーザーが1GB以下にとどまってしまうと、楽天モバイルには文字通り1銭もお金が入ってこない。MNOとして新規参入したばかりで、巨額の設備投資が続いていることを考えると、かなり大胆な手を打ったようにも見える。なぜ楽天モバイルは、このような新料金プランを導入したのか。楽天の常務執行役員 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務める河野奈保氏に話を聞いた。

河野奈保 楽天の河野奈保CMO

使ってもらえることが重要なので1GB以下は0円に

―― 1GB以下が0円というのは、かなり思い切ったのではないでしょうか。ここに至った理由から、まず教えてください。

河野氏 もともと、楽天モバイルは、業界に風穴を開けるというところからスタートしています。ユーザーに分かりやすい料金であり続けることは、常に念頭に置いています。データを見ると、確かに使う人もいますが、逆にそんなに容量を使っていない方もいます。他社の料金プランも研究しましたが、研究すればするほど、歴史とともにいろいろなことを考え尽くして複数のプランができていることがよく分かりました。ユーザーが、こうしたプランで取り残されてしまうというところからスタートしたのが楽天モバイルなので、ニーズは幅広いのですが、できる限りシンプルなプランでと考えました。

 Rakuten MiniやWi-Fi Pocketを0円で提供しているのもそうですが、後発なので、何となく不安というのはまだあると思っています。ですから、使ってもらえることがとても重要です。使ってみようかなと思ってもらえるきっかけが必要になるということです。料金プランもそうで、細かく刻むことも検討はしましたが、分かりやすくするために、1GBは0円にしました。奮発しすぎかもしれませんが、お使いいただければ、今の楽天モバイルの状況を分かってもらえると思っています。

 データを見ていてもそうですが、コロナで環境が激変しました。昔は海外に行く月もあれば、移動中でデータ通信が多くなるということもありましたが、家にいることで使い方が大きく変わっています。その環境は、月によっても激変するというのがこの1年でした。人によってデータ容量が違うのではなく、時期や場所、シーンによって違う。こういうところをカバーするにも、ワンプランであることが必要でした。

楽天モバイル 「Rakuten UN-LIMIT VI」は、月間のデータ通信量が1GB以下なら0円となる

楽天経済圏の顧客獲得コストを下げられる

―― まずはお試しで入ってもらってもいい、ということですね。ただ、0円のままステイしている人ばかりだと、収益化ができません。黒字化についてはどうお考えでしょうか。

河野氏 私たちが楽天モバイルを始めたとき、ユーザーさんは、楽天がモバイル事業を始めたと思ったはずです。楽天の経済圏を考えているということです。今回の料金プランを提供するのにあたり、楽天モバイルとしてもそうですが、グループとしてこういったサービスを持つ意義を考えていく必要があると思いました。

 実際、楽天のエコシステムから楽天モバイルに入る方も多いのですが、逆に、今まで楽天の他のサービスを使っていなかった方が、楽天モバイルから新規に楽天エコシステムに入ることも数としては多くあります。他のサービスにとっては、CAC(顧客獲得コスト)を下げた形で楽天グループの中から顧客を獲得できることになるんですね。そういった観点で見ると、このプランはアグレッシブすぎるわけではなく、しっかり設計されているものです。発表会後に、「楽天カードを持っているなら入らない理由はなくなった」というコメントも見ましたが、総合的に判断していただけるとありがたいですね。

―― 楽天スーパーポイントとの連携でというお話がもっとあるかと思っていましたが、シンプルな値下げでした。

河野氏 例えば楽天市場のスーパーセールや、お買い物マラソンのようなときにはコラボしています。楽天カードとも定期的なキャンペーンはしています。こういった基本的な連携はしていますが、会見では、楽天モバイル本体で誰でも入れる料金プランに焦点を当てました。キャンペーン以外では、SPUでポイント+1%というのがありますが、こういったものは、これからも強化していきたいと考えています。

 皆さん、いろいろなところでポイントをためていると思いますが、中には、たまったポイントで楽天モバイルの月額利用料を払えてしまう方が出てきています。今回ぐらいの金額なら、ポイントで支払える方も増えるのではないでしょうか。実質的に、現金負担なしでスマホが毎月使えるような時代が来たということです。

―― SPUで言うと、ポイントが+1%になるとなれば、取りあえず契約して、1GB以下で0円を維持するという人も出てくると思います。それはいいのでしょうか。

河野氏 そういう方も、いらっしゃると思います。ただ、その方たちがどうやってポイントを獲得するかというと、楽天モバイルに入った上で、楽天市場でお買い物をします。そこで得たポイントは、楽天エコシステム内で使われます。そういったことで、いろいろなサービスを知っていただければと思っています。

楽天モバイル 楽天モバイルを利用するだけで、ポイントが+1倍となる
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